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現実逃避のうた

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2019年9月の記事一覧

ロマクビーの現実逃避

よういどん!
今だ、今なんだ。
おれの人生が始まったのは。
だってさっきおれの耳に「ふっ」て聞こえた、
ピストルの音が。
きれのいい音だったぜ。

カタルの現実逃避

夢を語ろうみんなに語ろう。
知っている人全員に夢を語ろう。
語り合う前に取り合えず語ろう。
自分のことを話そう。

沢山はなそう、ついでに自分の今後の目標も
話してしまおう。
野心がなくても語ろう。
ろうそくの炎が消えても語ろう。
「夢って、人に語ると叶わなくなる」なんて全くの嘘さ。そう思わないかい?
いいかい、できるだけたくさんの人に伝えるんだ。
なんなら自分から寄っていって、夢を語ろう。

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ハチマキの現実逃避

いつも頭に何してんの?だと?
照れくせえこと聞くなよ。
これには理由があるんだよ。

小五の運動会ん時クラス別対抗リレーで
俺の前に走った蓉子ちゃんが俺にバトン渡した瞬間彼女は言った。
「はい、はちまきの似合う葉地まきくん!」
彼女の光る汗と、何ともすごい急いで発した言葉に俺は感動した。そして走った。
喜びとハチマキパワーのお陰でな。思った以上に速く走ることができたんだ。
すっかり俺は舞い上がって

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ヨロシクの現実逃避

さあ、今日も忙しいぞ~!
色んな人にヨロシク言ってまわる。
ぼくの口癖「よろしく!」いいでしょ?
これ誰にでも使える言葉じゃないけど、
よろしくいっておけば、いざという時に助けてもらえるんだ。

先日はどうもありがとうございました。
今後ともどうぞヨロシクおねがいします!

フォトグラフの現実逃避

思い出って普通色あせるよね。
でもね、僕の撮った写真は永遠に色あせない。
それどころか、時が経てば経つほどに一層美しく映し出されるんだ。
写真に写ったばーさんは二年後どうなってると思う?
ぴちぴちの娘に変身しているんだ。
青白く頬のこけた病人はどうなっている?
そう、ふっくらと頬が元に戻ってすっかり普通の人と同じ顔色になっているよ。

僕は不思議な魔法をもっている。
ただの写真家ではない。
真実を

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シャイニーの現実逃避

シャイニーの現実逃避

いつでも輝いていたいわたし。
もう64だもの。
ネイルも指輪もネックレスもイアリングも
みーんな光ものを選んで。
年を感じさせない努力はしているつもりよ。
輝く女は何歳になっても目立つわ。

でも、勘違いしちゃだめ。
いい意味で内側から「輝く」のがいい女よ。
じゃらじゃらかざりもんは本当は必要ないの。 嫌いだわ。

木霊の現実逃避

  
ソバージュ にしてみたの・・どう?似合う?
自分でしてみたの。
5時間もかかったわ。
美容師の意見を聞きたいの。
だからおしえてよ。
「私にソバージュはお似合いかしら?」

昨日の晩にどうしてもお洋服が欲しくなったの。
何を買ったと思う?
えーとね、オーバーオールを買ったの。
「何でオーバーオールを買ったの?」
って聞いてよ。
「ソバージュに似合うから」って答えるから。

ねえ、お洋服の店

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ロミオの現実逃避

うぬれの細胞を、溶かしてやるぞ!
ロミオは言った。
理科の実験の気分で、ジュリエットの細胞を
扱いたく思ったんだ。
「それはだめよ」
と、かたくなにジュリエット断る。

ロミオはどうしても細胞が欲しい。
欲しくて欲しくて、まるでサイボーーグの様に逞しい体になっていくロミオ。

「いいかい、ジュリエット、君の未来は保証しよう。だから細胞をよこすのだ。」
「未来とは何ぞや」

ジュリエットには未来がな

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ウルフの現実逃避

ウルフの現実逃避

おのれの自転車を、投げ捨てて
深い深い川の底にその姿はなくなり、
もう歩くことしかできない。

そよかぜが私の頬をやさしく撫で、
そのあと北風がわたしの頬を激しく殴り、

とうとう我慢しきれず、わたしは川の底の
自転車をさがしにいく

サンボの現実逃避

ぼくの唯一すきな空間はね、
よく晴れた日に、ひろげた傘を重ね合わせ
てできた空間なんだ。
家の庭にたくさんの傘をひろげて、
だあれも来ちゃいやだよ。
隙間のない空間に 私の存在をかくしたまえ!
ああこれで何からも守られる

だから ねえ
傘を閉じないで、おかあさん!

トリコロールの現実逃避

ああ この渇きは一体どこからくるのだろうか????????
わたしはもうどれほどの水を身体に含ませた
ろう。
でも癒えないなにかが、ある。
そのかわきは決して身体のみがかんじているものではないと思っていた。ついさっきまで。

僕は必死に考えようとしなければならないと思い、必死になって考えたのだ。
一体この渇きはどこからくるのだろうかと。
水は教えてはくれない。
そんなのはわかっている。
でもなぜか

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ナルシシズムの現実逃避

最近の俺の口癖、それは「俺時代」。
俺は俺の時代がやってきたと思っている。
俺は俺なりに思想というものがあって、俺の正しいように生きているつもりだ。
俺には俺の哲学があって、誰にもわかっちゃもらえないけど、俺の美学があるんだ。
俺に不可能なことはないし、俺の存在が世の中にいい影響を与えてると思っている。
俺に近づくものは拒まないし、去るものは追わない。それが俺のやり方さ。

こないだ日本史の授業で

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サップウケイの現実逃避

ぼくは毎日のように引越しをしていた。
引越しは僕の人生だったかもしれない。
放浪の旅をするより金がかかる。
家賃は日ごとに一万ずつ上がり、家はだんだん城のようになっていった。

実はぼくは金にこまっていてね。
なに、貧しいからじゃない。逆だ。
大金持ちの跡とりむすこだからさ。

でもおれはおやじが嫌いだった。
三年前、おやじは俺が家に連れてきた婚約者のことをさんざんけなしたんだ。
もっと知的な女性

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シグマの現実逃避

数学は苦手だった。
ぼくは学校から帰るときまって
ゲームをやった。
数学の宿題があることを忘れようとね。
でも夕ごはんを食べたあと宿題のことを
思い出す。

数学といふものはどうも厳しい。
まるで僕の存在をことごとく否定しているかのようだ、まるでぼくは一生大人になんかなれないんじゃないかと思わせるくらいだ。
僕の人生のこれからを暗いものにしていく
ようにさえ、思ってしまう。
数字がぼくを責め立て、

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