見出し画像

ずっと待つ人に救われた

受け止めるためには君の何倍もの心の深さが必要だと
気づかされた時にはもうぼくの方はボロボロだった
君は自分の無邪気さの、奔放さに無関心だった
可愛いからといってぼくの心を弄ぶのは
ぼくの想像を超えていたのに
ぼくはけなげにもクールに構えすぎていた

そんなに強くはなかったことに
君がいなくなって思い知らされた
あれから君以上の人に出会わなかった
みんな慎重だった
無防備に、無鉄砲に自分を投げ出して
受け止めさせるような大胆さを持つ人に
めぐり逢わなかった

そこに真逆な人がいたことに気づいたのは
ぼくの心が苦悩の果てに入れ替わったからだ
ぼくの何気につぶやいて本人も忘れているような小さな一言を
何日も後になってぼくに思い出させた
ずっと何も言わずに長いあいだ待ち続ける人を
初めて知って号泣するほどだった
ぼくがどんなにしていてもずっと待つ人がいることに、救われた


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?