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いまからホステルやゲストハウスを始めるなら絶対に気をつけたい5つのポイント

宿泊施設は戦国時代

都心にある宿泊施設の責任者やOTAの担当者と話していると、今年はどこも同じく集客に苦戦している傾向にある。ホステルだけではなく、低価格帯のホテルや民泊など代替施設が大量に増え、供給過多に陥っているためだ。
客単価と稼働率は下がり、リードタイムも短くなるなど、レベニューマネージャーにとっては戦略の見直しを迫られる厳しい状況となっている。

新規開店ラッシュが続くなか、新しいところは資本が潤沢で立地や設備が優れていたり、コンセプトが最初からしっかり練られていたりすることが多い。その結果として、今後寝るだけの場所を提供していたところや、価格以外のセールスポイントがない宿はどんどん淘汰されていくだろう。

『価格以外』で勝負できなければならない

自分達の宿は価格以外で勝負できるのか?
この『価格以外』というのは設備や、立地、コンセプト、コミュニティ、スタッフなどいろいろある。
もしこれらの売りとなるものがないのであれば、容易に価格競争に巻き込まれ、常に最安値を提示しなければ集客ができない宿泊施設になってしまう。
そんな宿にやる価値はないし、厳しいようだが赤字を垂れ流しながら苦しみ、遅かれ早かれつぶれるだけだ。

稼働を高めやすい構造か?

新しくて設備がよければ簡単に集客できると思ってないだろうか?
残念ながら答えはNOだし、エリアやマーケットを理解したうえでニーズに対して柔軟に最適解を提示できなければ効率よく稼働を高めることはできない。
中規模以上の宿であれば、マーケットを理解したうえで戦略的な運用を考えて設計がされているかで稼働率を高める難易度が大きく変わる。

宿泊施設が生き残るための5つのポイント

ここまで触れた点を踏まえ、改めて自分の考える最も重要なポイントを5つまとめよう。

1. 差別化できる圧倒的な強みや独自のコンセプトを持つ

本に囲まれたところや、セミナーやイベントができるスペースを併設してる、コミュニティとして確立している、そこでしか体験できないことがあるなど、一言で説明できるようなコンセプトや強みがあるところは価格競争に巻き込まれにくい。逆にいうとそのような独自性がないと多くの宿に埋もれてしまう。

2. 客室や共有スペースに可変性を持たせた設計にする

ドミトリーだけではなく、2人組のお客様にどのような選択肢を与えられるか、3人組は?4人組は?大家族を受け入れるとしたら?などなどその時のニーズにあわせ、その時に満足度を下げることなく、プライバシーを保ったまま柔軟に売り方をアレンジできるか?
どこにドアや鍵、そしてロッカーや水回りがあるべきなのか、動線設計に無駄はないか。

ラウンジスペースは工夫次第で様々なイベントができるレイアウトになっているか。開催が想定される全てのイベントを行ううえで支障がない設計になっているか。

3. 参入障壁を意識したエリア選定

ホステルやゲストハウスなどを始めるにあたって物件探しをする際、土地が余っていたり、空きビルが多数あるエリアなどはあっという間に過当競争に陥り、価格競争に巻き込まれやすい。
あなたが始めやすいということは他の人も始めやすいということ。
逆に、なかなか物件が見つけられなかったり、家賃が高めで難度が高そうな場所ほど、競合の参入が困難となり、価格は維持しやすい。

4. 事業に対する愛情と理解、そしてモチベーション

単純に儲けられそうというだけで宿泊事業を始めると失敗しやすい。
何が利用者に求められ、喜ばれるのか?
ホステルに宿泊したことがない人は圧倒的に想像力が足りないことが多いので、少なくとも20,30箇所は泊まってから計画を見直してほしい。

逆に楽しさだけを求めて始めると収支が合わずに破綻するので、経費や単価、稼働などの数字が見えやすい施設などでオペレーションなどを学ぶべきだ。

お客様の満足度を高めるために最大限努力し、その見返りとして得られる利益を最大化する。そのためにはホステル事業に対する愛情と理解、モチベーションのどれもが欠かせない。

5. 人を大事にできる経営者の覚悟と企業体力

『価格以外』で勝負できるような宿泊施設をつくるには、文化を醸成し、コミュニティ化を進める必要があるが、それは一朝一夕でつくれるものではない。

作り上げるには時間がかかり、宿のコンセプトを体現した安定したスタッフの確保、育成が必要となるため、経営者の覚悟と企業体力が必要となる。

さいごに

自分は首都圏にある100ベッドくらいの規模感の宿泊施設の運営しか経験がないので、小さい規模感のところではもっと別の工夫の仕方があるだろうし、これが全てではないだろう。

実は、今回書いたポイントは、数年前くらいまでは『これができてると強い』と思っていた部分だったのだが、今では『これができていないと戦えない』というレベルに変化している。
この変化は驚くほど早かった。

しかし、今回ご紹介した5つのポイントをしっかりと意識しておくだけで余計な躓きはなくなるのではないかと思う。

なにか聞きたいことがあれば、メッセージをいただければ分かる範囲で答えさせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ばしょうでした。


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