映画「月極オトコトモダチ」を観て――男女の友情は果たしてレンタルできるのか?
「恋愛感情を飛び越えろ」
印象に残るこのコピーを題した映画「月極オトコトモダチ」ずっと楽しみに観られるのを待っていたのですが、さきほどイオンシネマ金沢にて、観賞して参りました。
公式サイトはこちら
すごーくすごーくいい映画だったので、ぜひたくさんの人に観ていただきたく、noteを書きますね。ネタバレも書いているので、観てない方ご注意してくださいね。
もともと、この映画を観ようと思ったのは、俳優・橋本淳さんのファンであったことが始まりです。
五年ほど前に、金沢で上演された劇団・柿食う客の「世迷言」という舞台を見に行き、猿役の橋本さんの演技に触れて「ああ、すっごくいい俳優さんだなあ」と思ったことがきっかけで、ときどきそれから気になる役者さんとなっていました。
そんな橋本さんが、主演のお一人(もう一人は、ヒロインの徳永えりさん)となっている映画が金沢で上映されると聞いて、行かないわけがない。
というわけで「月極オトコトモダチ」の金沢上映が決まったときから、楽しみに待っていました。
さらに、公式サイトのツイッターから、穐山茉由監督についても知ることができ、その映画にかける熱意に、心を打たれ、ますます観たくなっていました。
穐山監督は、アパレルブランド「ケイト・スペード・ジャパン」でPRマネージャーとして働きながら、30代で映画の道を志し、夜間の映画学校に通って、監督としてデビューしたそうです。会社員と映画監督の二足のわらじを履きながら制作したという裏話に、すごく胸が熱くなりました。
監督インタビューはこちらから。
さて、いよいよ本編の話に入っていきます。
「男女の間に友情は本当に存在する?」
アラサー編集者の望月那沙は、ひょんなことから、「男女関係にならないスイッチ」を持つと語るレンタル"オトコトモダチ”の柳瀬草太に出会う。一方、那沙のリアル"オンナトモダチ"である珠希は音楽を通じて柳瀬と距離を縮めていき……。仲良くなっても、「契約関係」の壁はなかなか越えられない。恋愛と友情、夢と現実のはざまで悩む男女が織りなす、不思議な関係の行きつく先は……?
公式サイトから上記のあらすじを引用しました。
徳永えりさん演じる、編集者の那沙は、男女の間に友情は存在するか?ということを検証したくて、レンタルオトコトモダチの、橋本淳さん演じる柳瀬と、月極契約を結びます。
那沙は、さらに柳瀬との関係を、自分が勤めるメディアの連載として、こっそり発表していきます。
那沙と柳瀬は、都内(だろうと思うのですが)の給水塔の写真をカメラで写しながら、トモダチとしての時間を過ごします。
しかし、ある日熱を出した那沙を見舞いにきた柳瀬は、那沙のルームメイトである珠希と出会い、二人は共通の好きなこと「音楽」を通して、ぐんぐんと距離を縮め――
もうね、歌と電子ピアノでセッションしている柳瀬と珠希をただ蚊帳の外で見ているしかできない、那沙がいじらしくって。自分がレンタルしたトモダチのはずだったのに、その枠の外で仲良くされて「なにー!?」っていう気持ち、わかりました。
そして、柳瀬の距離の取り方が、また絶妙なの。近づきすぎず、でも遠ざかり過ぎず。食えない男だなあ、と思いました。
二時間レンタルしたごとに、判子をスタンプカードに押していく。スタンプがいっぱいになったら次のカード。そういう演出も上手いです。
那沙は、編集長に「あること」をやりなさい、とけしかけられて、柳瀬の家に、終電をわざとなくして泊めてもらいます。
そのひと晩のシーンが、とてもはらはらして、良いです。柳瀬が「これも記事にするの?」といったときの那沙の表情。
男女の友情はありうるか、ということをふたりで検証するシーン。
私は、那沙がすごく不器用だなあと思いました。そこがいとおしいなあとも。
「言葉は記号のようで記号じゃない」
柳瀬が、那沙に送った言葉です。
「レンタル友達」は、本当に「レンタル友達」という「記号」をさし示しているのか。そのまんまの意味なのか。
それとも、その記号からこぼれおちる何かを持っているのか。
そんなことを考えました。
音楽を通して、最後に那沙と柳瀬と珠希がつながるシーンは、とても素敵でした。
そして、物語は、とってもハッとするラストへと導かれていきます。
今日の契約終了の判子の使い方ー!!!
終わり方、とっても好きでした。
「トモダチ」という言葉の素敵な意味を、強く信じ続けたい那沙。
「トモダチ」という契約から、一歩進んでもいいとふっきれた柳瀬。
二人のこのあとを想像すると、ただただ幸せな気分になりました。
まだまだたくさんの人に、観られるべき映画、評価されるべき映画という気がします。
柳瀬ピース、にもぜひ着目してください。
みんな、上映してるとこまだあるから、ぜひ行ってみてー!!
公式Twitterもあります。
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