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現実逃避のうた

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2019年8月の記事一覧

「芸術とは」の現実逃避

芸術とは
それは
無謀である 
無視であり無残である
無駄でもあり無限である
無給であり、無職である
無利息であり、無意味である!

しかし芸術とは果てなく無知ではない 
決して…。

「芸術とは、逃れることのできない
無鉄砲の無呼吸の無愛想の無実の
証しなのである!!」

おかねの現実逃避

おかねの現実逃避

お金の価値をわかるかい?
お金は使う為ではなく
盗む為でもなく
稼ぐ為にあるのではない
数えるためにあるもんだ

つっけんどんの現実逃避

いつのまにかねむってしまっていた。
いつのまにか、ふとんから
とびおきてしまった。
いつのまに、ぼくはこんなになって
しまったのだろう。
人には気を使わずにはいられなかったのに。
今ではつっけんどんな態度ばかりとっている。

よもや、ぼくはあの日、づけどんを
食べたからであろうか?
いいや、きっとそうにちがいない。
あの日から、
ぼくは変わってしまったのだろう。

孤高なマリッジブルーの現実逃避

孤高なぼくは、
いつでも半ズボンをはいている。
半ズボンのぼくに寄って来るのは
うるさい蚊たちだけ。

孤高な自分をすきになる毎日。
ブルーになっても
蚊にさされれば、あかくなる

結納も、結婚式も、新婚旅行も
なにもかも、やめだ。
ぼくは蚊に刺された分だけ傷ついたんだ。

嫁の白無垢、赤くそまる。
おれの足は赤く腫れる。

孤高なマリッジブルーは、きょうも半ズボン。

下駄(げた)の現実逃避

今日、けた違いの下駄を購入、
購入先は下駄衛門という店。

店へはいると、けた違いのお年の
おじいさんがこっくり、こっくりしていた。

下駄をみていると、興奮してくる
おや?お腹がいたくなってきた。
ぼくはさっき、けた違いの量のカキ氷を
食べたんだった。

お手洗いにいきたい。
おじいさんを起こして、トイレを借りなきゃ。
でもおきない。
おこしたい。起こせない。

すると店の奥からおばあさんが

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カーテンの現実逃避

居間でお父さんは怒っている。
子供は泣いている。
その光景を、
窓の外から見えないようにかくす、
わたしがいる

テレビをじっとみつめるおばあちゃん。
団扇でしきりにあおぐおじいちゃん。
あきれた顔で夕飯の支度をするおかあさん。
すましたお顔でピアノをひくおねえちゃん。
きょうも家庭のプライバシーをまもる、
けなげなわたしの名は、
CURTAIN!

古神真理の現実逃避

美しい音楽を奏でるわたし
ハープの音がこじんまりとした部屋に
響き渡る
誰かのために聴かせたい

そこでわたしは小さな椅子に
可愛いくまのぬいぐるみを座らせ、
そのぬいぐるみの耳もとでハープを奏でる

あなたのために聴かせたい
あなたのために弾きたい

想いは一層強まり、
わたしの小さな手はたちまち
大きくなって
そして体は大きなハープの何十倍もの
大きさになって、
やがては家を突き抜けて、

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モノクロの現実逃避

さあ、戻ってきた、
また、やってきたんだ

赤き血の色、うつくしき木々の緑色
そして湖のえらく透き通る青い色!

これらは全て幻想である
真実は、ただ白と黒の世界
そこには夢や希望が満ち溢れている

そこはだれにとっても夢の世界
モノクロが自分でいられる特別な世界

はずかしがり屋ピクニックの現実逃避

はずかしがり屋ピクニックの現実逃避

おべんともって、どこいくの?
すいとう提げて、どないしたん?
るんるん気分で、なにしちょる?
ワンワン子犬も、おぼうしかぶって
クウン、クウンと家に帰りたがっています

喜び 哀しみ、あふれだし
むなしさ みじめさ、あふれだし
あつさ さむさを、忘れかけ
いちもくさんに にげてった

逃避するならピクニック
はずかしがり屋もその時ばかりは
だいたんに。

コミュニケーションの現実逃避

人と常に伝達をはかっていないと
ぼくはコミュニケーションという名を
奪われる仕組みになっている
それはぼくのことを嫌う、
アポなしという名前のやつらの陰謀

ぼくは今日はひどく疲れている
ひとに会いたくないどころではなく、
ふとんから出たくもない 
なのに・・
あいつらはアポもなく僕の家を訪れに
やってくるはずだ

どうしよう。
いっそ名前をこちらから捨ててしまおうか?
捨てて、不十分なコミュ

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コソドロの現実逃避

おれは盗人。

飼い猫のくーちんが死にそうだ
綺麗な茶と黒の三毛猫
その模様の中に吸い込まれそうなほど、
わたしはくーちんそのものとなっていた

くーちんには食べ物が必要だ
ビー玉みたいなまあるい目で
わたしをみる雌猫
うねる尻尾がまるで蛇のようで、
長いものにはまかれたいと思う程に
愛していた

満月の夜中、
盗んだものたちと共に、
唐草模様のふろしきに包まれるくーちん
盗人の背中にもたれ、

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ネクタイの現実逃避

朝になった 
さあ、でかけよう
ネクタイの役割をしっかり今日も頭にいれる。

上司に褒められたら、
ネクタイをしめるんだ
同僚にバカにされたら、
ネクタイをゆるめ、
余裕をかませ!

妻にあげるプレゼントには、
そっと結んだネクタイを
リボンのかわりに添えて。

ミクロの現実逃避

テレビの中のミクロな半導体
地球が滅びる日に、
一緒にほろびよう

ぼくはちいさなちいさな、
誰にも知られない小僧として生き、
そして死ぬのだ

すべりんの現実逃避

スケートで氷の上をすべるすべりん。
ぬりたてのペンキの上ですべって
転ぶすべりん。
公園のすべりだいをすべる、すべりん。
スキーにゆけば誰よりも上手に
すべるすべりん。

そんなすべりんは、
肝心な受験では絶対にすべらない。