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養生訓 巻六 慎病 鳳凰堂流解釈⑩

原文を現代文に改変
居り所、寝屋は常に風寒暑濕の邪氣を防ぐべし。

風寒暑は人の身をやぶる事激しくして早し。

濕は人の身を破ること遅くして深し。故に風寒暑は人恐れ易し。濕氣は人おそれず。人にあたる事深し。故に久しくして癒えず。濕ある所を早く遠ざかるべし。

川の岸辺近き所を遠ざかるべし。又土浅く、水近く、床低き處に坐臥すべからず。

床を高くし、床の下の壁に窓を開きて、氣を通ずべし。

新たに塗りたる壁に近づけて坐臥すべからず。濕に当たりて病となりて癒えがたし。或いは疫病を憂う、恐るべし。

文禄の朝鮮軍に、戦死の人は少なく、疫病多かりしは、陣屋低くまばらにして、士卒寒濕に当たりし故なりとぞ。居處も寝屋も高く乾ける所よし。これ皆外濕を防ぐなり。

一たび濕にあたれば癒えがたし。恐るべし。

又酒、茶、湯水を多く飲まず、瓜菓、冷麪を多く食わざるは、これ皆内濕を防ぐなり。

夏月冷水を多く飲み、冷麪をしばしば食すれば、必ず内濕に破れ、痰瘧、泄痢を憂う、慎むべし。

鳳凰堂流意訳

いつも居る場所や寝室は常に風寒暑湿の邪氣を防いでおくほうが良い。

風寒暑は人の身に害をなす事が激しく早い。

湿は人の身に害をなすことが遅く深い。このことから、人は風寒暑は避けやすいが、湿気はあまり恐れない為、病が深くまで浸透し、慢性化して癒えない事が多い。湿気がある場所はできるだけ早く遠ざかる方が良い理由である。

川の岸辺に近い所からは遠ざかった方が良い。

又土が浅く、水が近く、床が低いところに座ったり寝たりしない方が良い。

床を高くし、床の下の壁に窓を開き、氣を通すと良い。

新たに塗った壁に近づいて坐わったり寝たりしない方が良い。湿気に当たって病となり癒えがたいからである。

或いは疫病にかかりやすくなるので恐れを持つくらいが良い。

文禄の朝鮮軍に戦死の人は少なく、疫病が多くのは陣屋が低くまばらで、士卒が寒湿に当たった事が原因である。

普段いる場所も寝室も高く乾いたところが所よい。全て外湿を防ぐからである。

一たび湿気にあたれば癒えがいので、恐る位が丁度よい。

又酒、茶、湯水を多く飲まず、瓜菓、冷麺を多く食わない事で内湿を防ぐ。

夏に冷水を多く飲み、冷麺を良く食べれば、必ず内湿に破れ、痰瘧、泄痢を憂う為、慎むべきである。

鳳凰堂流解釈
六淫の邪と呼ばれる、風暑火湿燥寒と言う気候変化で1番注意すべきは湿邪(湿気)ですが、適度な湿気は利もある為、人は中々気づきにくい事を伝えてくれています。

せめて引っ越し、良くいる場所等は気をつけておくと良いです。

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