これって犯罪になるの?


弁護士やってると、雑談程度でもこういう質問受けることあるわけで。

聞く方は軽い気持ちでも実は、どの程度の精度で答えないといけないのか、って結構悩むものなのです。まあ、何か販売や営業をやってる人なら「●●っていくらで手に入る?」と尋ねられると迷いますよね。最近はあちこちで「相談無料」なんてやってるから、軽い気持ちになるわけで、それは良い傾向なのかもしれないけれど、法律事務所の「相談無料」なんてのは、実は不動産業者さんの「見積無料」と同じことなんですよね。法律相談という形式で料金をいただくのがこの業界の伝統だった。「見積」=法的手続きにかかる弁護士の費用等を算定するに当たっては、トラブルの内容を詳しく聞かないといけない。不動産業者さんが物件を調査するのと同じだと思う。それで、こうやって広告打っていつまでにいくらくらいで売却するという説明に入るのだろうけれど、弁護士だと、もうそれは紛争に対するアドバイスになってしまう。場合によっては、弁護士を依頼しないで自分で交渉や調停を行った方が懐が痛まないで済むなんてアドバイスになるのだけれど、そうなると、相談を聞いてアドバイスするだけで、仕事には繋がらないというケースも多々ある。なので、昔ながらの法律相談の料金は、時間制になっていたわけなのだ。
ところが、この十数年特に大手債務整理系の事務所がこの料金体系を崩して「法律相談無料」を大っぴらにコマーシャルするものだから、相談業務の評価が落ちている。この手の事務所にとっては、見積無料では終わらない状況の相談者をCMのエサで集めているのだろうけれど。
で、何が言いたいかと言うと、弁護士に法律の話をする際には、せめて仕事に繋がる可能性のあることを聞くとか、間違ったことを言っても問題ないレベルの話(映画やドラマ。ちゃんと見てないと言う切り札がある。)にしてほしいということ。
それから、そういう相談料を払うべきところを知り合いだからと聞いているのだったら、少なくともネットで調べたとか、できることはやってからにしてほしい。何が分からないのかくらいは整理しておいてもらわないと、どこまで分かってるのか分からない人間にいちから説明する羽目になる。
素人で分からないんだからと、妙な強気に出るのは最悪だと思う。
それから、こういう話って、守秘義務の対象になるのかどうかだって不明確である。口止めしたいなら、明確にそう言ってもらったら、知り合いとしての秘密くらいは守ると思う。
少なくとも僕は、法律上当然に弁護士としての守秘義務を負うのは、事務所で相談申し込みを書いてもらったか、顧問先等の関係で料金をいただいているのと同視できる関係にある相談だと思っている。

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