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癒しの音階|ソルフェジオ周波数から目に見えない美しさに出会う

今日は「癒しの周波数」と呼ばれるソルフェジオ周波数を掘り下げてみたいと思います。どうぞ最後までお付き合いください。

先日、ソルフェジオ周波数をミックスしたピアノ&アイリッシュハープのBGMを制作しました。ソルフェジオ周波数とは、簡単に言うとヒーリング効果の高い音階のことです。以下の9つの音階にヒーリング効果があると言われています。

174Hz、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz、963Hz

楽曲の制作では、528Hzのソルフェジオ周波数を薄っすら流しています。周波数を流すと聞いてもピンとこないかもしれませんが、簡単に説明しますと、A (ラ) の音を440Hzより少し高く調整することでC (ド) の音を528Hzに設定しております。でもって楽曲の最初から最後までC (ド) =528Hzをずっと流しているという仕様です。

ちょうどCメジャーの楽曲だったのでぴったりだなと思い以上のように制作しました。耳ではほとんど聞こえませんが波形で見ると確かに鳴っていることがわかります。

528Hzのところだけピンと波が立っています(シンセの仕様から出る倍音はEQで抑えています)

ソルフェジオ周波数は、自然治癒や公衆衛生などを研究されたレオナルド・G・ホロウィッツ博士によって発見されました。人間の行動を科学的に研究する行動科学にも精通している方です。行動科学には、心理学、社会学、人類学、精神医学も含まれます。

この博士の面白いところは、音楽における ”癒し” に着目したことです。音楽が私たちにとって癒しをもたらすことは間違いないでしょう。懐かしい曲を聴けば、あの頃の思い出に浸って心身がリラックスします。ボサノバやスロージャズが流れるカフェでは、いつもよりゆったりくつろぎたくなりコーヒーも美味しく頂けます。

それなのになぜ ”癒しの周波数” と呼ばれる周波数があるのでしょうか?音楽は私たちを癒すのもなのに?どうしてわざわざ ”癒しの” なんて付けているのでしょう?

ソルフェジオ周波数を掘り下げてみると、少し立ち止まって考えてみたくなります。

実は、冒頭でご紹介した9つのソルフェジオ周波数のほかにも、私たちに癒しを届けてくれる素敵な音階があります。純正律です。

純正律とは、今よりもっと昔に使われていた音階です。昔の楽器・音楽は《ドレミファソラシド》という音が今より少し低かったのです。この純正律についてお話する前にHz(ヘルツ)についてもお話させてください。

Hzとは音が1秒間に何回振動したかを表す単位です。528Hzなら1秒間に528回振動したことになります。音を波形にするとうねうねした波が見えますね。あの波が1秒間に528回発生しています。

現代の音階の多くは、A (ラ) の音が440Hzになるように設定されています。標準ピッチといって「A (ラ) の音が440Hzになる音階で演奏してくださーい!」というひとつのルールを作ったのです。これは近代に入ってからのショービジネスとも関係があります。結論から言うと440Hzは非常に合理的だったのです。

ピアノやギターを演奏する人はわかると思いますが、他の楽器や歌手のキーに合わせるために移調することがあります。また楽曲の途中で転調することもあるでしょう

普通のことのように思えますが、A (ラ) =440Hzに設定された標準ピッチの音階だからこそ、移調・転調したあとの音階も綺麗に聞こえるのです。例えば、CメジャーからEメジャーに移調すれば ”ミ・ファ#・ソ#・ラ・シ・ド#・レ#・ミ” となるように、どの音を始めとして弾いても《ドレミファソラシド》が成立するのが標準ピッチです。

昔はこれができなかったのです。なぜなら多くが純正律で演奏されていたからです。

純正律とは、和音の響きが美しくなることを追求して音と音の幅を決めた音階です。基準としているA (ラ) の音は440Hzより低く、今よりおよそ半音くらい低かったと言われています。

この純正律で和音の響きが美しくなることを追求し、音と音の幅を決めると、隣り合わせる音と音の間=インターバルの幅はまちまちになりました。ドとド#、レとレ#のインターバルは同じではありません。ミとファ、ソ#とラなど他の音のインターバルも同様です。

一方、A(ラ)=440Hzとした標準ピッチは平均律といって、隣り合わせる音と音の間=インターバルの幅は同じです。セントというインターバルを表す単位を使うと100セントです。ドとド#、レとレ#のインターバルは同じ100セント。純正律のように変動しないのです。

平均律は、1オクターブを100セントというインターバルの幅で12等分しています。そのため平均律のことを十二平均律とも呼びます。

平均律は、例えるなら等間隔に並べられた色違いのお洋服を見てきれい!と眺めるようなイメージです。規則正しいリズムがあり、理路整然とした中で表現される万能な調和は、私たちに気持ちよく伝わってきます。純正律の場合、風に揺れる葉を一枚一枚、絶妙なバランスで描いた美しい風景画……でしょうか。同じ調和でも伝わってくるものが違います。

純正律の調和は透明度が高いのが特徴です。三和音を鳴らすと音が濁ることなく大気にスッと溶けて辺りが澄み渡ります。グレゴリオ聖歌は純正律で歌われていたそうですが、だからあのような大気が澄み渡るような感覚を表現できたのですね。

その透明度の高さは《音のない世界の音の美しさ》のようです。神々しさとも表現できます。肉体的な聴覚を超えて魂に響く感覚は、純正律ならではの体感でしょう。

私たちは理屈で音楽を楽しんでいるのではないのです。電卓を叩きながら音楽を聞きませんよね。肉体的な聴覚を超えて心・精神が凪のように鎮まるのを心地よいと感じるならそれでよい、《正解》なのです。答えを探してどっちが良い悪いとジャッジしてしまうとせっかくの自分の感覚を見失ってしまうので要注意です。

ちなみに私、中学生の頃、睡眠音楽としてグレゴリオ聖歌を聞いていたの変わり者ちゃんだったのですが、今考えるとあれは理に適っていたのですね笑

平均律は、移調・転調ができる音階を作り出すためにインターバルを設定しているため、透明度は平均律ほど高くはありません。三和音を鳴らしてみると音の余波はあっちに行ったりこっちに行ったりしながら、ぐわんぐわんとうねって消えていきます。

私の母がそうなのですが、ピアノの音に「気持ち悪い」という感覚を抱く人がいます。「クラシックは何がいいのかわからない。ショパンもリストも音がぐわんぐわんして騒音にしか聞こえない」と笑

何をもって調和とするかにより意見は分かれると思いますが、純正律・平均律の特徴を知ると、平均律で演奏されたピアノを「気持ち悪い」と感じることは間違っていないのです。

面白いエピソードがありますので、以下の出典より引用してご紹介します。

”一方で、やはり平均律が利便性にすぐれた近代合理主義の産物なのだということは、ジャズピアノの佐藤允彦のエピソードが物語っています。彼はアフリカで持参したシンセサイザーやエレキピアノで演奏のリハーサルをしていると現地の人が近づいてきて、この楽器はなんでこんなに音が狂っているのか、と指摘されたという体験を語っています。”

武田梵声『「3つの音」だけで最高の声になるボイストレーニング ゴルジャメソード入門』日本実用出版社(158頁17行目)

普段から標準ピッチの440Hzを聴いている人は、音が狂ってると感じるなんて想像もつかない世界だと思います。

この話も面白いなと思いました。AI美空ひばりについてです。同じ出典より引用させていただきます。

”YAMAHAの技術者は、今回のボーカロイドAI美空ひばりのプロジェクトの中でズレと高次倍音を際立たせることで、ボーカロイドAIをひばりに近づけようとしました。(中略)このズレやルバートは、本来の芸能においては極めて重要なものでした。YAMAHAの技術者は「ズレることでなぜよくなるかはわからない。もしくはひばりのインターバルのズレを指摘し、なぜよいのかわからない」といった感想を述べていましたが、こうしたズレやルバートを否定してきたのが近代の西洋ファインアート教育なのであり、それはカラオケの中にも入り込んでいきました。

✿ 用語の説明 ·····「ルバート 」とはイタリア語のrubatoで、テンポを自由に加減して演奏することです。テンポの揺らぎです。

武田梵声『「3つの音」だけで最高の声になるボイストレーニング ゴルジャメソード入門』日本実用出版社(172頁7行目~173頁4行目)

ズレるからよいとは素敵な感性です。味わい、エネルギー、愛、癒しなどの目に見えない美しさを包括しています。

癒しの周波数を掘り下げてみると目に見えない美しさと出会い、また自分がよいと思った感性を頭で否定しないことの大切さを教わります。理論だけに頼らず、感じ方も大切にすると大きな気づきを得るものです。人間の感覚ってけっこう的を得ているんですね。直感、第六感、霊感。野生を思い出すとも表現できます。自分の感覚を頼りに、いつもとは違うことや不調和にピンと反応できるようになると案外成功しやすいのはこういうことなんでしょうね。

さて、透明度が高く癒し効果のある純正律ですが弱点もあります。それは移調・転調には不向きということ。最初のほうで、A (ラ) =440Hzに設定された標準ピッチのお話をしたとき少し説明したのを覚えていますでしょうか?

純正律は平均律のように隣り合わせる音と音の間=インターバルが一定ではないため、CメジャーならCメジャー、FメジャーならFメジャーの音階しか演奏できないのです。そのため純正律のピアノを使っていた時代には、C調のピアノ、E調のピアノ、G調のピアノというふうに、調ごとに1台ずつピアノが用意されていたそうです。

調が変わるたびにピアノごと変えなきゃいけないわけですから、あれだけ大きな楽器をコンサートのたびに台数分運んでくるは大変だったようです。平均律が必要とされたのもわからなくないですね。

440Hzが標準ピッチとなった今では、1台で移調・転調が可能になったほか、楽器の大量生産も可能となりました。合理性を追求した440Hzは、音楽ばかりでなく経済においても貢献しました。

大きな貢献を果たした標準ピッチですが、思春期にグレゴリオ聖歌の美しさにうっとりしていた私からすると、やはり大気にスッと溶けていくような純正律の透明度を体験しないのはもったいない!と感じます。実際、頭もスキッ!としますし健康的な音階だと感じるのです。

私は、音楽を ”440Hz” という限られたひとつの世界だけにとどめず、常識を飛び越えていろんな音階を楽しんで欲しいと願います。ソルフェジオ周波数や純正律のようにひとたび常識を飛び超えると、つまらない思っていた音色が楽しく聴こえたり、下手だと思っていた歌声の良さに気づくことができますから。

最後にソルフェジオ周波数をミックスした私の楽曲「風に流して (New age Version)」をご紹介します。

森の中に心地よく響くピアノ&アイリッシュハープの調べに時間を忘れるようなひと時と、心が癒されていく感覚を表現してみました。自然音には鳥の声、風の音、小川のせせらぎ、雨音、雷鳴、水滴をミックスし、528Hzを薄っすら流すことで、癒し効果のあるサウンドに仕上げたロイヤリティフリー作品です!

ぜひご利用ください!(*・ω・)*_ _)

✿ ヨガ、呼吸法、スピリチュアルなどの瞑想用BGM
✿ ほっと癒されたいときのBGM
✿ ドキュメンタリー映像、アニメ、サウンドベルなどの優しいシーン
✿ 心理系動画のBGM
✿ 病院、介護施設、作業所での音楽レクリエーション
✿ 自由な表現を必要とするアート作品の引き立て役に

最後までお読み下さりありがとうございました♡

星の賢者さま(アーティスト名 なかむら詩子)癒しのピアノ曲・ヒーリング音楽をこれからもどうぞよろしくお願い致します!ヾ(*´∀`*)ノ

《お詫び》ソルフェジオ周波数と純正律の関係について誤りがあったため、本文・タイトルを一部、追記・訂正させていただきました。お詫び申し上げます!🙇‍♀️(2023.8.14)

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