能楽【謡曲】竹生島3
ワキ:
これへこそ釣舟の来りて候へ
いかにこれなる舟に便船申さう
シテ:
これは山田矢走の渡舟にても無し
蜑の釣舟にて候ものを
ワキ:
なかなかの事初より
釣舟と見てあればこそ便船とは申せ
これは始めて竹生島参詣の者なり
誓の舟に乗るべきなり
シテ:
げに彼の島は霊地にて
歩みを運び給ふ人を
否と申せば御心にも違ひ
又は神慮もはかり難し
さらばお舟を参らせん
ワキ:
嬉しやそれも誓の舟
法の力と覺えたり
シテツレ:
今日は殊更長閑にて
心にかかる風も無し
名こそ小波や
地謡:
志賀の浦にお立ちあるは都人か痛はしや
お舟に召されて浦々を眺め給へや
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