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理念浸透の次なる一手!社員が事業を自分ごと化する手法を大公開!



株式会社ハウスマート(以下、ハウスマート)人事の細川瑛司と太刀川遥香です。

事業成長のために「経営理念(※)の浸透だ!」「組織づくりだ!」「マネージャー陣のマネジメント力強化だ!」と日々悩みながら取り組んでいる企業が多いのではないかと思います。ハウスマートも同じです(笑)
(※)ここで経営理念とは、MISSION・VISION・VALUEの総称と定義します。

事業成長のためには、いろいろな取り組みがあると思いますが、つまるところ社員1人1人が事業を自分ごと化したら最強の状態になるのではないかと考えています。最強の状態を作る条件としては

1 「経営理念」「戦略」が共感あるいは腹落ちしている状態
  我々の存在価値や、進むべき道が見えているか
2 社員1人1人が視座高く、視野広く事業を見れている状態
  ビジネス構造や組織構造(それぞれのグループの役割)が見えているか
3 自分の業務と経営理念が繋がり、期待役割が明確になっている状態

この3つを社員全員ができていれば実現できるものと定義します。スタートアップ界隈の企業は「経営理念」共感の重要度は共通認識になっている印象があるので、この記事では大事な着眼点の記載に留め、戦略以下2と3の実現に向けてのハウスマート事例をお伝えします。


目次

1. 経営理念を浸透させるという発想が実は間違い!?浸透の大事なポイント
2. 戦略を描いて終わりにしていないか?戦略立案上の大事なポイント
3. 戦略を個人目標に接続するHOW TO
4. 経営理念と個人目標を接続し、個人の期待役割を明確にするHOW TO
5. 事業を自分ごと化するワークショップの全貌大公開(設計編)
6. 事業を自分ごと化するワークショップの全貌大公開(当日編)
7. まとめ


経営理念を浸透させるという発想が実は間違い!?浸透の大事なポイント

ハウスマートでは、経営理念を「私たちが本当に大事にしていること」と捉えています。企業活動をしていく上での価値観であり、立ち返る場所であり、ありたい姿です。
そして、経営理念が浸透し社員の行動に紐づくと、強い組織を生み出し、創造的な価値を生み出していくものと信じ経営理念は重要だと考えています。

と……教科書的な言葉を並べましたが、ハウスマートでは経営理念に関して特徴的な2つの考えを持っています。

◎経営理念に関する特徴的な考え方

1. 経営理念は目的達成のための手段(ツール)では無いという考え方
2. 経営理念は作るものではなく、“社員間の対話によって明らかになっていくもの”という考え方


経営理念が目的達成のための手段になってしまうと、理念が会社の“ルール”のような存在になってしまい、その見えない圧力が社員のモヤモヤや反発を醸成し、経営理念が形骸化して“ただの言葉”になっていく……というのが、経営理念浸透に頭を悩ましている企業の主たるメカニズムだと感じています。

「いかに浸透させるか」という言葉を経営陣が使っているあたり、社員は経営陣からのトップダウンを感じているはずで、実は既に試合は終了していることも……。

そして、事業を成長させるために理念が必要だ!作ろう!とするプロセスそのものも、経営陣が社員をマネジメントしようとする意思が垣間みえてしまうのであまりいい動きではないように思います。

「我々の存在意義や価値は何なのか?」を仲間と対話し続ける行為にこそ意味があり、結果として経営理念は明らかになっていくものであり、“対話”が組織を強くする源泉となるのではないかというのがハウスマートの見方です。

そして、MISSIONは不変のものと考える企業が多いように感じますが、事業活動をしていくと、環境が変わったり、顧客が変わったり、サービスが変わったり、社員や組織の構成も変わったりします。変化が普通の中で経営理念も変化して良いものと捉え、対話し続けて生まれた言葉は始めから共感され、自然と行動に繋がり、結果企業や組織を強くしていくのではないかと思います。結果として経営理念は明らかになっていくものであり、“対話”が組織を強くする源泉となるのではないかというのがハウスマートの見方です。



戦略を描いて終わりにしていないか?|戦略立案上の大事なポイント

経営理念が浸透していれば事業は成功するのか?と言われるとNOでしょう。成功確率を上げているとは言える気がします。では次の一手はどこにあるのか?

下の図にある経営理念(黄色の字の部分)が定まっただけでは、どこを走ればいいのかわからない。当たり前ですが、目標と戦略を描き推進していく必要があります。

▼経営理念図


しかし、法人規模が大きくなればなるほど、全社戦略と個人の業務との間に距離が開き、なんのための仕事かわからなくなる問題が発生します。

この問題を防ぐための流れをまとめると

1. 事業戦略を描く
2. 部・グループ単位に戦略を噛み砕く
3. 個人の業務に落とし込む(※)
4. 推進していく

(※)個人業務をトップダウンで決めることを推奨しているわけではありませんが、経営戦略を噛み砕いて個人業務に紐づけていくことに意味はあると考えています。


これを週次、月次、半期単位、通期単位、そして中長期単位で運用していければ、しっかり事業は伸びていくはずです。

そして、おそらくこの流れで難しいポイントは2つ

1.  グループや個人に噛み砕くのが難しい
2. 個人目標まで設定できたのに推進力に欠ける

要因の多くは噛み砕く能力の不足(経営陣、もしくはマネージャー)と、経営理念と個人業務の接続が難しいこと(なんのための仕事かが見えない)の2つ。前者についていえば、論理的に事業KPIを設計していくことができれば、各グループで追いかけるべきKPIも定まるので結果噛み砕きやすくなります。(後ほど説明)

後者の経営理念と業務の接続は難易度が高め。経営理念に共感している状態も必要になりますし、経営理念に繋げる作業も必要です。大変ではありますが、経営理念と業務が紐づくと、事業が自分ごと化する状態に大きく近づきますので丁寧に解説していきたいと思います。



戦略を個人目標に接続するHOW TO

改めてですが、戦略立案と推進のプロセスは以下の通り。

1.  事業戦略を描く
2.  グループ単位に戦略を噛み砕く
3.  個人の業務に落とし込む
4.  推進していく

事業戦略の描き方を語ると長くなるので別の機会にお話するとして、ここでは「個人目標に噛み砕けるように事業戦略を描く。しかも経営理念に繋がっている状態を作る」という趣旨で説明させていただきます。

ポイントは5つ

1.  事業KPIを描き、グループが追うべきKPIと目標を設置する
(戦略の噛み砕き)
2.  個人の目標を出来るだけKPIに紐付ける
(個人目標への噛み砕き)
3.  VISIONと個人目標を繋げる
4.  社員1人1人が事業KPI理解する
(視座を上げ・視野を広げる)
5.  仲間の目標を可視化し、横の繋がりの中で自分の役割も可視化する
(期待役割の明確化)

おそらく前半の2つは多くの会社で行なっていること。(人事のお仕事)
後半3つはあまり実行している企業は多くないように感じます。(戦略的人事の仕事と勝手に定義)
この章では前半2つのプロセスを解説し、後ほど後半2つをご紹介します。


1. 事業KPIを描き、グループが追うべきKPIと目標を設置する

▼事業KPIツリー

詳細はお見せすることができませんが、ハウスマートではこのようなKPIツリーを描きました。そして3グループがどのKPIを追うのかを定めています。(各グループの主要KPIを定めています)


▼事業全体の目標とグループ単位の目標(噛み砕く)

次に全社と各グループの目標をロジックツリーで描きます。
ハウスマートでは目標(半期後に目指す山|VISIONに近い)と欲しい結果(目標実現に必要な結果・要素|KPIが多く含まれる)の観点で設計します。

事業のKPIツリーが完成し、各グループの主要なKPIが定まっているので、スムーズな目標が設計できます。ハウスマートでは全社の目標と欲しい結果が決まった段階で、各グループのマネージャーに噛み砕いてくるよう宿題を出しました。マネージャーはグループメンバーと議論を交わしながらグループ目標を設計し経営会議に持ち込み議論の上決定していく流れを取りました。

トップダウンで作るのではなく、メンバーを巻き込みながらグループ目標を設計したのも大事な要素で、社員1人1人が事業を自分ごと化していくことに繋がる設計になっています。


2. 個人の目標をKPIに紐付ける
▼チーム・個人単位に目標を噛み砕く

個人の目標は別のシートで細かく設定していますが、グループ単位に噛み砕いた目標をさらにチーム・個人単位に噛み砕きます。メンバー1人1人が違う目標を追うことになりますが、マネージャーは合わせるとグループや全社の目標に繋がっているかどうかを確認しながら設計します。

個人の目標を設計する際も、欲しい結果にKPIが多く入ってきます。
そしてここまでが人事観点で期初にやらねばならない必須事項です。



経営理念と個人目標を接続し、個人の期待役割を明確にするHOW TO

経営理念が明らかになり、戦略を描き、個人の目標まで設計した。ここまでできると、人事の立場としては一仕事を終えた感を持ちます。この後はマネージャー陣に託していこう!そんな考えになるはずです。しかし、この設計ではリスクがまだ潜んでいます。

組織が壊れるリスク、です。

グループの目標や個人の目標をトップダウンで決めれば尚更、社員個人が自ら設計に関わっていたとしても組織が壊れる可能性があります。

なぜか?

KPIを明確にして追うべきものが明確になるほど、KPI達成のために社員の行動もKPI化していきます。(例:「商談1件獲得のため、毎日アプローチリストを20件作りなさい」といったマネジメントが発生しやすくなる)そうすると、社員1人1人のタスクにアイデンティティが失われ、自分の仕事が歯車になっているような感覚を醸成し、やりがいを失っていく、そして組織が壊れていくという構図になってしまうのです。

ちなみに、理念浸透度が極めて高い会社で、事業計画戦略をきちんと個人に噛み砕くことができていない場合でも、ゴールを目指したいのに自分の仕事が何のためにあるのかわからず、そしてゴールに繋がっているのかわからず組織が崩壊していきます。

組織が崩壊しないためには、「タスクアイデンティティ」を作る。言い換えると「何のための仕事か」を明確にしていく必要があります。そのためには、目標がVISIONに繋がっていることを示し、周囲との関わりの中で自分の役目を認識できるようにすることで解決につながると考えています。

目標とVISIONをどう繋げていくのか

個人の目標とVISIONを繋げていくためには、図の通期目標(マイルストーン)の描き方がまず大事になります。多くの会社ではVISIONを3年後、5年後、10年後くらい先に掲げているのではないかと思います。加えて、通期か半期の目標を設計していると思うのですが、ここに問題があります。

VISIONが壮大すぎるほど、目の前の目標がVISIONに繋がっているかがわかりにくくなるという問題です。場合によってはマネージャー陣だけでなく経営者ですら繋がりを明確にできていない可能性もあるのではないかと感じています。

そこでオススメなのが、目標を細かく設計していくと、どういう道を進もうとしているのかがわかりやすくなります。結果として目の前の半期もしくは通期の目標が何のための目標なのかが明確になり、これを個人の目標に噛み砕いたとき、タスクにより強いアイデンティティを持たせられるようになります。


周囲との関わりの中で自分の役目を認識できるようにする
周囲との関わりの中で自分の役目の認識という突拍子もない言葉に「??」となった方も多いのではないかと思います。これはハックマンとオールダムによる「職務設計の中核的5次元」から考えているものです。

この「職務設計の中核的5次元」は仕事にやりがいを感じ、習熟を重ねていくための仕事の設計方法について述べられたもので、

1. 職務の多様性
2. タスクアイデンティティ
3. 有意義性
4. 自律性
5. フィードバック

これが5つの要素であると述べられています。(詳しくは検索してみてください)
その中で、今回大事にしているのが何度か登場している「タスクアイデンティティ」です。仕事の全体像がわかる、仕事の流れがわかる、周囲との関わりがわかると仕事の意義が見出され、仕事への真剣度が上がると言われています。

具体的にどうやったのかを次の章でご紹介します。これは先ほど記載して説明していなかった以下の3と4の解説となります。

▼(参考)個人目標に噛み砕けるようにできる事業戦略を描く。しかも経営理念に繋がっている状態を作るために大事な4つのポイント

1. 事業KPIを描き、グループが追うべきKPIと目標を設置する
2. 個人の目標をKPIに紐付ける
3. 社員1人1人が事業KPI理解する
4. 仲間の目標を可視化し、横の繋がりの中で自分の役割も可視化する



事業を自分ごと化するワークショップの全貌大公開(設計編)

ここまでまとめると、経営理念が浸透し、VISIONと全社目標を個人目標まで噛み砕けている状態になっているはずです。VISIONと仕事が繋がっているので一定タスクアイデンティティも生み出せている状態です。さらにタスクアイデンティティを生み出すべく周囲との繋がりを可視化していくのですが、ハウスマートではこれをワークショップで行いました。その設計をご説明します。

◎ワークショップの流れ

1. アイスブレイク(社員の自己紹介)
2. 事業KPI理解を深めるワークショップ(KPIツリー疑問点洗い出し)
3. 直近四半期のKPIに紐づく実績をもとにKPT(※)を実施
4. KPTのT(TRY)で重要な施策を3つ、今最も重要だと思うKPIを絞る
5. 全体発表
6. KPIツリーに追っているKPIに自分の名前を書く。周囲との関わりを確認する

(※KPTとは、Keep/Problem/Tryの略で、上手くいっていること/課題/次のアクションを進めていくフレームのこと)

大事なのは全体像が把握できること、KPIのメカニズムがわかること(KPTを用いて分析し打ち手を考えるケーススタディで実施)、自分の仕事の意味を理解すること(ケーススタディによって)、そしてツリーに名前を書いていき周囲との関わりを見える化していくワークショップにしました。



事業を自分ごと化するワークショップの全貌大公開(当日編)


事業KPI理解を深めるワークショップ(KPIツリー疑問点洗い出し)

KPIツリーが作り込まれるほど、複雑なほど、作った本人しかわからないKPIツリーになりがちです。「その言葉の意味は?」「どういうロジックで数字が算出されるの?」「何でこういう構造なの?」疑問に思ったことは何でもポストイットに記載していきます。

疑問を出し切ったあと、チーム内の有識者(マネージャー)あるいはKPI作成者が監督としてたちまわり、疑問に対して回答をしていきます。疑問が払拭されたポストイットははがしていき、全てのポストイットが剥がされるとチームメンバーは全ての疑問が解消されるという仕立てにしています。


直近四半期のKPIに紐づく実績をもとにKPTを実施

次に、直近の数字を眺めます。計画通りにいったKPI、計画を下回ったKPIなど様々な状況が写し出されるはず。なぜそのKPIは上手くいったのか、なぜ上手くいかなかったのか、次どうすればいいのかを議論します。ワークショップでは1つのチームに全てのグループメンバーが混在する形にし、違うグループのメンバーの声を聞くことによって視野を広げる仕立てにしました。

KPTのT(TRY)で重要な施策を3つ、今最も重要だと思うKPIを絞る
本題の「事業を自分ごと化するには」視座をあげることも大事な要素です。全体を俯瞰し、課題を特定し、何をすべきか考えるクセを作れるよう、「決め切る」ワークショップを開催しました。


全体発表


壁に大きなKPIツリーを貼り、チーム内で議論したTRYを貼っていきます。何をすべきか全体で共有し様々な声を共有し合う場を設計しました。ここで大事にしていたのは、そのTRYに対して責任グループを定めてもらい、グループごとに違う色のポストイットを使っています。KPIごとに対して、誰が、どんな施策を打つべきなのか色で可視化されていきます。


KPIツリーに追っているKPIに自分の名前を書く。周囲との関わりを確認する

→色のついたところに名前が実際には記載。同じKPIを他のチームのメンバーと追いかけていることなどが可視化されます。


もともと追うべきKPIは個人目標の段階で定まっていますが、改めて1枚のシートに自分が追っているKPIの所に名前を書いていきます。ここでも所属するグループごとに色を定めてスプレッドシートに名前を書きます。自分の追っているKPIを他のグループメンバーも追っている、近いKPIに誰が責任持って動いているのか周囲との関わりが可視化されます。隣り合うKPIは当然密接な関係性を持っているので、これから取り組む施策に関わる人が見えるので誰と相談していくべきかがわかりやすくなりました。



まとめ

いかがだったでしょうか。経営理念浸透の着眼点、事業目標立案の着眼点、個人目標に噛み砕く手法、タスクアイデンティティを生み出す手法などを一気にまとめてみました。

事業全体像も俯瞰して見えるようになり、社員1人1人やりがいを業務遂行できる状態になるので、結果タイトルの通り「社員が事業を自分ごと化」していき、事業成長に繋がっていくのではないかと思います。

ハウスマートもまだまだこれからではありますが、さらなる飛躍に向かって進んでいきます。ただ目標を設計していくのではなく、事業成長のために動く戦略的人事事例の1つとなれれば幸いです。

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Housmart(ハウスマート)

2014年9月に株式会社Housmart設立。「住を自由に」 をミッションに掲げ、テクノロジーとデザイン、不動産の専門知識を融合させ、「住」の 概念をもっと自由なものに進化させることを目指しています。

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