現実逃避のうた

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ノート

デイブの現実逃避

食べていると安心する。

わたしはデイブ。
通勤時間。走ることはないけれど、
まあるいどでかい握り飯が転がるように
坂を下るわたし。

みんながわたしを物珍しそうにみるのが
たまらなく好きなんだ。

帰宅後、唯一の楽しみである夕飯を食べなが
ら、三日月をみておもう。
「たくさん食べてまあるくなって!」

満腹感に満たされながら床につくデイブは
いつのまにか夢の世界へ・・

「ねえ、デイブ、夢

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いえの現実逃避

今日もみんなおでかけだ。
いつも一人でつまんない。
となりのいえも前のいえも、みんな無口だし、
体が重くてうごかないんだよ。
「ねえねえ、みんなでトランプしようよ」
けれどもみんなは厳格な顔をして、どっしり構えたまま頷きもしない・・

退屈に耐えられないでいると、ぼくの中に見知らぬ者が忍び込む!
ところがぼくは安堵してこう言った。
「どろぼうさん、こんにちは!ぼくと一緒にあそぼうよ」

どろぼ

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さみしいガールの現実逃避

どようの夜に突然ピンポン!
どちらさま?どうようするわたし。
「なんかごよう?」ドア越しに、おそるおそるつぶやく。
「ようよう、ごめんくださいな」聞きなれないこえがする。
あまりの恐怖に「最近どうよ?」と知人に電話。
知人も驚きどうようしている
「ごめんよう・・ようはないけど、お願いだから、受話器越しにどうよう歌って。」

さみしいガール、ようきな歌声に安堵して
とうとうようすをみにいくが、
しく

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ボクサーの現実逃避

かさぶたがとれるまで、
なぐりあった日々。
惨劇の寸前と言われる程に、
きびしい戦い。
二人の汗と血と涙は、
勝敗という分かり易く哀しいもののために流すもの。
戦いは、どうしてこうも痛いのか?
友情は、どうしてこうも、もろいのか?

わかったこれからグーはやめよう
パーで構えて肩を抱き寄せる二人!
争わずに励ましあうことの素晴らしさを知った二人。

ところが観客ひどく激怒
それでも
やがてはふた

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さつきの現実逃避

きつつきがつつく木。
さつきが大事にそだてている木。
づつきよりも烈しい力でつつくきつつき。
それをみつめるさつき。

空のつきが顔を出すころ
その木はみごと、破壊された
にっくききつつき捕まえようと、
物陰にひそんで、待ち構えるさつき。
ところがにっくききつつき、
涙をながしてざんげしている。
その気高きこころにさつきはまごつき
なみだを流す、つぎつぎと。

ママの現実逃避

最近子供が懐かない
必死でうんだ、こどもなのに
運動会で、ぱぱと走りたがるむすめに、
泣いてお願いするわたし。
「まわりの子たちと同じように、お願い、マンナ、一緒にはしって。
あおくて澄んだ、御空のような心で、わたしはあなたを愛しているのよ。」
「いっしょにスタートしましょうマンナ、そうしてゴールまではしりましょう。あんたの足と、わたしの足で大地をけるのよ。はしりおわったら、ママのつくったおむすび

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とべいちろうの現実逃避

陸にあがったぼく。
カメのように歩くぼく。
太陽は、ついて回るし、
犬は尻尾をふってほえている。
ぱっとしない毎日。

「とべ!いちろう!
 あるくな!いちろう!
 重力にまけるな!
君はいつでもふんわり空をとべるはずさ。」

富井の現実逃避

わしは79歳になっていた。
骨を整えることは容易ではないけれど、
やりがいがある。

富井整骨院は、明日からトミー整骨院になる。
従業員がほとんど外国人になってしまったんだ。
英語を覚える毎日。
英会話のスクールに通いながら、辞書を片手にメールを送る日々。
いつのまにか私は腰をいためていた。

自分の骨を整えるのが先だけど、わしには人を診る義務がある。
我が身を犠牲にして、他人の骨を整える。

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ほちょうきの現実逃避

こおろぎがなくころ、何かを夢みていた。

大草原にさく花々がささやく音。
きつねの兄さんが勇ましく食べ物をさがしにいく音。
ダンプカーに人が乗り降りするおと。
手拭いをまいたおとうちゃんがトンネルの中をあるく音。

音が自分の体を支配していく。

やがてぼくの聴覚が、研ぎ澄まされていく。
全部の音を支配していく。

音の支配人となったわたしは、いつでも
自由に音楽をうみだすことができるよう

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決意の現実逃避

ああ なんて素敵な歌なんだ

もう、追われる人生はやめよう
そして追いかける人生もやめてしまおう

この曲が終わるまでに、
ぼくの中のくだらない小さな願望や
小さな希望すら
全て捨ててしまおうではないか

大きな自分になるのをやめよう
小さな自分になるのもやめてしまおう

ぼくはぼくであり続けよう、
ここに眠る自分の声に耳を傾けながら
静かな、誰にも分からない私だけの人生を
生きよう

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