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日本の超限界集落で原風景の営み体験-Traditional Experience in Rural Japan-


四万十川源流の清流「目黒川」の流れる人口わずか270人の集落での日々の営みをご紹介します。

足摺宇和海国立公園の滑床渓谷より流れる目黒川と集落


6月 日本の伝統発酵体験「稲わら納豆」「藍染め」

お味噌もお醤油もお豆腐も全て発酵食品。日本のお家芸でもある発酵文化は、今も目黒集落の営みの真ん中にあります。

目黒集落のおじいさんと一緒におむすび野外お結び。
美味しい清流米でつくるお結びは、このまま食べるのが最高です。
無農薬の稲わらだから、そのまま出来る納豆づくり
とても濃い風味が格別です。
自然栽培で育てたオーガニックな藍で藍染体験。
土づくりから丁寧に始めます。
珍しい藍の葉っぱ。
こちらも無農薬なので、そのまま煎じてお茶にもなります。
手も真っ青に染まっちゃいます。


7月 原木しいたけの収穫体験

クヌギ(どんぐり)の木に菌を打ち込んで栽培する伝統的な原木しいたけも面白い体験です。稲妻が落ちると菌がびっくり刺激を受けて、たくさん繁殖するのも自然の不思議な面白さですね。

クヌギに菌を打ちこんだ椎茸の森。
ほどよい陽射しと風通し、湿度のバランスが重要です。
原木に生えた椎茸は、身の詰まった質感が特徴です。
シンプルに焼いて、地元で採取した柚子ぽんとマヨネーズで絶品に仕上げます。


青々と繁った田んぼで草取り体験


甘〜い桃をたくさん収穫
オーガニックファームで夏野菜、なすびを収穫

8月 ニホンミツバチの蜜採集体験

日本中で数が減ってきているニホンミツバチですが、自然豊かな目黒集落にはあちこちに蜜箱が仕掛けてあります。
近くに蘭の花、「金稜辺(キンリョウヘン)」を据えると、不思議とミツバチが集まってくると言われています。

ハチミツ名人のガイドで森に入ります。
自然豊かな森に仕掛けた蜜箱にたくさんのハチが集まっています。 
近くの草木の植生によって、ハチミツの色や香りが異なります。
川釣り体験は、竹を切って釣り竿作りから。
恒例の流しそうめんも、竹割りから始めます。

9月 豊穣と厄除けのお祭り体験

日本には昔からさまざまなお祭り(神事)がありました。
自然に対する畏敬の念をもって、豊かな作物の実りに感謝をします。と同時に、畏怖の念をもって厄災を祓(はら)う祈りの習慣も、ここ目黒集落にはしっかりと残っています。

地域の守り神「牛鬼(うしおに)様」を神輿に担いで、集落を巡ります。
子供も大人も一緒にわっしょい!
各家の玄関に牛鬼様の首を突っ込み、厄祓い.
子供たちはお礼をいただき、いい小遣い稼ぎになります。
何百年も続く伝統のお祭り、お婆さんも思わず手を合わせます。


おいのこ祭りでは、子供たちが集落の家を一軒一軒回って、庭先を石で打ちながら歌います。
豊穣と繁栄を祈る古くからの習わしです。

10月 四万十川の源流域で出来た新米(稲刈り)体験

日本人の魂ともいえるお米づくりは、水の豊かなこの目黒集落でも盛んに行われてきました。
稲木ハザ掛け(天然乾燥)のある秋の田んぼの光景が、日本の原風景といっても過言ではありません。


稲木にハザ掛けの風景も今では珍しくなりました。
お昼はみんなで野外ランチ
みんなで共同作業、地域コミュニティの大切さを学びます。
新米はもちろん羽釜で。
炊き立てのお米を味わいながら、自然の恵みに感謝。

11月 秋の味覚三昧
(まつたけ取り、天然うなぎ、川ガニの仕掛け)体験

実りの秋は、天の恵みの食材が満載です。上を向いて口を開ければ、何か落ちてくると言われるほど、目黒集落は豊かな作物がたくさん溢れます。

松茸名人のガイドで散策
お昼はもちろん松茸ご飯のおむすびです。
ほのかに香るほうを探ってやっと見つけました!
(そう簡単には見つかりません)
いまや高級食材の松茸
シンプルに七輪で炙って楽しみます。


夜に罠を仕掛けて釣り上げたレアな天然うなぎ。
(日本のうなぎの99%は養殖です)
うなぎはその場でサバきます(結構むずかしい)
甘いタレに漬け焼き、最高に美味です!
こちらはモクズガニ、
新米で炊き込む竹筒飯もたまりません。
あまごに卵を採取します。
醤油漬けにしてご飯に乗せると最高です。

12月 師走の冬仕込み体験(餅つき)

本格的な冬到来と年明けに向けて、いろいろな準備に追われる季節です。
師(先生)も走るほど忙しいと言われる師走。目黒集落の営みも慌ただしい日々が続きます。


田んぼの裏作で植えた小麦の麦踏み。「踏まれて踏まれて、強くなーれ!」
年越しに向けた餅つき体験


昔ながらの羽釜でもち米を炊き上げます。
あつあつの内に丸めていきます。
こんがり焼き餅、パリパリのあつあつです。
まいう〜!!!


門松作りも竹を切り出すところから体験します。

1月 冬場のレアな営み体験

真冬には氷点下にもなる滑床渓谷では、滝が見事に凍る氷瀑(ひょうばく)が見られます。雪の山道をかき分けて登り、なんとかたどり着いて見る青色に輝く滝は見事です。

圧巻の氷瀑
雪道をハイクアップ
大嵓(おおくら)の滝。道のりは険しいです。
最後はロープをつたって登ります。


大きく育ったニジマスをさばきます。
塩をたっぷりつけて、寒の入りに干して鮭とばにします。
日本酒のアテに最高です。
「今年も宜しくお願いします!」の新年会


2月 春の予感、梅の木の剪定体験

立春を迎えると徐々に春の気配を感じてきます。
寒い冬が徐々に明けて、小さな蕾が花を咲かせ、小鳥のさえずりが聞こえてくると、目黒集落にも春の予感がしてきます。
四季をしっかりと体感できるのも、日本の田舎集落の醍醐味ですね。


梅の花が咲き始めました。
梅の木の剪定を冬の間に済ませます。


原木椎茸の菌打ちを仕込みます。
金づちで叩き、ショックを与えることで菌が活性化します。


冬場の水田に稲わらを敷きつめていきます。
これが緑肥となって、来年のお米の栄養分となります。


冬季湛水の田んぼ風景
不耕起栽培による無農薬水田作りは、冬から始まります。


愛媛県松野町の目黒は、わずか270人の小さな集落です。
しかし、ここには日本古来から続く人の営みが今もしっかりと息づいています。
この豊かな自然と人の営みを私たちはいつまでも守っていきたいと考えています。

おわり。


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