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たった6千円〜初めてクラウドファンディングに参加して、ケニアHIV陽性者の問題が自分ごとになりつつある〜

あなたにとって「6千円」とは何だろうか。

ちょっと良い感じの居酒屋の飲食代かもしれない。ビジネス書3,4冊の書籍代かもしれない。フィットネスクラブの1ヶ月分の会費かもしれない。もしかしたら、とあるプロジェウトのクラウドファンディングで一個人が支援した金額かもしれない。

金額の多寡はさておき、お金が孕む価値というのは恐ろしく多義的だ。1円安いだけで少し遠いスーパーに買い物に行く人が、世の中には結構多いと聞く。犠牲になった「時間」のことは見向きもされない。お金は記録に残るが、時間は忘却されやすい

収支は何かを判断するときに有効だし、時価総額は企業価値の参考にすることができる(見做される)。相応の歳の姪っ子や甥っ子と本気になって遊ぶよりも、ポンっと渡すお年玉の価値には敵わなかったりする。

なぜこんなにも、お金は人を惑わせるのだろうか。
今回のエントリでは直接論じることはしない。

「闇」の側面ばかりがフィーチャーされがちのお金だが、お金が人に対して希望をもたらすこともある。現実的な価値として機能するだけはない。お金を介在することで学びや気付きが得やすくなる。今回は、お金が持つ「光」の側面に目を向けて、以下書き進めていきたい

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冒頭で言及したクラウドファンディングのこと。あれは僕のことです。恥ずかしながら、今回初めてクラウドファンディングに参加し、少額ながら6,000円を支援金として届けさせていただきました。

僕が支援したのは「ケニアのHIV陽性者に生きる力を。農業で健康な生活を届けたい」というプロジェクト。経営ゼミでも一緒になった門田 瑠衣子さんが始めたものだ。

プロジェクト終了直前に物凄い勢いで支援が集まり、無事目標達成の250万円を集めることができた。ジャーナリストの堀潤さんを始め、名の知れた方々も多数支援されており、門田さんの「巻き込む力」は凄まじいなと。

資金が集まったことを心から嬉しく思うし、門田さんには引き続き頑張ってほしい。

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「引き続き頑張ってほしい」。そんな風にあっさりと書いたけれど、門田さんはケニアとウガンダにおけるエイズ孤児問題に対して、既に14年間も尽力されている。アフリカに行ったことをきっかけに、24歳でNGOを立ち上げたのだ。(24歳のときに、こんな風に行動できる人がどれくらいいるだろう)

最初に門田さんの話を聴いたとき、僕は正直ピンと来なかった。アフリカはあまりに遠く、「エイズ」も「孤児」も僕にはあまり関係ない問題だったからだ。正直言うと、門田さんには申し訳ないけれど、今もまだ完全に自分ごとにはなっているわけではない(図はReadyforのプロジェクトページより拝借)。

出発地点の「生計不安定・貧困」について。
僕は何の不自由もなく、こうして34年間生きて来れたけれど、ボタンの掛け違いがあったとしたら、幼少期に命を落としていたかもしれない。生き永らえることができたとしても、とんでもない苦しみを伴ったハンディキャップを背負っていたかもしれない。息子の寝顔を見て幸せを感じる一方、生まれてくる子どもは親や環境を選べないことがとても残酷に思えてくる

偶然「生かされた」自分自身は幸運で、そのギフトをきちんと活用しないといけない。じいちゃんにも言われたことがある。「困っている人に親切してあげなさい」と。

でも現実はシビアだった。
困っている人は想像を超えてたくさんいる。

保育園に入れなかった、意図せずシングルマザーになってしまった、就職戦線を何とか生き残ったのに会社が経営難に陥ってしまった、ジェンダーの悩みを抱えている、学校に行きたいのに同級生や教師が怖くて行けない、お金がない、過去犯してしまった過ちの呪縛に苦しんでいる。等々。

世の中の「困っている」人たちを競合として捉えなければならないジレンマ。前田裕二さんが常々話す「可処分精神の奪い合い」は、こういったシーンでも起こっている。そんな中でアフリカは遠かったし、エイズにも孤児にも関心を寄せることができなかった自分。

だけど門田さんの課題を、今は、ほんの少しだけ頭の片隅に置けるようになっている

そんな風に思えたのは何故か。

それは門田さんと知り合いになれたことも大きいんだけど、それだけでなく、僕が身銭を投じて6,000円を届けたからだと思っている。それだけで、遠い世界の課題がちょっとだけ身近になったのだ。

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NHKドラマ「ハゲタカ」の冒頭で、大森南朋演じる鷲津政彦がこんなことを言っていた。

誰かが言った。人生の悲劇は2つしかない。1つは「金のない」悲劇。もう1つは「金のある」悲劇。世の中は金だ。金が悲劇を生む。
(NHKドラマ「ハゲタカ」第1話より)

門田さんのストーリーが、クラウドファンディングという仕組みが、お金がとても有効に作用することを教えてくれた。僕は青すぎるのかもしれないけれど、お金が持つ「光」の側面をまだ信じていたいと思う。

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