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逃避のごみ箱

昨日食べたお菓子の袋が捨ててある

おいしかったなあ

あっという間に無くなってしまったけれど

食べている間、ぼくは幸せだった

さっき、ごみ箱に捨てたガム、ティッシュに

くるまなかったから、

ごみ箱にくっついちゃったの。

母さんがごみの日に気がついたら、

怒るだろうなあ。

ガムってすぐに甘くなくなるもの、

ぼくはかっとなって 「ぺっ」て吐いた

だからくっついてしまったんだよ

兄さんが鼻くそを拭きとったティッシュを

丸めて、わざと遠くからごみ箱に入れようと

している

ぼーっと見ている私の前で、得意げにごみ箱に

投げ入れた

「あー!くそう!」見事に外す兄さん。

格好わるくて、見た分、時間の無駄だった。

もしごみを捨てるごとに、水が流れ出すごみ箱

があったとしたら、次から次へと捨てていき、

気がついたら水があふれ出して

家中水浸し。ごみと一緒に家族と平泳ぎをし

て、身も心もくたくた。

水かさが増せば増すほど、ああ、きょうもごみ

が沢山でたんだな、って、

ぶくぶく水中反省会をするんだ

そうして次の日から、私たちはごみを捨てない

ように気をつけるようになるんだ

もしごみを捨てるごとに、ごみが消えるごみ箱

があったとしたら

次から次へと捨てていき、気がついたら家の外

にごみが積み上げられていく

隣の家の人が迷惑がって、わたしたちを

非難する

そう、ごみ箱の中は、玄関の外に繋がっている

のだ

なんて恥ずかしくて、迷惑なごみ箱だろう。

もしもごみ箱の中に小人が住んでいたら

どんなだろう

小人の暮らしをのぞいてみよう

おや?ごみ箱のおうちの中には、

私たちのおうちとおなじように、

ごみ箱が置いてあるぞ

きっと食べかすなどをすてているに違いない

哀れなことに、小人は私たちが捨てるごみが

降ってくる日常に疲れて、病気になるんだ

それを知った私たちは不憫に思い、

具合が良くなるくすりを投げた

たちまち小人たちは元気になるけれど、

ごみが降ってくる暮らしは変わらない。

小人の暴言ってやつは、体のわりに、ひでえ

ものさ。

「あんたらみたいなクズ、ごみ箱にすてて

やるぞ」「このクズ野郎!こんなごみ箱、

くれてやる!」

そうこう不満を言いながら、小人は家族で

出てってしまった。

私たちは安心してごみ箱にごみを捨て続けた。

しかし今度はわたしたちのおうちに何やら

ごみが沢山降ってくるんだ

天井を見上げると、私たちを覗き込む、

先ほどの小人の家族が・・・!

彼らは巨人となって私たちの家をごみ箱に

してしまったのだった!


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