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大学改革

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記事一覧

全学とキャンパス、複数ブランド化で相乗効果をねらう。立命館の新拠点誕生に見る重層的なアプローチ

全学とキャンパス、複数ブランド化で相乗効果をねらう。立命館の新拠点誕生に見る重層的なアプローチ

大学のブランディング活動を、ものすごく平たく言ってしまうと、その大学がこれまで積み重ねてきたことと、これからやろうとすることを、ターゲットに最も伝わる表現で伝え、浸透させていく営みのように思います。今回、見つけた立命館大学の取り組みは、まさにこれに当たるのですが、他とはちょっと違うんですね。こういった重層的な手法をとれると、より深く、説得力のあるかたちで、社会に大学の価値を伝えられるのかもしれませ

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大学に新たな多様性をつくり出す!APUが仕掛ける「高校生特命副学長」募集という挑戦の価値を考える

大学に新たな多様性をつくり出す!APUが仕掛ける「高校生特命副学長」募集という挑戦の価値を考える

普段は大学のプレスリリースからnoteのネタを探すことが多いのですが、今回はX(旧Twitter)で見つけた告知を取り上げようと思います。立命館アジア太平洋大学(APU)の前代未聞の非常にユニークな取り組みです。大学が新しいことを模索するのであれば、これぐらいの突飛さや気概が必要なのかもしれません。

「高校生特命副学長」募集というチャレンジ

ではどのような取り組みなのかというと、新高校1・2年

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独自のカルチャーに”浸れる”環境が人を育てる。武蔵野大学EMCのイベントから考える、大学で学ぶ意味とは何か

独自のカルチャーに”浸れる”環境が人を育てる。武蔵野大学EMCのイベントから考える、大学で学ぶ意味とは何か

インターネット上に無料の学びがたくさんあるなか、大学で学ぶ意味とは何なのだろう?こういった問いは、メディアやネットの書き込みを見ていると定期的に目にします。私自身もたまに考える問いではあるのですが、今回、見つけた武蔵野大学のイベントはその答えの一つになるかもしれません。

スタートアップ界隈の”熱さ”を体現した大学イベント

では、どんなイベントなのかというと、「EMC SUMMIT −未来の前で

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変化と多様化が押し寄せる今こそ考えたい。大東文化大の就活イベントから連想する、今後の就活支援の在り方

変化と多様化が押し寄せる今こそ考えたい。大東文化大の就活イベントから連想する、今後の就活支援の在り方

就活支援や就職実績といった“卒業後”にかかわる情報は大学選びにおいて、とても気になる情報です。私が受験生だった20年以上前でも、こういった情報は積極的にアピールされており、今も昔もその重要性は変わらないように思います。一方、今と当時では社会状況も学生の価値観もかなり変化しており、中身についてはけっこう変わったのかもしれません。今回、見つけた大東文化大学の就活イベントのプレスリリースを見て、これをし

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ブランドメッセージを誰にどう伝える?東京工芸大の取り組みを機に考える、大学ブランディングの4つのアプローチ

ブランドメッセージを誰にどう伝える?東京工芸大の取り組みを機に考える、大学ブランディングの4つのアプローチ

新型コロナが5類になり落ち着きを見せたと思ったら、次は生成AIが社会を揺るがす大きなトピックとしてあらわれました。近年、立て続けに、大学や大学教育とは何かを問い直す出来事が続いています。こういったタイミングだからこそ、自分たち大学が何者であり、何をめざすのかといったことを、あらためて考え、具体化していく必要があるのかもしれません。

今回、見つけた東京工芸大学の「ブランドタグライン」と「ブランドス

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影響するのは教育だけじゃない?近大の取り組みから考える。大学による生成AI活用のリスクと難しさ

影響するのは教育だけじゃない?近大の取り組みから考える。大学による生成AI活用のリスクと難しさ

第170回芥川賞の受賞者がChatGPTを一部使って小説を書き上げたことで話題になっていますが、生成AIの発展はほんと目覚ましいものがあります。今回、見つけたプレスリリースはそんな生成AIの大学での活用についてです。近畿大学の取り組みなのですが、今後、こういうのが増えていくのかもしれませんね。

生成AIを使って大学職員の業務効率を上げる

今回のリリースは、近畿大学でChatGPTに使われている

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卒業生こそが大学の財産!3同窓会組織の連携協定から、同窓会がつながることのポテンシャルを考える。

卒業生こそが大学の財産!3同窓会組織の連携協定から、同窓会がつながることのポテンシャルを考える。

大学の広報活動における入試広報とブランディング活動の違いは何か?と聞かれると、重なっているところの方が少ないのですが、でもあえて一つを挙げるとするなら、“勝たなくていい”ことのように思います。この視点で考えたとき、今回、見つけたプレスリリースの内容は、すごくポテンシャルが高いように感じました。

3つの同窓会組織による連携協定の締結

では、どんなプレスリリースなのかというと、学習院桜友会、成蹊学

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大学組織をしなやかに鍛える確かな方法。大学のアイデンティティを社会に発信する活動の意味と効能を考える

大学組織をしなやかに鍛える確かな方法。大学のアイデンティティを社会に発信する活動の意味と効能を考える

大学が社会に向けて発信するテーマを、誤解を恐れずに大別してしまうと、研究活動、教育活動、そして大学のアイデンティティに関わる内容のように思います。前者2つと比べると、最後の1つはそこまで重要ではないのでは?と、以前は思っていたのですが、いろいろと考えるなか、少なくともこの3つは同じぐらいに重要だと思うに至りました。今回、東洋大学の特別展のプレスリリースを見て、あらためてそんなことを考えましたので、

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新型コロナ収束でリスタートした大学の国際交流。今だからこそ増やしたい、留学エバンジェリストたち

新型コロナ収束でリスタートした大学の国際交流。今だからこそ増やしたい、留学エバンジェリストたち

新型コロナがほぼ収束したことで、大学も以前のにぎわいを取り戻したように思います。今回、見つけた大阪学院大学のイベントは、そんなコロナの収束を感じさせつつも、今だからこそより力を入れるべき取り組みなのだと、あらためて感じました。

英語授業体験ができる、在学生向け留学フェア

では、どんな取り組みなのかというと、「Study Abroad Fair 2023」という在学生に向けて留学の魅力を伝えるイ

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愛校心の強化から創造へ。近畿大学の同窓会コミュニティ支援から考える、これからのホームカミングデイの役割

愛校心の強化から創造へ。近畿大学の同窓会コミュニティ支援から考える、これからのホームカミングデイの役割

大学の秋の風物詩といえば、やっぱり学園祭?いえいえ、それもありますが、もう一つあります。そうホームカミングデイです。卒業生たちが大学に訪れるこのイベント、なんで秋に多いんでしょうね。やっぱり気候がいいからでしょうか。今回、近畿大学のホームカミングデイを伝えるプレスリリースを見つけて、ここまでやるのかと驚いてしまいました。卒業生とのつながりづくりは、大学にとってやはり重要トピックなようです。

まる

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卒業生とのコミュニケーションを根本から変える!?追手門学院大学の「OIDAIアプリ」のポテンシャルを考える

卒業生とのコミュニケーションを根本から変える!?追手門学院大学の「OIDAIアプリ」のポテンシャルを考える

高校生、在学生、卒業生とどのようにコミュニケーションをとるべきか?こんな問いをされると、自然と大学広報にかかわる問い(=課題)だと受け取ってしまうのは、私が広報関連の仕事をしているからなのか、それとも一般的にそうなのかは気になるところです。とはいえ、今回、追手門学院大学のプレスリリースを見て、実は広報的なアプローチ以外でも、この問いに応えられるかもしれないことがわかり、ちょっとドキドキしています。

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変化の過渡期だからこそ考えたい。フェリス女学院大が取り組む、学生の発表で問いかける”我々とは何か?”

変化の過渡期だからこそ考えたい。フェリス女学院大が取り組む、学生の発表で問いかける”我々とは何か?”

歯止めのきかない少子化、コロナ禍を経ての学びや学生意識の変化、にわかに高まっている学び直しへのニーズなどなど。大学の置かれた状況が刻々と変わってきているのは、大学関係者でなくても、なんとなく感じている人は多いように思います。今回、見つけたフェリス女学院大学の取り組みは、こういった変化の過渡期だからこそ、より大事になる取り組みだと感じました。大学はどうあるべきかを考えるのは、大学のマネジメント層だけ

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商品開発と起業をつなぐもの。近畿大学の取り組みから気づく、実学教育に足らなかったワンピース

商品開発と起業をつなぐもの。近畿大学の取り組みから気づく、実学教育に足らなかったワンピース

働くうえで役立つスキルや知識を、実社会に近い環境で身につけるというのが、現在の大学教育に求められているものの一つだと言えます。この究極的なものが学生ベンチャーのように思いつつ、それ以外にもいろいろな取り組みが、いろいろな大学で展開されています。

今回、見つけた近畿大学の取り組みも、そんないろいろなうちの一つ。よくある取り組みではありますが、ちょっとだけ視点が違うんですね。この少しの視点の違いによ

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育てると増やすは違う?異色の講演会から感じる、ベンチャー企業創出拠点づくりをめざす近畿大学の本気

育てると増やすは違う?異色の講演会から感じる、ベンチャー企業創出拠点づくりをめざす近畿大学の本気

つい先日、近畿大学のインキュベーションの話題を取り上げたところなのですが、今回も近大のインキュベーションネタです。見た瞬間は、これってどうなの!?と感じたのですが、あれこれ考えた結果、一周まわってこれはこれで有りなのかなぁと思うに至りました。何であれ、目的さえ明確なら、そこに至るアプローチは自由なのかもしれません。

近大「KINCUBA Basecamp」で開催する異色の講演会

今回、取り上げ

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