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【ライブレポート】2021/7/22 LACCO TOWER 19th Strings LIVE「五人囃子と四重奏」feat.狂想カルテット

LACCO TOWER結成19周年を記念したライブ『五人囃子と四重奏 feat.狂想カルテット』が開催された。例年、7月のこのタイミングで周年を祝うライブを実施してきたLACCO TOWER。2020年はコロナの影響で開催断念となったが、今年は感染対策を施したうえでキャパや終演時間などにも制約を設けてライブを実現させた。

「狂想カルテット」と題した、大島理紗子(Vn) / 盧佳那(Vn) / 飯野和英(Va) / 松本恒瑛(Vc)の4名と共演する豪華編成でのステージとなったほか、当日はオープニングアクトとして先日メジャーデビューの発表があった松川ジェットも登場。LACCO TOWERの周年イベントに花を添えた。

私自身、LACCO TOWERのライブ現場に足を運ぶのは2019年9月の「Rhythmic Toy World 10周年企画」以来、2年弱ぶりとなる。さっそく、当日のライブについて振り返ってみたい。


★松川ジェット

アルバム発売直前、正式デビュー前のタイミングでライブデビューとなった松川ジェット。とはいえ、以前から「松川ケイスケと真一ジェット」というユニット名で何度もライブを実施してきているふたりは、貫禄たっぷりにフロアを沸かせる。

いつものように東京スカパラダイスオーケストラの「水琴窟 -SUIKINKUTSU-feat.上原ひろみ」が流れる中でステージに登場する。

すでに数本、YoutubeにアップされているMVと同様のオーバーオール&眼鏡スタイルで現れた松川ケイスケ(Vo)と真一ジェット(Key)。トークがやたらと長いことで評判(?)のユニットだが、短めに挨拶を済ませるとまずは歌を、とばかりに1曲目「真赤な太陽」を披露する。

タイトルに合わせて鮮やかな赤の照明がステージに落ち、真一のキーボードの音だけを頼りにケイスケが歌を紡ぐ。美空ひばりのあの独特の発声を思わせる、魔力を帯びたような歌声が圧巻だ。

真一の演奏とケイスケの歌、そしてフロアからの手拍子という3つの音が織りなすライブで幕を開けたが1曲目だったが、その終わりにはこのユニット特有の〆ジングル、

チャチャチャン
チャチャチャン
チャチャチャンチャン♪
ヘイ!

が発動する。真一によるキーボードが生み出すこのジングル、松川ケイスケと真一ジェット、通称松ジェではおなじみの“発作”である。

その後のトークでは、「松川ジェット」として初ライブとなるので、ここからまた新しいキャラクターを作れるのでは、という話に。クールなケイスケに対し、ファニーな新キャラを自ら提案した真一は、両手を大きく振りながら「真ちゃんだよ~!」とおどけてみせるも、すぐさま「マジで無理だわ」と呟いてファニーキャラ終了。

7月28日にリリースされる『彼女の出来事』に触れつつ、松川ジェットの歴史を振り返るふたり。
そもそもの発端は2006年、LACCO TOWERの初代ギターが抜けることになり、周年イベントができなくなってしまうという状況で、当時別バンドにて活動中の真一に鍵盤で協力してもらえないかと相談したことが始まりとのこと。

「これがなければラッコに入ってなかったかも」と真一が言えば、「まだ入ってないですけどね」と切り返すケイスケ。このやり取りもLACCO TOWERや松ジェではおなじみだ。

LACCO TOWERに入れるかは、今日のライブにかかっていると気合いが入る真一は、歌も含めすべてのパートをやる、と豪語。キー高いが歌えるのか?というケイスケの問いに「藍染」ワンフレーズ歌唱で応える。こうして脱線していくのも彼らの十八番である。

そんなくだりも終わり、そろそろ曲にいきそうなタイミングで再び「(『彼女の出来事』の中で)いちばん好きな曲は何?」と真一に問うケイスケは、「曲いくと思ったでしょ?」とフロアに向けていたずらっ子のような笑みで語りかける。

ちなみにここまで開演から15分。安定のスロースタートだ。

2曲目に披露したのはNOKKOの名曲「人魚」。青、そして緑という海を連想させる照明の中で、複数の層が重なっているように聴こえるケイスケの伸びやかな歌声がフロアを包み込んでいた。同期も駆使して音の表現をより豊かにする構成は、「真赤な太陽」とはまた違ったアプローチだ。

LACCO TOWERの周年イベントの日に松川ジェットとして初ライブできるというのは嬉しいと語るふたり。真一が「19年前はまだお客さんとして、(対バンとして)LACCO TOWERのライブを観ていた、そんな自分がメンバーになってる…」と話せばすかさず「なってないって」のツッコミを入れるケイスケ。これに乗っかるのが真一の凄いところだ。

「LACCO TOWERのメンバーになってない、実は。メンバーになってないのに結構な数の曲を作って全部のレコーディングもして…メンバーでもないのにこんなことできるんだぜ」

そんな真一の返しに、さらに悪乗りするケイスケは、「曲にしたらええ!『メンバーじゃないのにこんなことできるんだぜ』聴いてください」と促して真一が即興ソングを歌う。これもまた松ジェの伝統芸である。

最後の言葉として真一は「19年前はケイスケとふたりでメジャーデビューするなんて思わなかった。人生何があるかわからないなっていうのがこの19年間で思ったことです」と語り、長らく続いた漫才も一旦〆。

松川ジェットとして本日のラストナンバーは「東京は夜の七時」。真一による「ワン、ティュー、スリー、フォー」という独特のカウントから演奏スタート。
90年代半ばを代表するPIZZICATO FIVEの名曲だ。同期との相乗効果でゴージャスな音色がリキッドを彩り、当時の時代の空気を思わせる華やかさをまとったカバーとなった。

《タクシーの窓を開けて》でハンドルを握るようなアクション。
《留守番電話が》で親指と小指を広げ耳に当てる電話のジェスチャー。
《突然ひとりで廻り始める》で人差し指をクルクル回す。

歌詞に合わせたケイスケのパフォーマンスも発揮され、真一の表現力たっぷりな演奏、そして漫才のようなトークとともに松川ジェットの魅力がたっぷり詰まった30分。

オープニングアクトにしては貫禄も余裕もたっぷりあった“新人”松川ジェットは、ユニットゆえ柔軟に動けるのも大きな武器だ。これから先、LACCO TOWERとしての身動きが取りづらい状況が生まれた時でも、そのピンチを救う存在になってくれるかもしれない。

セットリスト
01.真赤な太陽(美空ひばり)
02.人魚(NOKKO)
03.東京は夜の七時(PIZZICATO FIVE)


★LACCO TOWER

約30分の換気タイムを挟んで、いよいよLACCO TOWERの登場だ。場内暗転してからしばらく動きがないように見え、空調の音だけが聞えてくる時間に少しドキドキしていると、おなじみの登場SE「狂想序曲」が流れてきた。
ステージにはすでに狂想カルテットの4人がバイオリンやビオラ、チェロを弾いている。四重奏が加わった「狂想序曲」はとても新鮮に聴こえた。

やがて重田雅俊(Dr)、真一ジェット(Key)、塩﨑啓示(Ba)、細川大介(Gt)、松川ケイスケ(Vo)がステージに登場。全員が黒に染まった衣装を身にまとい、「らしさ」全開でオープニング曲「未来前夜」へと突入。

ストリングスが入ったため、バンドのみでの演奏時と比べて曲が全体的にまろやかに感じる。回転ジャンプで魅せる大介や、真一に笑いかけながらコーラスをする重田などメンバー個々の動向も見逃せない。

フロアには座席が用意されていたがほぼ全員が立ち上がり、めいっぱい拳を突き上げている、そんな景色が目の前に広がり、胸が熱くなる。

「五人囃子の四重奏へようこそぉぉぉぉ!」と闇を切り裂く歓迎メッセージを届けたケイスケは、「今日は我々の誕生日、あなたたちの手がないとどうにもうまくいかなくて」と手拍子を促し、次の曲へと突き進む。

2曲目となる「蛹」では緑、赤、青の照明が実に鮮やかにステージを照らし、高速BPMのゴリゴリロックナンバーに四重奏のメンバーもノリノリだ。真一も椅子の上に立ち上がり、攻めるパフォーマンス。

冒頭2曲で早くもエンジンフル回転なステージを見せた9人。四重奏の参加による音楽的効果はもちろんだが、彼女たち4人がこのライブを楽しんでいる姿がさらにフロアの熱を高めているようにも感じた。

MCでケイスケは謝罪を口にする。オープニングアクトを務めた松川ジェットが、3曲で34分、4分押すという大事件を起こしてしまったと。口の周りが血だらけメイクな大介をイジリつつ、さらに二度目の謝罪で、今日のライブは観客が声を出せないことに触れる。

そして「お口はチャック、手は頭の上に!みなさま、準備の方よろしいでしょうか?」と続け、3曲目の「杏子」へ。

冒頭の《杏子色の空から》~《届け黒い影》までのフレーズを、ひとりスポットを浴びてアカペラで歌いきり、合間に「今日は絶対来たことを後悔させへん日にしてあげるからね」の言葉を挟み込む。その圧倒的な存在感が、個性あふれるメンバーが集ったバンドのフロントマンとしての歴史と誇りを感じさせる。

赤味がかった杏子色の光が曲の世界観をステージへと落とし込み、大介のギターが四重奏と絡み合ってチーム・弦の破壊力が増していく。真一は再び椅子の上に立って器用に暴れて、自身のたぎったエネルギーを発散しているかのようだ。

「悩んだ人もいるでしょう、来ていいのかどうかって」
「そんなもん関係あらへん!」
「今日そこ(ライブハウスの扉)を出る頃は来てよかったと、最高だったと言わせて帰らせてあげるからね!」

そんなケイスケの熱い煽りを経て、その熱を上回るアッパーチューン「狂喜乱舞」へ。
伸びた髪を振り乱しながら演奏するワイルド啓示に、圧巻のギターソロを披露する大介。この両翼が立ち位置を入れ替わって演奏する場面も。フロントマンのケイスケは全身を使って歌と感情を表現している。躍動するフロントの3人から目が離せない。

5曲目は「線香花火」。「狂喜乱舞」とは対照的な、真一による心の奥底にそっと触れるような優しいキーボードサウンドから始まり、四重奏によるストリングスが加わってバウンドサウンドに帰結するオープニングが出色だ。決して激しいナンバーではないが、この曲における重田の、軸のぶれないドラミングが心地よい。四重奏もいいアクセントになって曲にさらなる表情を与えてくれる。

続いては真一がスポットを浴び、流れるように繊細なキーボードで始まる「歩調」。サビへとドラマチックに展開していく構成、そして前に進んでいくことがイメージできる大介のギターリフも印象的だ。

温かなキーボードの音色で幕を開けるは「遥」。狂想カルテットとの相性も抜群な一曲。決して派手さはないが、AメロやBメロでもしっかりと聴かせてくれるギターも素晴らしい。ソロだけが見せ場ではないことを証明する大介のプレイだ。アグレッシブな曲ではギラギラしたケイスケの歌声も、「遥」では温もりを帯びて聴く者に寄り添ってくれる。その振り幅の広さは見事のひと言。

MCブロックでは、リキッドでのライブは2年ぶりということで、かつてこの場所での周年イベントで神輿をあげていたうちのひとりが今はアイロックスに就職している、と時の流れを感じさせるエピソードも披露。

「戦おうと思っても戦うことすらままならなかったこの何年か」
「みんなどんな思いで来てくれたんかなと」
「歌を歌いながらいろいろ考えていました」
「戦わないで負けるなら戦って負けた方がいいと」
「そんな思いを込めて作った曲です」

ケイスケのMCに続いて演奏されたのは「無戦無敗」。
《Oh-oh-oh-oh oh-oh-oh-oh》と静かに、それでも勇ましく始まる曲の頭で手を高々と掲げる大介。照明も演奏もとても攻撃的でタイトルに「戦」「敗」の文字が入る曲にふさわしい演出。1サビ終わりで一瞬だけスポットを浴びてソロプレイをぶちこむ啓示が抜群にカッコいい。
2サビ終わりで拳を掲げるフロント3人、絵になる瞬間だ。


「今日リキッドに来るまでに暑いなあって思った人?」
「もう夏やなぁって思った人?」
「これやらんと日本の夏がこないでしょ!」

ケイスケのこの言葉で思い浮かぶのは1曲しかない。そんな9曲目はもちろん「藍染」。メンバーの動きが激しく、ポジションも替わる。大介は真一の隣で、啓示は重田と向き合って演奏する。

主に捧げるかのようなギタープレイを見せる大介の頭をなでるケイスケの図に思わず悶絶しそうになる場面も。跳ねる啓示にステップする大介と賑やかな両翼を従えて、センターを堂々引き受けるケイスケがさらに光を放つ。さすがLACCO TOWER夏の風物詩である「藍染」は、確実にリキッドに夏を呼び込んだ。

空気が変わり、大介によるブルージーなギターソロで始まったのは、「香」。ミディアムなテンポによりケイスケの歌声が映える曲で、じっくりと耳を澄まし、酔いしれたくなる。だが、ただそれだけでは終わらないのがLACCO TOWER。アウトロに向けて壮大なギターが鳴り響き、それはまるで切々と歌い上げているかのようだった。大介で始まり大介で終わる名曲。

すべてがひとつの糸でつながっているような美しい旋律を紡ぐ、真一のキーボードによるオープニングで始まったのは「非幸福論」。歌が始まればそれまでの流れるようなキーボードソロから空気一変、暴走モードのスイッチが入り高速で音符が駆け抜けていく。

「後半戦いけるかリキッド!」とケイスケの号令がさらに熱を加速させ、気づけば重田はタンクトップ姿に変貌を遂げていた。

狂想カルテットによる、ステージ上手側の音の厚みも凄い。一方で楽曲を下支えするベースの迫力が際立つ。いつもは聴こえない音がある、という点とカルテットとの対比になるベースのバランスが新鮮だ。


「ラッ子のみなさん準備はよろしいですか?拳ちょうだい!」

ケイスケのこの言葉を合図に、リキッド中が拳を高々と上げる。演奏のため物理的に不可能なドラムの重田とキーボードの真一以外、狂想カルテットも一緒になって激しく情熱的にいくつもの拳が宙を舞う。

この日12曲目となったのは「火花」。大介の強烈なギタープレイに啓示の低空ベース&ステージダッシュも炸裂。ラストはキーボードの上に乗ってLACCO TOWERのタオルを掲げる真一の姿でピリオド。内なるエネルギーをすべて吐き出してしまいたくなるような、パワーを引き出す魅力がこの曲には存在する。そんなことを思わずにはいられない、各メンバーの超攻撃的パフォーマンスに圧倒された。

本編最後の曲を前に、ケイスケのMCが始まった。

コロナ禍でいろいろ考えて、そのうえで足を運んでくれたファンに対して、喜びと感謝を伝える。

何もできず、バンドマンがいかにみんなに生かされているかを痛感した一年。本当に伝えたいこと、分かち合いたいことが胸の中に生まれて、でもそれを伝えるすべがなく。メンバーそれぞれに体調も崩してしまった、そんな18周年だったと語る。

しかし19周年は新しいアーティストも生まれ、口には出せずともみんながおめでとうと言ってくれる現場に立ち、バンドをやっていてよかったと改めてその喜びを表すケイスケ。

来年“成人式”を迎えるLACCO TOWER。自身が19歳になった時に感じたあの感情がバンドに甦っているように、なんにでもなれる気がするし、なんにもできない気もする。明日はすごく素敵な気がするしそれでも今日凄くつらくて眠れなかったりする。そんな頼りないLACCO TOWERを、ここにいるファンはどんなときでも支えてくれるんだと今日あらためてわかることができた。

そう言ってケイスケは目の前にいる、そして配信を見ているファンに丁寧に感謝の気持ちを伝え、「ありがとう」の言葉を口にする。

そして「来て良かった?俺らはやってよかった、ほんまによかった」と今日のライブを開催するという決断に対して納得する答えが出せたことにも満足しているようだった。

あふれる思いを伝え終えると、本編最後となる「若者」を熱唱する。「もっともっと、明日は明日は、という思いがみんなに伝わりますように」という言葉とともに。狂想カルテットとLACCO TOWERのアンサンブルの美しさが際立つ、ラストにふさわしい演奏となった。

「夢のような日々をありがとう」
「また来年も会ってくれますか?」
「こんな我々を愛してくれますか?」
「愛してるぜ、ありがとう!」

最後にこの言葉を残してステージから去る、ケイスケをはじめとするメンバーたち。

例年であればここで「ラッコ節」によるコールが始まるが、コロナ禍では大声厳禁。観客は声を出さずに手拍子でメンバーを呼び戻す。


LACCO TOWERのアンコールではメンバーそれぞれが今日のライブについて語っていくスタイルをとっている。しかもかなりの長尺で。しかし今はコロナ禍真っただ中。終演時間や撤収時間も厳守ということで各自コンパクトにまとめていた。※大介のみ周囲から(主にケイスケ)ヤジが入ったため長めになってしまい啓示からの小言もあったが。


■啓示
「結構なことだと思わない?ライブできてるって。“なう”よ“なう”!」
■重田
「おまえたちのおかげで19年やってこれたぜ、THANK YOU ROCK YOU!」
■大介
「ライブが、ギターが、音楽が好きだなってやってて思って」
「みんなの顔が見れればすげえ嬉しいし、いいプレイできたなと思ったら嬉しくなるけどミスれば悔しいし」
「感情を表せるのはみんなが見てくれるライブしかないなって思って、今日は幸せを感じています」


「以上のメンバーで…」とケイスケに自身を飛ばされるや否や、即興でキーボードを弾いてから「おーい!」のツッコミ。キーボード演奏は今までにないパターンだが、スルーからのツッコミは真一お約束の流れだ。

■真一
「19周年ありがとうございます」
「人間でいったら19歳、青春真っただ中」
「自分が19歳の頃、この3人でバンドやっててマジで最強だと思ってた」
「今、LACCO TOWERが19歳になって、今でも最強だって思ってるよ!」


そして最後はケイスケからのメッセージ。


■ケイスケ
「なんにもええことないな、コロナなんて」
「でもコロナがあったから俺らもカルテット迎えてやろうってアイデア出たし」
「叫ぶだけが、転がるだけがライブじゃない」

「今日は楽しかったですか?」
「胸を張って今日は楽しかったと思って帰れるように、最後はこの曲で」「いつか来る向こう側のあったかい春の日を求めて」
「まだ寒いかもしれへんけど、それまでずっとここで歌い続けとるから」
「また帰ってこいよ!ええかおまえら!」

19周年を記念するライブの締めくくりに選ばれたのは「薄紅」だ。狂想カルテットと大介が向かい合っての競演を果たす。フロアだけでなくステージに立つ皆が笑顔を浮かべ、充実感で満ち足りた表情をしていた。

「LACCO TOWERでしたどうもありがとう!愛してるぜ!」とケイスケが叫ぶ。全身全霊でこのライブに臨み、チャージゼロ状態になるまで走り抜けた啓示は演奏を終えると同時にステージに倒れこむ。

ライブの終わり、寂しくもあり清々しくもあり。


カルテットの4人はとても楽しそうに演奏し、演奏パートではないタイミングでは積極的にライブを楽しむように体を揺らし、ときには跳ねて盛り上げていた。現場では柱の位置の関係でほぼ大島の姿しか観ることができなかったが、配信のほうでもチェックし、4人それぞれに楽しんでいることが伝わってきて、その姿が今日のライブの成功を物語っていたようにも思う。

追い風よりも向かい風のほうが多い、そんな境遇の中でもがきながら歩みを止めずにここまで来たLACCO TOWER。そのキャリアは伊達じゃない。壁にぶち当たればその都度、打開策や回避策を考え、工夫してきたそのスタイルでこれからの5年、10年をふたたび歩んでいってほしい。

群馬を筆頭に全国のファンやバンドマン、音楽関係者に今以上に愛される存在となって飛躍していくストーリーを楽しみに、LACCO TOWERのこれからを見続けていけたらと思う。

なお、本日のライブの模様は2021年7月28日までアーカイブ配信中。見逃した方はぜひチェックしてほしい。※松川ジェットはオープニングアクトのため未配信

セットリスト
01.未来前夜
02.蛹
03.杏子
04.狂喜乱舞
05.線香花火
06.歩調
07.遥
08.無戦無敗
09.藍染
10.香
11.非幸福論
12.火花
13.若者

EN.
14.薄紅

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