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養生訓 巻第八 灸 鳳凰堂流解釈⑧


原文を現代文に改変

灸法古書には、其大さ根下三分ならざれば、火發達せずと言えり。

今世も元氣つよく肉熱くして、熱痛をよくこらゆる人は、大いにして壮數も多かるべし。

もし元氣虚弱、肌肉浅薄の人は、艾炷を小にしてこらえよくすべし。壮數を半減すべし。

甚だ熱痛して堪えがたきをこらゆれば、元氣へり、氣升り、血氣錯乱す。

其人の氣力に應じ、宜に随うべし。灸の數を幾壮と云うは、強壮の人を以て定めていえる也。然れば灸經にいえる壮數も、人の強弱により、病の輕重によりて多少を斟酌(しんしゃく)すべし。

古法にかかわるべからず。虚弱の人は灸炷小にしてすくなかるべし。

虚人は一日に一穴、二日に一穴、灸するもよし。一時に多くすべからず。

鳳凰堂流意訳

灸法の古書には、大きさが根の下三分でなければ火が発達しないと書かれている。

今世も元氣がつよく肉が厚く、熱痛をよくこらえる人は、大きさが大きく、壮数も多い方が良い。

もし元氣が虚弱で、肌肉が薄い人は、艾炷を小さくしてこらえやすくすると良いので、よ壮数を半減すると良い。

非常に熱く痛みが堪えがたいのをこらえれば、元氣がへり、氣も昇り、血氣が錯乱する。

そのような人は氣力に応じて良い大きさ、壮数に従う。

灸の数、何壮と言うのは、強壮の人を基準に定めている。そうなると灸経に書かれている壮数も人の強弱により、病の軽重によって数を考えるべきである。

この点は古法に関わらない。

虚弱の人は灸炷を小さくにして少なくするのが良い。

虚人は一日に一穴、二日に一穴、灸するもよし。一回に多くしないようにする。


鳳凰堂流解釈

文字に遺されたものには表現の限界や時代背景の違いがある為、良く考え、人によって変えるべき事を言っています。

これは素問にも、伝わる人に伝えなさい、考えない人には伝えないようにと言っている事から、古典を読む際の金言だと考えています。

マニュアルはあくまでも基準。そこからどう個人差を考慮するかが技量。

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