ワキ:
露を片敷く草枕
露を片敷く草枕
日も暮れ夜にもなりしかば
念佛申し敦盛の菩提を猶も弔わん
菩提を猶も弔わん

シテ:
淡路通ふ千鳥の聲聞けば
幾夜寝覚須磨の関守
いかに蓮生
敦盛こそこれまで
参りて候へ

ワキ:
不思議やな鳬鐘を鳴らし法事をすすめ
まどろむ隙も無きうちに
敦盛の来り給ふぞや
これは夢にてあるやらん

シテ:
何しに夢にてあるべきぞ
現の因果を晴さんため
これまで現れ来りたり

ワキ:
一念彌陀佛即滅無量の
罪障を晴す稱名の
法事を絶さず弔ふ功力に
何の因果か荒磯海の

シテ:
深き罪をも弔ひ浮かめ

ワキ:
身は成佛の得脱の緣

シテ:
これまた他生のの力なれば

ワキ:
日頃は敵

シテ:
今は又

ワキ:
眞に法の

シテ:
友なりけり

地謡:
これかや悪人の友を振り捨てて善人の
敵を招けとは御身の事か有難や
有難し有難し
とても懺悔の物語夜すがらいざや申さん夜すがらいざや申さん

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