【ホライズンのオススメ! №012】コラム:地震保険に加入したからもう安心?

 熊本県で大きな地震が発生して、早1カ月が経とうとしています。
 被害に遭われた地域の皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
 また、皆様の被害が最小であることを心よりお祈りいたします。

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 近年、日本国土では頻繁に、比較的大きな地震が発生していますが、平成23年3月に起きた東日本大震災に続き、今回の熊本県での地震で、あらためて「日本は地震列島」とお感じになられた方も多いのではないでしょうか。

 こういうタイミングで、地震による経済的損失に備えるために、地震保険の加入を検討される方もそれなりにいらっしゃるかと思います。

 日本損害保険協会の統計によると、地震保険の世帯加入率は、全国平均で28.8%(平成26年度末)。昭和50年代から緩やかに世帯加入率は減少していましたが、平成7年の阪神淡路大震災の発生から上昇の一途をたどっています(ちなみに平成6年度末の加入率は9%)。

 私も、2年前にマンションを購入した際に、地震保険に加入しました。
 そこで、今回は、地震保険についてご紹介させていただきます。


 地震保険は、地震もしくは噴火又はこれらによる津波(以下「地震等」といいます。)を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没、流失によって、保険の対象について生じた損害を補償するものです。

 したがって、火災保険では、地震等による火災(およびその延焼、拡大損害)によって生じた損害、火災が地震等によって延焼拡大したことにより生じた損害はいずれも補償の対象とはなりませんので、これらの損害を補償するためには地震保険の加入が必須となります。

 地震は自然現象であるため、誰の過失によるものではなく、地震が多発する国であることから、国が配慮して地震保険制度を設け、国と保険会社の共同運営により行われています。

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地震保険の特徴は、つぎのようなものがあります。

【保険の対象物件】
 住宅用の建物(専用住宅、店舗併用住宅)と家財(生活用動産)に限定されます。
 ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石並びに美術品、通貨、有価証券、自動車などは対象物件に含まれません。

【契約方法】
 単独で契約できず、必ず、住宅用の火災保険に付帯して加入しなければなりません。
 すでに加入している火災保険に途中から加入することも可能です。

【保険料】
 地震保険の保険料率は、損害保険料算出機構が算出し、基準料率として位置付けられており、各損害保険会社は、この保険料率を使って保険料を算出するため、保険会社間で保険料が異なることはありません。

 地震保険の保険料率は、①物件の所在地(都道府県別で1~3等地の3区分)、②物件の構造(木造or非木造の2区分)で決まります。

 ちなみに、東京は保険料が一番高い区分(3等地)に入ります。また、今回地震が起きた熊本県は、比較的地震が起きる可能性が低いと考えられていたため、保険料は一番低い区分(1等地)に入ります。

 なお、地震保険の支払い基準は、平成29年1月に改定(値上げ)され、現在の3区分から4区分に細分化される予定です。

 その他、物件の免震・耐震性能に応じた各種割引(10%~50%)があります。

【保険期間】
 短期の1年、または長期2年~5年(最長5年)で、1年毎に更新するか、主契約の火災保険の保険期間に合わせることができます。

【保険金額】
 建物5000万円が上限、家財1000万円が上限
 主契約の保険金額の30%~50%の範囲で任意に決めることができます。

【保険料の支払い】
 損害の程度を3区分に分け、保険金額に対して、それぞれ①全損(時価の100%)、②半損(時価の50%)、③一部損(時価の5%)が支払われます。

※総支払限度額
地震保険は、国と保険会社の共同運営しており、保険料の支払いに国が関与しているため、1回の地震等によって、政府と損害保険会社全社が支払う保険金には限度額が(総支払限度額)が設けられています。万一、想定を超える大規模の地震が起こり、算出された支払保険金総額がこれを越える場合には、その割合に応じて保険金額が削減されることがあります。


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 私を含め保険への加入は、様々なリスクに対応でき、加入したらひと安心・・・と思われる方が多いと思われます。しかし、保険は、全てのリスクをカバーしてくれるものではありません。

 特に、地震保険は、保険金の給付事由が地震であるがゆえに、他の保険とはその性質が異なります。

 上記のとおり、地震保険は、そもそも国がバックボーンにある保険のため、その保険の支払総額には条件があります(総支払総額限度)。また契約者ごとでも保険金額の上限が決まっており、それは決して多くありません(ハッキリ言って少ない)。

 そうすると、地震保険に加入したからとって、地震によって被った損害がすべて補償されるわけではないのです。

 私も、最近まで、地震保険に加入すれば、地震によって被った損害を賄えるだろうと都合よく解釈していたのですが、そんなウマい話はありませんよね・・。

 もし、予想どおりの巨大地震が発生した場合、被った損害の一部は地震保険から賄うとしても、それに不足する分は、自分でなんとかしなくてはなりません。

 私は、まだ、そこまでの対策はできていませんが、皆さんは、どうですか?・・・・・、

・・・・・と、地震保険についていろいろとネガティブなことを述べてきましたが、そうは言っても、地震時の被害については地震保険以外では補償されることはありません。

 直接的な原因が火事だったとしても、火事の起きた原因が地震の場合は火災保険では補償されませんので、地震等による損害を補償するために有効な対策であることは間違ありません。

 地震保険料は、地域や建物の構造等によっては保険料が高くなり、保険料が家計を圧迫する可能性がありますが、やはり貯蓄ある場合も、貯蓄がない場合でも、万が一に備えて、「最低限」の地震保険の加入は必要なのかもしれませんね。

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次回の【ホライズンのオススメ!】更新は5月18日(水)の予定です。

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