～フェミ、ポリコレ棒で殴ることに慣れすぎて「キズナアイ」まで殴る～

ここでは、本庶佑特別教授がノーベル医学生理学賞を受賞したことによって起こった『キズナアイ』について、主にツイッターで巻き起こった騒動（炎上？）について解説と自分の意見を発信していきたいと思う。

【キズナアイとは】
Activ8株式会社が開発したバーチャルユーチューバーである。YouTubeチャンネルを2つ運用しており、両チャンネル合わせた登録者数は2018年10月現在で330万人を超えている大人気コンテンツにまでなっている。アップロードした動画の総視聴回数は2億2000万回を超えており、最も注目度の高いバーチャルユーチューバーである。

活動を始めたのは2016年なので、まだ2年ほどしか経っていないことを考えるとどれだけの注目度か分かるだろう。バーチャルユーチューバーの草分け的存在となっており、キズナアイ登場以降にさまざまなバーチャルユーチューバーがデビューすることとなった。

【キズナアイ炎上の原因】
今回のキズナアイ炎上はなぜ起こってしまったのか。その原因となっているのが、太田啓子弁護士によるツイッターの発言だ。まずは、どのような時系列で炎上に繋がっていったのか見ていこう。

事の発端は、京大高等研究院の本庶佑特別教授がノーベル医学生理学賞を受賞したことから始まる。日本からノーベル賞受賞者が出たのは非常におめでたいことである。これを機にNHKがノーベル賞についての特別サイトを開設したのだ。ノーベル賞の特別サイトということで、専門家などが詳しく解説してくれるものだと思っていた。

しかし、そこに出てきたのはバーチャルユーチューバーとして最近売り出しているキズナアイであった。見たことない人や、親世代からすれば意味が分からないはずだ。そんなキズナアイだが、実際にやっていることはほとんど相槌であり、採用する必要性があったのか疑問を持つ人が多かった(詳しくは後述)。そして、問題はキズナアイの描写にも伸びることになってしまったのだ。弁護士の太田啓子さんがツイッターで以下のような呟きをしたのである。

『ＮＨＫノーベル賞解説サイトでこのイラストを使う感覚を疑う。女性の体はしばしばこの社会では性的に強調した描写されアイキャッチの具にされるがよりによってＮＨＫのサイトでやめて。このサイトで女性受賞者は少ないの?とか書いてるけどこれじゃ理由わかんないんだろう(原文ママ)』

この呟きを機に、キズナアイ擁護派と否定派の論争が始まったのである。自分はキズナアイ擁護派だ。キズナアイ自体は特別悪いことをしていないのだから。人の考え方はそれぞれである。自分の考えが100%正しいなんてことはないし、否定派から見たら100%違うと思われるだろう。それでも、擁護派として意見を言わせてもらいたい。

【実際に思うこと】
キズナアイがノーベル賞の解説にふさわしくないと言われているのが、『解説してないじゃん』という部分と『キズナアイが性的な描写』という部分である。まずは解説の部分についてだが、これに関してはキズナアイという存在に対してどのような思いがあるかによるだろう。

特に、親世代であれば『何これ？』と感じるはずだ。初音ミクですら親世代に浸透していないのに、歴史の浅いキズナアイの存在など知らない人の方が多いはずである。そんなキャラがノーベル賞の特別サイトに出てきて解説するのだから頭に『？』マークが浮かぶのも仕方ない。

さらに、キズナアイがしていることの大半は相槌であったと言われている。『はーい。』や『ふーん。』、『ほー。』などひたすら相槌するだけだ。それによって相槌の名人と皮肉られるほどである。しかし、これはヤフーニュースなどによる情報操作である。実際は、普通に質問もしているし特に内容には問題なかったと言えるだろう。

ただ、こういった情報操作が行われたことによって、キズナアイは相槌しかしてないんだからマジで必要なかったという否定派が大きく乗り出した形だ。否定派の多くは、NHKなんだからもっと固いイメージでやってほしかった、二次元のキャラに栄誉あるノーベル賞を語らせるな、などの意見を持っている。結局のところ、オタクを差別しているだけなのである。

こういった二次元イラストのキャラ（実際には3DCGだが）が世に出てくるだけで否定派は当該キャラやオタクをすぐに否定する。気持ち悪い、犯罪予備軍、だからオタクって人種は、完璧なる差別である。内容に問題がないから悪い部分だけ切り取ってキズナアイを陥れようとしているのは、はっきり言って悪趣味だ。女性差別は許さないけど、オタクは別に陥れても良いと考えている、そう感じ取ってしまった。

【性的な要素を含むという発言】
これについては、あまりに一方通行な意見であったと言えるだろう。性的に強調された描写という論点については、『どこが？』というのが正直な感想である。確かに、肌の露出はある。ヘソも見えるようになっている。ただ、それだけで見ている人が全員性的に見えるのだろうか？答えはノーだ。

もし、『肌の露出が性的に映ってしまうからテレビなどのメディアに出るのはふさわしくない』という話であればナンセンスである。表現の自由は認められているのだから。確かに、そういった目的で製作されたものであればアウトだろう。それは法律にも定められているし、マナーとして最低限のモラルは守るべきだ。NHK側もしっかりと確認した上で、キズナアイを採用したはずだ。

性的な描写に見えるということは、それだけその人が性に対して敏感なんだと感じてしまう。キズナアイを一目見て、まず胸に目がいくだろうか？ヘソに目がいくだろうか？もし、すぐにでもそういったところに目がいくのであれば、そもそも女性に対してそういう感情しか持っていない人なんだと思う。二次元のキャラが出てきたら、とりあえず胸やお尻をチェックしないと気が済まない人なんだろう。

そもそも、キズナアイを見ている人全員がキズナアイを性的な目で見ている訳がないのだ。キズナアイは前述した通りバーチャルユーチューバーであり、YouTubeというコンテンツの中で面白おかしく実況などをして楽しませるために製作されたものである。キズナアイが面白い表情をしながら辛辣な言葉を発したり、時には恥ずかしそうな表情をして見ている人を癒してくれる。

そんなキズナアイがノーベル賞の特別サイトに出てきたところで感じるのは、『とうとうキズナアイもNHKに出るようになったか』程度である。NHKの考えとしては話題づくりで採用したのかもしれない。残念ながら違う方向で話題になってしまった訳だが、キズナアイを採用したという部分に何の問題もない。

実際にコンテンツを見てみたが、キズナアイを見た瞬間に『性的な女の子だ』と感じる人は正直かなり敏感な感性を持っていると言っても過言ではない。たとえば、普段と違って露出をかなり増やしたり水着姿などで出てきたら普段から知っている人たちからも性的な描写だと言われても仕方ない、と諦めの声が出ていただろう。視聴者を集めるために性的に寄せたのは間違いだったと。

しかし、キズナアイは普段のキズナアイなのである。特別変わった様子もなく、普段見ているキズナアイが普通に出てきただけなのだ。正直、これを見て性的な描写でふさわしくない、と言う論争が起こるとは思ってもいなかった。実際に、性的な描写が多い番組や作品なんて山のようにある。

反対派の意見からしたら、NHKだから駄目だった、二次元だから駄目だった、未成年のような風貌だったから駄目だった、のような意見が出てくるだろう。だが、それはこじつけであり後付けだ。NHKだから駄目だったというのであれば、これからのNHKの番組には夏でも長袖長ズボンでなければ出てはいけないというルールを設けるべきだ。

未成年のような風貌だから肌の露出に性的な興奮を覚えるから駄目と言うのであれば、夏でも長袖長ズボンで過ごすように法律で定めるように申請するべきである。しかし、それは命の危険があるから出来ない、二次元であれば死ぬことはないのだからそうするべきだと言うだろう。結局、二次元という存在を認められないのである。

キズナアイの代わりに白衣の女性を立たせるべきだったという意見がある。小保方晴子氏が行った『捏造』、東京医大による女性受験生の点数操作などによって、理系女子に対する眼差しが厳しくなった。そこで、白衣を着た女性がノーベル賞のことをしっかりと解説して理系女子に対する風当たりを弱めたり、女子学生を励ますことが出来るはずだ、というもの。確かに、ノーベル賞の受賞者も男性ばかりだし『女性医師の手術はいやだ』というタイトルの記事も出ている。

だが、白衣の女性は果たして性的に見えないのだろうか？白衣を着ている人に対して性的に興奮する人は多くいるだろう。しかし、そこに関しては一切の否定を入れていない。結局、ここにも二次元だからという差別があるのだ。僕からしたら、白衣を着ている人の方が普通は性的に見ると思う。

しかし、こういうことを言うと『それはアナタだけです。性的に見てるから性的に見えるんです。』と返されるだろう。擁護派も否定派も結局のところ譲れない部分がある。ただ、あまりにも今回の否定派の意見については一方的かつ嫌な気分にさせられた。

今後もキズナアイなどのバーチャルユーチューバーは活躍していくだろう。YouTubeというコンテンツを抜け出して、世間の目に触れる機会も増えていくだろう。決して否定だけに固執するのではなく、少しでも理解してくれる人が増えるように応援していきたいところだ。
外部記者（もみじんこ）