シテ:
面白や頃は彌生の半ばなれば
波もうららに海の面

シテツレ:
霞渡れる朝ぼらけ

シテ・シテツレ
長閑に通ふ舟の路
憂き業と無き心かな

シテ
これは此の浦里に住み馴れて
明け暮れ運ぶ鱗の

シテ・シテツレ
數を盡して身一つを
扶けやすると侘人の
隙も波間に明け暮れて
世を渡るこそ
物憂けれ
よしよし同じ業ながら世に越えけりな此の海の
名所多き數々に
名所多き數々に
浦山かけて眺むれば
志賀の都花園昔ながらの山櫻
眞野の入江の舟呼ばひいざ漕ぎ寄せて言問はん
いざ漕ぎ寄せて言問はん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?