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10月に静岡でTRUMPやらせてもらう劇団の演出で俳優の現役生物教師が不死の力を持つとされる始まりの吸血種について考えてみた。 その⑤

⑤人体の発火について

クラウス役の草野です。HORIZON版TRUMPのビジュアルが出ています。
草野クラウスも出ました。草ウスです。公式ツイッターぜひご覧ください。(@pu_horizon2)よろしくお願いします。
生物屋で教師の自分が不老不死の役を演じる上で、納得して表現をしたくて色々考えてみました。しつこいくらいに。自分用のメモなので、かなりこじつけかつ個人的解釈です。ネタバレあります。ご注意。広い心でどうぞ。
あなたのTRUMP考察はどこから?私はDNAから。

◆人体発火ってどうやるの?

物騒!
しかし「TRUMP」という作品をやる上で重要なファクターになるこの現象。ちゃんと考えてみようと思います。
さてここで、本家上演作品を見返していて気が付いたのですが、イニシアチブで誰かをどうこうしようとした時、「燃やす」という選択をしたのはクラウスとファルスだけなんですね。他の皆さんは運動神経を支配した強制的な殺戮行動でした。

で。
どうしてその2人だけ「燃やす」なのか考えてみていたところ、末満さんのニコ生を聞いて合点がいきました。マジかよー。ニコ生の内容には触れられないので、お布施をしてみてください。後悔しませんよ。いや逆にするのか?…これが自分が望んだことなのか、もうわからないんです…。

ということで(?)
じゃあ実際にどうやって燃やしているのか。という仕組みを生物学的に説明づけると、どんな出来事が起きているのか。こじつけ解説をしてみます。


◆人って燃えるの?
燃えます。
人体の構成成分で最も多いのは「水」ですが、それ以外の固形成分は「炭水化物」「タンパク質」「核酸」「脂質」と呼ばれる有機物と「その他無機塩類」です。これを元素まで分解してみると…

炭水化物 →C(炭素)、H(水素)、O(酸素)、
タンパク質
CHON(窒素)、S(硫黄)
核酸   →CHONP(リン)
脂質   →CHOP
無機塩類 →Na(ナトリウム)、K(カリウム)他

となります。有機物はCを含む化合物のだいたいのもののことを指します。
Cを含みますので、Oと化合する(=燃焼)とCO₂を発生します。だから燃えると二酸化炭素が出るんですね!

また、人体の構成要素の中のP(リン)はとても発火しやすい物質です。リンの単体は空気中で自然発火するほど発火点が低いので、水中で保存します。「人体の固形成分のほぼ8割が有機物、かつリンを含む」ですので「人体は燃えやすい」ということができます。…この記事大丈夫か?

◆どうやって燃やしてるの?
燃焼に必要なのは、「有機物」「酸素」「熱エネルギー」です。
有機物はすでにたくさんありますので、残りの「酸素」と「熱エネルギー」を確保しましょう。

件のシーンを見てみると、体内からの発火のように見えます。
燃やすのには酸素が必要なんでしょ?気体無いじゃん?
はい正解、アンジェリコさん早かった。

体内の酸素は、血管中のヘモグロビンが持っているくらいしかありません。おそらくこれも使うのでしょうが、燃焼には不十分なのではないでしょうか。さて、ではどうするか。ここで、人体の構成成分量第1位「水」の出番です。
水を電気分解すると「H₂」「O₂」に分かれます。分解が終わった後の試験管にマッチや線香を近づけて「ポン!!!」ってやったことある人、多いのではないでしょうか?酸素と水素で爆発的な燃焼が起きるからです。
イニシアチブで電気分解。酸素不足は解消されました。次は熱エネルギーです。

体内のエネルギーは「ATP」という物質に蓄えられています。ATPとは“アデノシン三リン酸”の略で、体内のエネルギー通貨と呼ばれています。
生き物はATPにエネルギーを貯め、必要なときに分解してエネルギーを取り出し、生命活動に利用しているのです。
具体的なATPの構造は割愛しますが、「リン酸」という物質が3つ並んで結合しています。その結合は特別に「高エネルギーリン酸結合」と呼ばれていてこの結合を解除するとき、大量のエネルギーを放出します。
ここでいうエネルギーとは「化学エネルギー」ですが、エネルギーは簡単に形を変えることができます。一番身近なところでは、電気エネルギーを光エネルギーに変換するとライトが付きます。こんな感じ。

では人体を発火させるほどの熱エネルギーはどこから供給されるか。このATPによって蓄えられている「化学エネルギー」を「熱エネルギー」に変換すればよいわけです。先ほどの電気分解では「電気エネルギー」に変換していると思えばつじつまが合います。簡単!生きているものならみんな燃やせますね。

つまり、燃えている人の中では
・体内の水が電気分解されて酸素が発生している
・ATPの化学エネルギーが「熱」に変換されている

ということが起きていると考えられます。

…血管の中の酸素も使っているとしたら、全てを燃焼に持っていかれてしまうのでかなり苦しいはずです。
呼吸ができなくなり、全身が痺れ、体の中から熱がこみ上げてくるといった壮絶な最期だったのではないでしょうか。

ちょっと酷すぎるな…?(後悔の顔)
この酷すぎる死を、なぜ少年少女たちに与えてしまったのか。相当な憎しみがあったのか、他の理由があったのか。いずれにしても…辛すぎますよね…。うーん…。

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