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【復刻ライブレポート】2019/8/1 SKAramble Japan@クラブチッタ川崎

DALLAX主催のホッピンやオイスカが楽しいスカヴィルなど地道に長く続けてくれているスカイベントはありますが、まだまだ足りない、もっと欲しい。そんな欲求渦巻く中突如発表された、その名も「SKAramble Japan」。主催は日本を代表するスカバンドの東京スカパラダイスオーケストラにスカシーンにおける若い世代代表のHEY-SMITH。このタッグはめちゃくちゃ強力!

さらにいくつかのバンドは公募で選ぶというアナウンスもあり、これは絶対楽しいやつ…と最初の先行に申し込んで無事当選。

その後に大好きなKEMURI、そしてSHANKの出演も発表となってグレートなメンツが揃い、ワクワクが止まりませんでした。

公募枠での出演者も発表されましたが、ここでまさかのTRI4THの名前が。いつかライブを観てみたいと思っていた彼らを、まさかスカのイベントで観られるとは!

平日の17時からスタートで、しかもトップバッターがKEMURI。職場から川崎まではそこそこ時間もかかるので仕事の調整に手こずったらアウトだなと思っていましたが、その辺は無事クリアして、ちゃんと最初からイベントに参加することができました。

今日はひとりの観客として思いきり楽しんだので、いわゆるひとつの「ライブ終わったら楽しさだけが残って詳細な記憶が飛ぶパターン」ってやつ。なのでライブレポというか、もうツイッターな感じでサクサクいきます。セトリは各所からの拾い物ですありがとう。

■KEMURI

開演が早い=学生中心に若い子が多い=ヘイスミファンが多い?という予想から、KEMURIのライブはどこまで盛り上がるだろう、と勝手にちょっとだけ不安を感じてましたが、これはKEMURIにもヘイスミファンにも大変失礼な思考でございました。

KEMURIのTシャツだけでなく、スカパラ、ヘイスミ、SHANKといろんなTシャツ着た人たちがわちゃわちゃになって踊ったりモッシュしたり走ったりダイブしたり。これぞスカパンク!なライブでめちゃくちゃ楽しかった。

今日は踊りまくって楽しんだのであまりステージ観る暇がなかったかも。それでも何度か炸裂していたふみおジャンプはキッチリ拝みました。年齢を重ねてもまだまだ切れ味鋭い跳躍、素晴らしい!


先日開催されたKEMURI@O-EASTでのライブ後、出待ちをしていたファンに、今日のこのイベントのチケットが手に入らなかったので「ゲストパスで入れてください」と言われたと話すふみおさん。

「非常識なことを言う人、大好きです」なんて言いながらも、「みんなはちゃんとチケット取ったんだから、非常識な人たちのことをあざ笑いながら楽しんでください」とジョークを飛ばして会場を盛り上げます。


「I BEGIN」の前のMCでは、先日病気から復帰したヘイスミ猪狩の話題。病気が発覚した際には心配になって本人にメッセージも送ったそうです。こういうイベントで個人にあてて曲をやるのはどうなんだ、違うんじゃないか?とメンバーとも話し合いをした結論として、次の曲は猪狩の快気祝いの意味も込めてやろうということになったんだそう。

立ち止まりたくなくても立ち止まらなければならないときがある。
大切なのは、「また始めようぜ」。

「また頑張ろう」じゃなく、「また始めよう」

一度解散を経験したKEMURIだからこそ言える言葉だなあと噛みしめながら聞きました。


6曲目にやった「our PMA」には、こんな思い出があります。KEMURIが解散した2007年末。メッセで開催されたCDJで、たまたますれ違ったKEMURI T着たお兄さんに(俺もKEMURI Tでした)突然、《Oh! Yeah! The spirit lives and keeps on growing!That is our PMA!》と話しかけられ…じゃなくて歌いかけられたんですよね。フェスというものに行き始めてまだ時間も経っていなくて、同じバンドが好きな同士でこんな交流ができるのか、と驚くと同時にめちゃくちゃ興奮したのでした。まあ、相手はかなり酒入ってる感じでしたが笑、それでも10年以上前のことをハッキリと思い出せるということは、それだけ印象に残ったわけで。この曲を聴くと今でもあの景色が浮かびます。

ライブ終盤。ふみおさんの「青木くんとギムラさんに贈ります」という言葉で次の曲が「白いばら」だとわかり、もうグっときてしまって曲中もなんだかんだで泣いてました。うん、この曲はどうしても耐えられない。憤ってもいい、ふてくされたっていい。ちゃんとサヨナラをするんだというこの歌は今まで何度も何度も感情の奥底をえぐられてきましたが、初めて触れてから10年以上経ってもまったく色褪せない。それどころか、いろいろと別れを経験してきた分、より一層響いてくる。

改めて自分にとってKEMURIがどれだけ大切で、どれだけ人生を豊かにしてくれたのかをかみしめるような時間になりました。

01.Standing in the rain
02.New Generation
03.Mr.SMILING
04.I BEGIN
05.our PMA
06.P.M.A
07.白いばら
08.Ato-Ichinen
09.I am proud

■MAYSON's PARTY

KEMURIは意外と長文になってしまいましたが、ここからはちょっとシンプルに。

今日初めて観たMAYSON`s PARTY。事前の予習などはまったくせずに臨みました。会場はメインとなるフロアの後方扉から出た先にある通路です。チッタを知ってる方なら、ロッカーがあるところと言えばわかるでしょう。

ここでライブやっちゃうっていうのもなかなか強引な感じですが、お客さんがめちゃくちゃ多くてメンバーの姿はほぼ見えませんでした。鳴らす音楽はとてもPOPかつキャッチーで耳心地良し。すでに解散してしまったSKALL HEADZ(結構好きだった)に近い感じがして、楽しいな!好きだな!と思いながら聴いていました。

物販でCD買えば良かったなとあとで後悔。ライブ後にネットで調べたら、メンバーの中に元SKALL HEADZの人が何人かいて、そりゃ好きな音楽なわけだ、と納得しました。

■SHANK

長崎を代表するメロコアバンド、SHANK。地元で「BLAZE UP NAGASASKI」というイベントを開催するなど、長崎を愛する彼らです。何年も前の長崎スカイジャンボリーというフェスで、九州にいまだ残るライブハウスの系列問題にステージの上から異議を唱えていて、めちゃくちゃカッコよかったんですよね。そこで興味を持ってちょこちょこ聴くようになりました。

結構スカテイストな曲もあるので音源はもちろん、フェスなんかでもチェックしちゃう存在。このイベントに彼らを呼んだオーガナイザー加藤&猪狩、さすがです。

庵原くんは「スカバンドじゃないけどここに立てて嬉しい!」とコメントしていましたが、1曲目の「620」をはじめ、「Life is...」「Take Me Back」などスカ色強めのセットリストで会場にスカダンの嵐を巻き起こします。

「スカミュージック、レゲエミュージックへの愛を伝えたい」といったメッセージの後にレゲエ&スカ色たっぷりな「Frustration」を披露してくれて、思わず顔にやけまくり。

以前SHANKのライブを観たとき、スカ系の曲で若い子たちが思いっきりスカダンしている姿が飛び込んできて、スカっておっさんばかりじゃなくキッズたちも楽しそうに踊るよな~と嬉しくなった記憶がよみがえってきました。

「スカバンドを組みたかったけど田舎だったから…」
そんな思いも吐露する庵原くん。彼の夢が一瞬だけ叶ったのは「Grimy window」のとき。ゲストとしてHEY-SMITHのホーン隊が登場し、SHANK&HEY-SMITH SPECIAL SKA BANDが誕生。ホーンの音をバックに鳴り響く「Grimy window」はSHANKのファンにも、そしてメンバーにとっても思い出に残る一曲になったんじゃないでしょうか。

01.620
02.Movie
03.Life is...
04.Weather is beautiful
05.Frustration
06.Smash The Babylon
07.Two sweet coffees a day
08.Take Me Back
09.drama queen
10.Wall Ride
11.Grimy window(feat. HEY-SMITHホーンズ)
12.Wake Up Call
13.Set the fire

■THE SKA JUNCTIONS

こちらは再び、通路ステージでのライブ。実は当日、体調が芳しくなくてSHANK後半くらいからちょっとしんどくなっていまして。

THE SKA JUNCTIONSは3曲目の途中くらいで通路から出てちょっと休憩を入れておりました。

彼らの作るメロディーは優しくてHAPPYで聴きやすい。個人的には、と前置きしますが歌モノよりインストでもっと楽しみたいと感じました。結成からまだ3年くらいらしいので、これからどんどん良くなっていく可能性を秘めていると思います。

■東京スカパラダイスオーケストラ

スーツ姿でビシっと決めた熟年男子がズラリとステージに並ぶ姿はまさに壮観。絵になる男たちです。

「スキャラバン」や「DOWN BEAT STOMP」などスカパラといえばこれ!な馴染みの曲から、ここ数年で一気にお茶の間にも広まった名曲「Paradise Has No Border」まで様々な楽曲でフロアを踊らせてくる。

見事な演奏技術と艶やかさたっぷり色気満載のパフォーマンスに聴き惚れるし見惚れてしまいます。

何色にも光るNARGOさんのピアニカで始まる「SKA ME CRAZY」、2003年の大ヒット曲!と欣ちゃん自ら紹介しつつ歌い上げた「銀河と迷路」、猪狩が「そりゃ30年続くわ!」と驚愕した、アコーディオンとともに奏でた沖さんの美しい口笛が印象的な「君と僕」。

魅せる、聴かせる、楽しませる、驚かせる、踊らせる&躍らせる。スカパラのライブにはこんな要素がたくさん詰まっている。

何より大興奮したのが「Pride Of Lions」です。KEMURIが解散後、ふみおさんをゲストボーカルに迎えて発表されたこの曲にスカパラの愛を感じました。過去にこの曲で競演も果たしていますが、今夜もメンツは揃っていますからね。そう頻繁にセトリに組み込まれる曲ではありませんが、期待しちゃうじゃないですか。スカパラは裏切りませんでした、俺の、KEMURIファンの期待を。まずKEMURIホーンズを呼び込んでイントロが始まり、ゆっくりと出てきたふみおさんの姿に歓喜です。最初のサビはショートなんですけど、たぶんふみおさん、ロングのサビへと続く≪TONIGHT≫って歌いかけたような。そんなハプニング含めてめちゃくちゃ楽しかった!

30年の歴史、世界をまたにかける圧倒的な経験から生まれるバラエティ豊かなスカパラによるスカミュージックを浴びて、最高に幸せな気分になりました。気づけば体調不良もどっかいってた。音楽ってすげえ。


※セトリは順番不明(ラストはペドラーズでした)、抜けもあります。
スキャラバン
DOWN BEAT STOMP
Paradise Has No Border
銀河と迷路
SKA ME CRAZY
One Step Beyond
君と僕
遊戯みたいにGO
Pride Of Lions(feat. 伊藤ふみお&KEMURIホーンズ)
ペドラーズ

■TRI4TH

前から気になっていたジャズバンド。いつかどこかでライブ観たいなあと思っていたら、まさかのスカイベントが初体験になるとは。公募枠としての出演が発表されたときは本当にびっくりしたと同時に嬉しかった。

スカパラが終わってすぐ通路に移動しまして、なかなかの良ポジにてスタンバイ。お客さんたちも踊る気満々です。


「ジャズはスカのルーツなんだ!」
というドラム・伊藤隆郎さんのメッセージから圧倒的にパワフルでガッチガチのライブが炸裂。スカよりはジャズの味強めながら、オシャレや大人な感じをイメージするジャズとはまた違った、筋肉質な音で通路の観客たちを引き込んでいきます。

スカイベントにピッタリな、彼らの最新アルバムでカバーしているRancidの「Time Bomb」も演奏し、通路には笑顔があふれる。

ライブ中にサックスの藤田淳之介さんがステージを越えて通路をダッシュする一幕もあり、通路に設置された「ramble stage」のトリを飾るにふさわしい盛り上がりでバトンをヘイスミへとつないでくれました。

やべっちFCが好きな自分としては、欲を言えば「Freeway」を聴きたかったところですが、それはまたの機会に…。

■HEY-SMITH

最終的には平日夜、5時間に渡った長丁場のライブ。そのトリを務めたのはHEY-SMITHです。

病気からの復帰を果たしたばかりで大丈夫なんだろうか、という不安を完全に吹き飛ばすパフォーマンスで、ファンの心配を解消してくれた猪狩。まだ無理をしている部分もあるのかもしれませんが、ライブは本当に見事でした。

休む暇を与えずに次々とアガる曲を投入し、フロアの中央には何度もサークルモッシュが生まれます。こういう時にありがちな、無理やり場所作ることでイラっとするタイプのサークルではなかったように思いますが、まあこれはあくまで個人の感想ということで。


「伝説のライブと呼ばれるものに行ってみたかったと思ってる人もいると思うけど、大丈夫。今日が伝説のライブやから!」というようなMCでフロアをブチ上げる猪狩。オープニング、あるいはスカパラのライブ中(記憶曖昧)のトークで「SKAramble Japan、2回目もやる」と言い放っていたスカパラの加藤さんについて「俺、何も聞いてないから!」とかなり驚いていて、その辺の詳細については「打ち上げで詰めますw」といたずらっ子みたいな笑顔を浮かべて話していました。

年の差はだいぶあるだろうに、心の距離は相当縮まっている印象のふたり。

今回、ヘイスミとスカパラによる主催イベントということで、スカパラのステージにヘイスミが出たりヘイスミのライブにスカパラが参加したり、なんてことがあるのかなと思っていましたが、実際はちょっと違いました。

スカパラはKEMURIをステージに呼んだし、ヘイスミはスカパラではなくSHANKのライブに参加。同世代としてシーンを引っ張ってきたバンド同士、横軸をアピールするようなコラボレーションです。

「梅雨長かったけど、今日から夏ってことで夏の曲」というようなコメントからの「Summer Breeze」は実に爽やかだったし、「スカのライブに行ってもパンクのライブに行っても邪魔だと言われて…これが俺たちオリジナルの曲だと胸を張れる2曲やって帰ります」といった内容のMCから放たれた「Drug Free Japan」「Endless Sorrow」はただでさえ盛り上がる曲たちなのに、このメッセージでさらに燃料投下。めちゃくちゃ熱かった。それまでは小さなスペースで小さく踊っていましたが、この時ばかりはサークル焼野原的なスペースに飛び出して思いっきりスカダンスしてきました。


アンコールでは、スカパラトリビュート参加曲の「Glorious」をご本人と一緒バージョンで。スカパラホーンズが加わることで、軽快なヘイスミと重厚なスカパラによる大迫力のコンビネーションが爆発しました。


「平日17時開催で、ごめんなサラリーマン」と謝る猪狩。「俺らにはこれしか押さえられなかった」と、今の自分たちの精一杯であることを話しつつ「メジャー行ってれば良かったなって思う」と冗談交じりに、というか100%冗談で一言付け加えます。

「次は土日にやろう」
「サラリーマンの友達にも伝えておいて」

と、加藤さんに続いて次回開催に触れた猪狩でした。

ラストはダラダラ余韻などまっぴらごめん!とばかりに約1分で終わる「Come back my dog」で〆。瞬間にかけるキッズたちの、はちきれんばかりの瞬発力が試された時間でした。

ダブルアンコールを求める拍手とコールを受けて、スカパラの加藤さんとヘイスミ猪狩が再登場します。

「自分たちのライブではないから」とダブルアンコールを辞退する猪狩。そして改めて、第2回以降の開催について言及します。もちろん確定情報はないでしょうが、また来年!という言葉も聞けました。加藤さんからは「いつか野外でやりたい」といった話も。

猪狩との間に距離を感じるんだと不満を言う加藤さんは、自分のことを「隆志orカトちゃんと呼んで」ととんでもない指令を出しますが、さすがの猪狩も、それはできません、とお断り。ただし打ち上げで酒が入ってからなら、カトちゃんと…と含みを持たせていましたね。


初開催となったSKAramble Japan。今回こっきりというわけではなく、vol.1とつけても差し支えない、そんなイベントになりそうです。スカバンドじゃなくても参加できるというのがいい。スカのすそ野は意外と広い。様々なバンドが多かれ少なかれスカの影響を受けている、あるいはスカの要素を取り入れている。そんなバンドたちをまとめて楽しめるイベントが産声を上げた、記念すべき1回目。参加できて本当に幸せでした。


大好きなKEMURIとの出会いは2007年9月のチッタでのライブ。あれから12年が経ち、12年ぶりにチッタでKEMURIを味わって、これまでのいろいろな思い出がふっとよみがえってきて、正直めちゃめちゃエモかったです。エモかったし、いっぱい汗もかいたし疲労もあったけど、最終的に残ったものは純度100%の「楽しさ」だけ。

音楽のジャンルの中でもとりわけ「スカ」には楽しさのパラメータが高い。異常に高い。KEMURIに出会わなければスカの魅力にも気づかなかったかもしれません。彼らとの出会いの場で、スカパラやヘイスミと競演する姿を観ることができたのも幸せでした。一度解散してますから、余計に感慨深い。

第2回もまたチケット争奪戦になるのかもしれませんが、もし入手できたのなら全力で楽しみたいと思いますし、そうなるように健康とか仕事とかしっかりと準備しておきたいと思います。

01.Living In My Skin
02.Radio
03.Fog And Clouds
04.Over
05.2nd Youth
06.Let It Punk
07.Jump!!
08.Stand Up For Your Right
09.Summer Breeze
10.Truth Inside
11.Lonely With Everyone
12.Don't Worry My Friend
13.Dandadan
14.Drug Free Japan
15.Endless Sorrow

EN.
16.Glorious (feat.スカパラホーンズ)
17.Come back my dog


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