星の天満モノガタリ①

フシギナタマゴ。

すこし前なのか、遠い昔なのか、
地球から遠く離れたこと座の恒星ベガの近く
何もない、時間の流れすらよくわからない宇宙に、それはぽつんと浮かんでいました。

まあるくて、白くて、たまに七色に輝くまるでたまごのようなモノ。大きさはサッカーボールくらい。

それはたまごでした。ぽつんと、ゆらりゆらりと宇宙を漂っています。

あるとき、そのたまごの近くを1人の女の子がふと通りかかりました。

おりひめちゃん、と呼ばれている女の子は、たまごの近くで立ちどまり、いろんな方向からたまごを観察し、やがて目が離せないといった風にジッと見つめるようになっていました。

たまごを見つけてからすこし時間が流れ、おもむろにおりひめちゃんはそのたまごを手に取り、その場から離れました。

「なんだかさみしそう」
そう思い、たまごを自分の家まで持って帰ったのでした。

おりひめちゃんは、たまごを温めながら、なんの生き物のたまごなのかいろいろと調べてみました。
しかし、みつかりません。
数多の宇宙をかけめぐり知らないことはないはずのおりひめちゃんなのに。

それから何日もいろいろな方法で調べたにもかかわらず、たまごの正体はわかりません。

そもそも生き物なのか、生き物だとしても温めて孵化させるのが正しいことなのか。
おりひめちゃんは悩みました。

でも、元の場所に戻すつもりはありませんでした。おりひめちゃんはたしかにそのたまごが助けを求めていることを感じていました。

思いつめてもしかたない。おりひめちゃんはたまごを気にかけずにふだんどおりくらすことにしました。

おりひめちゃんが住むベガの近くにあるスペースコロニーは、四季もなく時間の流れが曖昧ではたしてどれくらいの月日がたったかもよくわかりませんでしたが、それでもたまごの存在をほぼ忘れかけるほど時間が流れたある日、おりひめちゃんがふとたまごを見ると、たまごのてっぺんに細かいヒビが入っていました。

「ついに生まれる!」
おりひめちゃんは大層よろこび、たまごにかじりついて生まれる時を待っていました。

そこから1日をたたずして、たまごのひびは全体にひろがり、
そして静かに割れて、なかから小さな生き物がころんと出てきました。

それはまるいからだにしっぽが生えていて、すやすや眠っていましたが、身体は灰色でいかにも元気がなさそう。

おりひめちゃんはその生き物を保育器に入れて様子を見ることにしました。

しかし、そのあともその生き物に食べ物や飲み物をあたえようとしましたが、ひたすらねむっていて口にしませんでした。

おりひめちゃんは悩みました。そもそもどのような生き物かわからないので育て方がわかりません。

おりひめちゃんがひろったたまごから生まれた生き物は、いったいどういう生き物なのでしょうか?

いったいどこから来たのでしょうか?

長いモノガタリのはじまり。つづきはまた・・・

《つづく》

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