自己啓発系の本を読んでいる。この本は流刑島まで行く船旅の途中にでも、と貸してもらった本だ。

「あなたの癖100選」。裏表紙には「癖は敵だ！」という煽り文。開くと、10円玉と同じサイズの丸い円が、いろんなページにちょこちょこ印刷されている。あなたの癖に当てはまったら10円玉を貼って下さい、という著者の意図だろうか。いや、この本の持ち主はそう解釈したのだろうか、10円玉が貼ってある。次のページをめくろうとするまでもなく、わかる。「次のページの癖も当てはまってるんだろうな」と。10円玉が浮いて見えるからだ。くっきり丸く折れている。さすがに全てのページには10円玉は貼られていない。でも、ほとんどページには10円玉が貼ってある。

この本を貸してくれたのは女性だ。見ず知らずの女性だ。私は、その女性の弱点を見ている。弱点を見出そうとしている。「癖は敵だ」。自分の持つ癖を悪いことと認識していながら、それを他人にさらけ出している。なんと無防備な。