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朝通勤中の電車の中で、初対面の人と本屋を作ることになった話

こんにちは、贈り物本屋Hotaru造りに関わらせてもらっているイノウ(@ino22u)と申します。漢字では「稲生」と書くのですが、読める人があまり多くないので、カタカナにしています。オダギリジョーをちょっとだけ意識しています。

普段はWantedlyという企業で働いていて、空いた時間で友人とちょこちょこ”言葉”に関係する仕事をしていたりしてます。

贈り物本屋Hotaruに関わる人々で作っていくこのnote。

今回は元々全くの部外者出会った僕が、なぜ贈り物本屋に関わりたいと思ったのかの経緯を記していきます。
もし、同じ様な思いを持った人がいたら、ぜひ一緒に本屋造りをしましょう。

きっかけは、Twitterで流れてきた一つのつぶやき

忘れもしない、8月15日の朝。
いつものように行きの電車でtwitterを見ていたら、このつぶやきが目に飛び込んできた。自分の中で色んな感情がドバっと溢れてきた。

まず、最初に「なんて素敵な企画なんだ」とワクワクした。
そのあと「自分がやりたいなとぼんやり思っていたことをやろうとしている人がいる。。!」と、悔しいなと思う気持ちが出来てた。
そして、「自分も関わりたい」と衝動のようなものが生まれた。

そして、次の瞬間気づいたら、全く面識もなかったHotaruの発起人であるタクミくんにDMで一言「一緒にやらせて欲しい」と送っていた。

迷いはなかった。断られてもいいと思っていた。ぼくは取捨選択で迷った時、いつも「やらない後悔よりは、やる後悔」という言葉を思い出すようにしている。もちろん失敗する時もあるんだけど、やらないと「1」にも「−1」にもならないから。

ほぼ勢いに任せてDMを送ったわけだけど、僕は決して図書館や本屋に小さい頃から入り浸るような、生粋の本好きでは無かったのだ。

とある奇妙な本屋との出会い

今でこそ本が好きで、毎週1冊くらいのペースで本を読んでいるけど、本をがっつりと読むようになったのは、社会人になってからだった。
それまでは映画と漫画は大好きだったが、活字の本はあまり読む方では無かった。中高で読んだ思い出があるのは「いま、会いに行ゆきます」と「ダレン・シャン」くらい。

本屋に行っても、漫画の新刊をチェックして雑誌のコーナーでファッション誌と音楽雑誌を立ち読みして終わる。

そんな僕が本を沢山読むになったきっかけは、池袋にある「天狼院書店」という、妙に仰々しい名前のこじんまりとした書店だった。

もともとは「天狼院書店」が開講している「人生を変えるライティング・ゼミ」という文章力を鍛えるためのゼミを受講するために、その書店に行きはじめたのだけど、店長の三浦さんに「良いアウトプットのためには、良いインプットが必要」と言われてから、手当たり次第に本を読むようになった。

本を一冊読む度に、自分の知らない世界の扉を一つ開いているような気になれた。

ビジネス書を読めば、コトラーやダニエル・カーネマンが経済学や心理学を教えてくれる。

エッセイを読めば、塩野七生が「男らしさとは何か」について説教してくれるし、哲学書を読めば鷲田清一が「人はなぜおしゃれをするのか」について、語りかけてくれる。

小説はすごい。1冊読めばあっという間に何人も友達や尊敬できる先輩、反面教師な奴らと出会える。小説の中には自分の一部が必ず存在していて、孤独や承認欲求や素直になれない自分をすくい上げて、肯定してくれる。

そのうち、自分が出会った素晴らしい本をもっと他の人にも読んで欲しいと思うようになり、ブログで本の紹介までするようになった。

本だけでなく、本屋自体にも徐々に面白さを感じるようになった。

小さな本屋というのは、ジュンク堂などの大型書店と比べると品揃えの数では劣るが、それぞれの本屋ならではの選書センスがある。単に「ミステリー」や「ビジネス書」などのカテゴリーで区切らず、全く別の関連性から本同士を結びつけてひとまとめにすることで、大型書店では出会えなかった様な本との出会いがあることが、個人書店の魅力だ。

「天狼院書店」に限らず、個人経営の書店に訪れては、偶然そこで出会う本を買うようになると、Amazonでなんでもオススメされる時代だからこそ、偶然の出会いがもっとあってもいいんじゃないかと思うようになった。

僕がブログで本の紹介を始めたのも、まだその本に出会っていない誰かが、ブログをきっかけにその本に出会ってくれたらいいなと思ったからだ。

モノ一つ選ぶのにもグーグルでの評価や口コミを気にして、なかなか決められ無くなってきている時代のなか、自分にとってのオススメを機械が教えてくれることはとっても便利だと思う。変なものを買って失敗するのは嫌だし。

その一方で、自分の興味範囲を超えたところからやってきたものが、たまたま自分にとってフィットするものである可能性だってあるはずだ。本や映画との偶然の出会いをもっと作れないだろうか、そんなことをぼんやりと思っていたときにそれこそ「偶然」出会ったのが、あのつぶやきだった。

僕は「偶然」を作りたい

タクミくんにDMをしたら、彼は快く会いましょうと言ってくれた。

初めて会ったのはChat baseというタクミくんがやっているコワーキングスペースだった。

そこで彼が贈り物本屋Hotaruを通して「ニヤニヤ」をデザインしたいという話を中心に、どんな体験をHotaruに来た人にしてほしいのかを目をキラキラさせながら、興奮気味で話してくれたことを覚えている。「著名人にも本を寄贈してくれたら嬉しいよね〜」なんて話もしていて、是が非でも恩田陸さんに頼みたいと思ったりもした。

Hotaruでの体験は、ここに書いている通りだ。

夏の夜に草場の影で蛍を見つけて、それをそっと手で包み、見せたい相手へ内心ニヤニヤ・ワクワクしながらちょっと小走りで向かっていくような体験。送る人も送られる人も、本との偶然の出会いを作ることができる。本を通じて、2人の間の距離が少し縮まり、本を通じて自分が考えていなかった世界が広がる。そんな素敵な体験を生み出す本屋が楽しくないはず無い。

今回のタクミくんのつぶやきとの出会いも、贈り物としての本との出会いも、「偶然」の上に成り立っている。偶然との出会いの総量が増えれば、人生はちょっとづつ楽しくなっていくんじゃないかな。

本を贈る、という行為を通じて沢山の偶然が生まれ、次の一歩を踏み出したり、新しい景色に気づく人が増えたら良いな、そう思うのだ。

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