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越谷探訪

北千住の街を散歩しようとぼんやり思っていた矢先、かなり天気の良い日があったので最寄駅から埼玉の久喜方面行きの列車に乗った。昨年は梅雨が長く、どうしても陰気になってしまったので今年は晴れの日が多い予感がして嬉しくなった。

時刻は13時過ぎ、朝も食べなかったものだからお腹が空き、北千住で降りて何か食べようと思っていた。

スカイツリーの足元、押上を過ぎて少しすると列車は荒川の堤防沿いゆっくりとを走っていく。最近は地下鉄ばかり乗るので久々の車窓からの景色が眩しく感じ、下車するのがもったいなくなった。車内はブルーのような、紫のようなシートだった、よく利用していた九州のローカル線を思わせる。走っている場所は違えど、鹿児島中央から川内行きの列車に乗り込んだように錯覚した。

どこまで乗るかは気分次第、というか空腹次第だった。20分ほど乗ったのち、程よくお腹が空き、車窓からBOOKOFFが見えた街、埼玉県越谷で降りた。

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かなりお腹が減ったので、駅の出口を出てすぐのところにあったトンカツ屋に入った。ヒレカツ定食を食す、990円也。

越谷駅はシンプルだが、比較的大きな駅だった。東西にそれぞれロータリーがあった。賑やかそうな東口から出て街を散策した。

少し東へ歩くと旧日光街道にぶつかった。江戸から栃木県日光へ行く街道の宿場町が越谷であるようだった。

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そこから南に向かって街道沿いを歩く。街道沿いは懐かしい景観が広がっているのでかなり好きなのだが、道路の拡張が難しい為だろう、いつも歩道が狭く交通量が多くあるかには少し危ない。どの街道沿いもいつもそんな印象だ。

所々に商店があったものの、残念ながら、あまり昔の宿場町を思わせるものは発見できなかった。

少し進むと街道に並行に伸びていた新道と合流した。そこからは道幅も増え、ましな歩道を歩くことができた。

しかしそこからはどこの田舎にもあるような単調な風景に変わり、ドラッグストアを見つけたあたりで飽きてしまった。

近くにあったリサイクルショップを少し物色したあと、道を少し戻り元荒川沿いへ出てみた。元荒川沿いを駅の方へ歩いていく、川沿いは市民の憩いの場になっているようで犬と戯れる親子やタコ遊びをする子供、ジョギングや散歩をする人々が見受けられた。そこにいると郷里へ帰ったようなホッとするような気持ちになった。缶コーヒーを飲み、少し河原で横になった。

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日没が近くなり、寒くなって河原から旧街道へとまた歩いてゆく。途中建築途中のスタイリッシュな市役所と立派な洋館のような市民会館が目に止まった。かなり資金が豊潤な市町村かのように思われた。

街道の北の方から南に下り駅に戻ろうと思い、川沿いを北上し途中で折れて街道に出た。

街道の景色は相変わらずだ。しかし北の方は何故か医院が多いのが印象的だった。5分歩いて4軒ほど見つけたような気がする。一つとで印象に残ったのは、かなり古い作りの立派な医院だった。現在も使われているかはよく分からなかったが、看板に「優生保護法指定医」とあった。

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半世紀以上前のハンセン病患者への差別的な国策の爪痕がこんなところで見られるとは、なんだか珍しいものを見たような、少し悲しいような複雑な気持ちになった。(この診療所が必ずしも差別的な治療その他を行なっていたというわけではない)

また少し歩くとどこからか野焼きの匂いがしてきて、また田んぼに囲まれた実家のことを思い出した。

夕暮れ時、かなり気温が下がり体が冷えてきたので長居は無用だと思い古本屋で本を購入して帰ることにした。

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