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ふたつの月の焼きっぱなしケーキ

甘いものよりしょっぱいもののほうが好きだった。子どものころ、いちごのショートケーキが苦手で食べられなかった。そんな私も、年とともに気づけば食べものの甘さを楽しめる大人になっている。

料理をするようになっても、スイーツのレシピにはあまり手が伸びず、総菜やごはんもののレシピばかり試していた。やればやるほど、料理は楽しくなって、いつしか日々のルーティンに欠かせない私の大切な作業になっている。

お菓子づくりを、もういい大人になってからやってみようと思ったのは、案外簡単にできるんだ、ってことがわかったからかもしれない。

子どもの頃に母と作ったスポンジケーキは、とても手間がかかるように記憶していたけれども、つい最近になってホットケーキミックスを使ってあっという間にできる焼き菓子のレシピを試すようになり、その簡単さに驚いた。

20分もかからず生地のベースを作れるだけでなく、ケーキを焼く時の型に合わせて型紙を切る必要などなく、生地を入れて焼くだけの紙を使えば、さらに速い。

涼しくなってくると、焼きっぱなしのケーキに珈琲や紅茶をあわせて食べることが、とても幸せな気分を感じるひとときとなる。

新しいお月見の企画を「楽しそうだな」とnoteで眺めていて、ふっと思ったのだけれど、最近立て続けに焼いたケーキが、どちらも中秋の名月を連想させた。

ひとつは、祖母の葬式でもらってきた供え物のりんごが、水分が抜けてぱさぱさになっていたところを、焼き込んでみたケーキ。ケーキの生地と合わさると、りんごのぱさつきが気にならなく、焼いたことでりんごの甘さがひきたって美味しい。

ごつごつした表面が、まるで月のクレーターのように見える。

ふたつめは、今朝焼いた、チャイの茶葉とバナナを焼き込んだケーキ。まんまるく黄色く美味しそうに焼けて、満月そっくりだ。砂糖控えめで作ったので、バナナの優しい甘さが嬉しい。

お月見、お団子もいいけど、こういう月にそっくりのケーキを焼いて、名月を愛でるのもまた一興ではないか。

夜だから、カフェインレスのコーヒーや紅茶を合わせるのもいい。あたためた牛乳もよさそうだし、あったかいほうじ茶とも合いそう。

ちなみに、チャイの茶葉とバナナでケーキを焼きたいと思ったものの、適当なレシピが見つからず、はじめて自分なりのアレンジでつくってみた。とてもうまくいったので、嬉しくなった。

古来より日本に文化として根付くお月見を、新しく見直そうというこの企画、とてもすてきだなと思った。

焼きっぱなしのケーキでお月見、あなたもいかがですか。


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