「音楽情報サイト編集長鼎談」に行ってきた。

オトトイの学校×ミューズ音楽院 presents 音楽情報サイト編集長鼎談 ~編集長たちは、どんな未来を描いているか? ~
http://ototoy.jp/school/event/info/136

こんなイベントがなんと無料で開催されるというので即行で申し込んで参加してきました。

登壇者はナタリーの大山卓也さん、CINRAの柏井万作さん、OTOTOYの飯田仁一郎さん。司会は永田純さんです。関係ないけど「モデレーター」とか書かれてなくて良かった。

あいにく山手線がドンピシャのタイミングで線路に人が立ち入ったとかで運転見合わせ。別ルートからの移動を余儀なくされた結果20分ほど遅れてしまいました。

中に入ると「編集長の一日」というテーマでトークが進んでおり、24時間のスケジュールが円グラフになってスクリーンに映し出されていました。お三方ともほぼ同じようなスケジュールになっていて、午前中には出社してメールやら原稿やらを処理し、午後は取材や打ち合わせ。夜はライブあるいは会食、そして帰宅後に原稿等行って就寝。

OTOTOYの飯田さんだけ少し違っていて、苦手だから会食はしない、とか朝7時からバンド練習(曲作り)とか…。PUNKSの朝は早い…!

口をそろえておっしゃっていたのは、編集長になると自分の作業(原稿作成等)はいちばん後回しになるので、どうしても諸々終わって夜遅くからになってしまう、ということ。ナタリーの大山さんは、未読メールが27万通あるとおっしゃってました(笑)

また、スタッフから見た編集長というテーマで、それぞれ事前にアンケートを取って発表していましたが、ここで大山さんのキャラが炸裂。柏井さんについてはとても無難に、適度に持ち上げるというレベルでしたが大山さんの場合はオザケンの全国ツアーすべてのチケットを取って、オザケンから「そういうのはどうかと思う」と言われその後チケットを他の人に譲った話を暴露されたり、恋愛事情を相手によってツイッターで晒されることがあるがキモいし興味ないし勝手にやっててくれ、と書かれたり。社内における立ち位置が垣間見える内容でした(笑)

毎週テレビ出演もしていますが、社員からそれについて何か言われたこともない、と。飯田さんはあまりに面白いアンケート内容にとても悔しがっていました。そういう飯田さんについて、アンケートでは編集長にバンド、ボロフェスタまでやっていてそれで就寝時間もしっかり確保するなんて化け物か、というコメントがありました。

音楽メディアの未来という話の中で各編集長が語っていたそれぞれのポリシーというか目指すところについてのお話。ナタリーは「速い、フラット、ファン目線」の3つを大事にしているという話でしたが、それにもう1つ付け加える、もしくは支えるものとして「報道」という言葉をあげていました。主観入れず、噂レベルも除外してソースのしっかりした情報を発信する、と。

某アーティストの事件において一部メディアがいち早くWEB等に掲載し始めたころ、大山さんのところに社員から電話がかかってきて、その事件を知ったと。裏を取らなければならないと判断し、湾岸署→警視庁と連絡を入れるも、コメントすることはなにもない、と手詰まりに。他メディアが続々と事件について配信するなか、ナタリーは最終的に、裏を取ることができなかった以上その時点では情報は載せられないと判断したわけです。既存メディアには警視庁記者クラブなどに人を送り込んでいてパイプもあるので裏が取れるんでしょうけど、ナタリーにはそういうルートがなかったと。

「報道」を実現できるようにしていきたいというのがひとつの未来像とのことでした。少し話は逸れますが、○○ナタリー、というメディアを将来的にはもっと増やしていきたいとも語っていましたね。

CINRAについて柏井さんは、コアな音楽ファンだけでなく、ファッションや映画、アートなどに興味ある人が集まるので、そこで新しい音楽と出合って欲しいというコンセプトのもと、運営しているとのことでした。ナタリーのように1日70本もニュース配信することは人的リソースの面からも不可能ということで、必然的にセレクトされたニュースを配信することになりますが、見出し等にも工夫して、だれにでもわかりやすく興味をもってもらえるようなかたちで配信しているとのことでした。

OTOTOYの飯田さんは、目指すところは「ナタリーとitunesの中間」とのこと。これは配信を行っているOTOTOYならではの視点です。MGが発生するなど、メジャーレーベルとの契約についてはハードルがあってなかなか思うように増やせない実情もあるようですが、インディーズの面白そうなバンドをうまくフックアップして、ともに大きくなれることが喜びだという話です。

実際、インターンで入った人が「森は生きている」がイイ!とプッシュするのでじゃあ記事にしなよと進めたところPVが増えてアーティストの認知度もグンと伸びたというエピソードを披露していました。1万人が盛り上がるより20人が盛り上がるほうがおもしろい、というようなニュアンスのこともおっしゃっていて、その20人が盛り上がっている瞬間をうまくキャッチして広げていきたいし、それがOTOTOYの目指すところというようなことをお話しされていました。

オフィシャルなレポートも出てると思いますので、今回は自分が面白いなと思った点を抜き出して書いてみました。それぞれのスタンスの違いなんかも興味深かったです。たとえばCINRAではわかりやすく、という意味で「4人組ロックバンドの○○が~」と書くけどもナタリーでは「4人組ロックバンドのMr.Children」ってふつう書かないでしょ?と、ミスチルでは書かないなら他のバンドでも書かないという公平さ(フラット)を重視しているといった話もあり。

もっともっといろいろな話を聞いていたかったなあと思える楽しいイベントでした。終了時間も結局1時間近く延長していましたね。他の音楽情報サイト編集長なのか、あるいはもっと現場の人を呼ぶか。いろいろな組み合わせが考えられると思いますので、ぜひ第2回の開催を希望します。

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