養生訓巻第二総論下 鳳凰堂流解釈㊻
原文を現代文に改変
七情は喜怒哀楽愛惡欲なり。醫家にては喜怒憂思悲恐驚と云う。又六欲あり。耳目口鼻身意の欲なり。七情の内、怒と欲との二、尤も徳を破り生を損なう。忿を懲らし、欲を塞ぐは易の戒めなり。忿は陽に属す。火の燃ゆるが如し。人の心を亂し元氣を損なうは忿なり。おさえて忍ぶめし。欲は陰に属す。水の深きが如し。人の心を溺らし元氣を減らすは欲なり。思いて塞ぐべし。
鳳凰堂流意訳
七情とは喜怒哀楽愛惡欲である。
治療家は喜怒憂思悲恐驚と表現している。
又六欲と言う考え方もあり、耳目口鼻身意からでる欲の事を言っている。
七情の内、怒と欲との二つが尤(もっと)も徳を破り生を損なう。
忿怒(ふんぬ)を我慢し、欲を塞ぐことはは易で戒められている事でもある。
忿は陽に属す。火が燃えている様を表している。
人の心を乱し元氣を損なうが忿である。
おさえて忍ぶべきもの。
欲は陰に属す。水が深くある様を表している。
人の心を溺らせ元氣を減らすのが欲である。良く考えて塞ぐ事が大切。
鳳凰堂流解釈
六欲(感情の形態)は陰、七情は陽といったところでしょうか。
周易では一つの焦点、テーマ(太極)を二つに分け、更にそれを二つに分ける事で五行としています。
今の東洋医学ではその先がないのですが、貝原益軒はその先の六、七について言及することで、最大数である、九を暗示させ、全てを理解した上で、陰陽(六欲、七情)を語っている事を示しています。
六欲と言うものの発達程度によって七情がどのように調和を崩しやすいかを知っていれば自ずから過不足(太過不及)を理解し、病にならないよう養生できるという事に繋がります。
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