クリエイティブは、ヒエラルキーを剥がす

音楽、おやつ、遊び、文学、絵画…。クリエイティブはヒエラルキーを剥がす力がある。社会的な序列にかかわらず、よいクリエイティブの前では、みんな一人のひととして、同じように心を動かされるから。

例えば、昔働いていた外資系大企業の、当時の日本法人CFOは、真面目なシーク教徒の男性だった。ターバンを巻き、いつも威厳のあるたたずまい。部下と世間話をしたのも見たことない。そのCFOを「レッチリのライブで見かけたのよ!めっちゃノリノリだった」と同僚が教えてくれた。「うっそ、まじで!信じられない」と、同僚と大盛り上がり。次にそのCFOに会った時は親近感を感じて話しやすくなった。そういうことって、皆さんもありませんか。

歴史の中で、たいてい権力者は芸術を囲い込み、大衆の芸術とは交わらないようにしてたように思う。財力や教養を誇示するためでもあっただろうし、大衆と同じものを同じように楽しんでいるのを見られちゃうと威厳が保てないからかもしれない。

逆に、権力者が大衆と同じクリエイティブを楽しむ様子は、「あの人も我々と同じ人間なんだ」と親しみをわかせる効果がある。

オバマ元大統領が「2018年に楽しんだ本、映画、音楽」リストは、そのよい例だ。

クリエイティブの力に関して、あと2つほど考え途中のことがある。

ひとつは、クリエイティブには、ヒエラルキーを剥がす力の他に、多様性を浮かび上がらせる力もあるってこと。きほん「好き嫌い」を顕在化させるものだから。

あともうひとつは、書籍「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」では、ビジネスの世界でこれまで重視されてきたサイエンス、クラフトに加え、これからは「アート」が重要という主張が論じられていることに関して。ヒエラルキーを剥がす力のあるアート(クリエイティブの一形態)を、ヒエラルキーの恩恵を受け続けたいであろうエリートがお勉強するという構図が、矛盾を含むのかも…なんてことを、ちょっと考えている。

※このnoteは、2017年12月29日のfacebook投稿に加筆したものです。

(photo by OrZO)

#アート #ビジネス #本 #エッセイ #コラム

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篠田真貴子

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