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無人島へ1枚だけ持っていくなら 『5150』 VAN HALEN

初めて聴いたVan Halenの曲は、アルバム『5150』(1986年)に収録されている「Why Can’t This Be Love」で、既にヴォーカルはサミー・ヘイガーでした。

中学生だった私は、後に「生まれ変われるものならなりたい人」として願うほどになるエディ・ヴァン・ヘイレンを知らず、この曲のビデオ・クリップ(今でいうMVです)を見てキーボード担当かと思ったほどでした。

振り返ればこれ以前に「Jump」を耳にしていたかもしれませんが、そのVan HalenとサミーのVan Halenが同じバンドとして結びついていなかったと思います。デヴィッド・リー・ロスはスティーヴ・ヴァイとビリー・シーンを従えてヒット曲を飛ばしており、このヴォーカルが元Van Halenとも知りませんでした。

このアルバム『5150』からヒット曲が続き、弟がCDを購入したことで初めて「このギター、カッコいい!」となったことを覚えています。同封されているライナーノーツでVan Halenというのが人の名前であることを知り、ギターとドラムが兄弟であることに驚いた記憶があります。

こんなにも何も知らないところから始まったVan Halenですので、私にとってVan Halenとはサミーがいるバンドであり、四十代後半だとそういう人は結構多いんじゃないかと思います。

当時のFM雑誌などでバンドの経緯や、エディがギター・イノベイターであり、他のギタリストから如何に尊敬されているかを知ることになり(この後、Live Without A Netを観てエディの本当の凄さに吹っ飛ばされます)、繰り返し聴くようになりました。

本作には ⑵ Why Can’t This Be Love だけでなく、⑷ Dreams や ⑹ Best Of Both Worlds という「こんなの嫌いな人います?」という曲があるのに加えて、素晴らしく美しいバラードの ⑺ Love Walks In まであり、⑴ Good Enough 、⑶ Get Up 、⑸ Summer Nights でエグいギターとVan Halen特有のグルーヴを聴かせてくれます。そして、音楽性の幅広さを余裕たっぷりな感じで見せてくれる ⑼ Inside でアルバムは終わります(今になって聴くとこの曲もめちゃくちゃカッコいいすね)。サミーってなんでも歌えるな。

そして、何度聴いても「捨て曲なしとはこのこと」と感じさせてくれるこのアルバムの中でも、私が最もシビれるのはタイトル曲となる ⑻ 5150 です。

冒頭のリフのカッコよさは筆舌に尽くしがたく、召されてしまうかと思うほどです。リフそのもののカッコよさに加えてとにかくギターの音が異次元のカッコよさ。

この曲に限らず、他のアルバムと比べるとこのアルバムだけ全体の雰囲気が少し違うように感じるのですが、プロデューサーのミック・ジョーンズ(Foreigner)が影響しているのかもしれませんし、この曲ではそれが際立っているように思います(チューニングも違うのかな?)。バンドの演奏やサミーのヴォーカル、ギター・ソロまで私にとっては完璧な曲です。

Van Halen、特にエディのギターということなら1stの『Van Halen』や『Fair Warning』など、とにかくデイヴ期こそがVan Halenとされているのをよく見かけますし、なんといっても『1984』がありますのでそのことはよく理解できます。

それでも私にとっては『5150』以降がリアルタイムで体験したVan Halenであり、より好みの楽曲が多いこともあってサミー期こそが私にとってのVan Halenです。

サミーとエディの仲違いは本当に残念でしたし、マイケル・アンソニーが離脱したのにもがっかりしましたが、エディが亡くなる少し前には交流があったことをサミーが明かしてくれていますので、このバンドに関する自分の思い出もいくらか良いものになりました。

進学で実家を出た際、弟のCDを持ち出す訳にはいかずにあらためて本作を買い直し、今は「Forever Young」シリーズのCDをレンタルしてロスレスで取り込んだものを聴いています。「Forever Young」シリーズにリマスターの記載は見つけられませんでしたが、近年の曲とシャッフルで聴いても音量差が少ないようにはなっていると思います。

『5150』と『OU812』は30周年あたりでリマスター記念盤みたいなのを期待していましたが、それは叶わぬ夢でした。

今では成立しないかもしれませんが、昔は「無人島に持っていくならこの1枚」という企画がありました。選ばれているのはQueenの『グレイテスト・ヒッツ』が多かった記憶がありますが、私は『5150』を持っていきます。エディのギターもこのアルバムでの音が1番好きです。

改めてエディ・ヴァン・ヘイレンのご冥福を祈りつつ、これからも聴き続ける1枚です。

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好きすぎて描いた鉛筆画


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