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スタートアップ1人目の専任デザイナーとしてやったこと【前編】

バンド活動に導かれて入ったインターフェースの世界

もともとデザインはほとんど独学で学んだんです。大学を卒業してからはバンド活動に力を入れていました。

そのホームページを作ろうということで、ウェブに触れたのが最初のきっかけです。自分で書いたコードが画面として出来上がっていくのが面白かったんですよね。

本心としてはバンドをやっていきたかったのですが、インディーズバンドというもの自体は仕事と並行してやるのが当たり前と思っていたので、仕事も興味のある領域からはじめて、バンドもちゃんとやるという形にしようと考え、ウェブの世界に足を踏み入れました。

最初はweb制作会社でアルバイトを2年ほどやっていました。この会社は受託が中心だったのですが、自社プロダクトも作っていて、3年目に入るあたりで印刷会社に提供する電子ブックの作成ツールの開発画面をデザインしてみないか、と言われたんです。このアプリケーションの、印刷会社向けの管理画面などを手がけたことがきっかけで、インターフェースのデザインをやっていくことになります。

マネジメントよりも、立ち上げのエネルギーを感じたい

その後4年ほどはこうしたBtoBのツールの開発に携わっていました。しかし30代前半に差し掛かり、自分の業務はだいたいできるようになってきたタイミングで、BtoCのプロダクトを作ってみたいという思いが大きくなっていきました。これまでは、BtoBの案件がほとんどだったので、お客さんの顔が見えないことが多かったんですね。

営業出身の人が経営している会社で、営業先でニーズをまとめる担当と、実際に開発をする担当がはっきり分かれている組織だったんです。それはそれで効率的に業務をこなせる側面はあったんですが、本当に欲しがっているものを作れているのかわからないことが多く、実際に作ったものが売れずにお蔵入りしてしまうようなことが多かったんです。

言われたとおりに言われたものを作るのではなく、自分で舵を取って積極的に関われる人間になっていかないといけないんじゃないか、と思ったんですね。

そこで人材紹介会社のエージェントに話を聞きに行ったわけですが、そこではマネジメントスキルのことしか言われなかったんです。年齢的にも管理職のポストになるということだったのでしょう。

しかし、マネジメントスキルが求められるような現場に行くとなると、それは既にある程度会社規模が大きくなっているところに行くことになります。そういった会社では、自分が思うような仕事がそこでできるとは思えませんでした。

自分のやりたいことができ、尚且つ立ち上げのエネルギーを感じることのできる環境で仕事をしたいと考えた私は、スタートアップであることに重きを置いて、転職活動をはじめました。


自分の読んだ本の著者からスカウトされる

当時在籍していた会社は、全体の業績がよく、東証一部に上場することになったんです。

そのときはもう転職するつもりでいたので、今の方がお金が借りやすいだろうと思って、マンションを買ったんですよ。そのとき代表の針山の本(『中古マンション 本当にかしこい買い方・選び方』)に出会って、実際その本を参考にして購入したんですね。

転職活動をしたとき、他の会社からも声はかけていただいていたんですが、スカウトメールを送ってくれた人がいて、よくよく見てみると、自分がマンションを購入するときに参考にした本を書いた針山さんだったんですよ。

そこですぐ連絡して、面接に行って、当日飲みにいってその場で「ハウスマートに転職しよう!」と気持ちが決まりました。なんだかできすぎていて嘘みたいな話ですが、本当です。

アパレル系など複数の業界を検討していましたが、マンションを探しているときから不動産は面白いなと思っていたんですね。物件を見て家を探して、決めていくプロセスがすごく楽しかった。

物件にはいろいろなパターンがあるわけですが、ひとつとして同じものはありません。そのユニークさがいいなと思ってハウスマートにジョインしました。

チーム唯一のデザイナーとして、最初にやったこと

カウルサービスが立ち上がったものの課題が大きく作り直しの検討がされているタイミングで入社しました。

社員数としてはまだ10人くらいのタイミングでしょうか。その中に、唯一のデザイナーとして入っていくことになりました。

実際入ってみると、やはり自分が作ったものが直ぐに反映されるという醍醐味をすぐに感じることができましたね。立ち上げならではのエネルギーも感じました。

最初はまず、課題を見つけるところから始めるんです。これまでは、いわゆる要件定義が終わった段階から作りはじめることが多かったのですが、まずどのような課題があるのかを考えて、それからようやく要件定義ができはじめるわけですね。

いろいろなことを調べたり、チームに共有したり、みんなでまとめたりしながら、「プロダクトをどうしていくべきなのか」から考えました。

当時のカウルは、tinderという有名なマッチングアプリと同じようなインターフェースを採用していました。アプリをインストールすると物件が表示され、それをスワイプして選んでいくような形です。

不動産をこのようにして見せるのは斬新ではあったのですが、期待されたほどの数字が出ていなかったんですね。そこでリニューアルが必要だという話になっていました。

インストールしてからすぐに物件を見られるというメリットを期待して採用されたインターフェースだったのですが、これだと一回物件を見たら終わりになってしまうし、見た物件が溜まっていかず流れていってしまうという問題がありました。

それは誰が使うデザインなのか

当時は仲介手数料が一般的な不動産の半額というところが売りだったんです。(※現在「手数料半額プラン」復活中)価格の差別要因を求めるユーザーにはいったいどういうUIが刺さるのだろうか、ということから考えていきました。

中には実際にマンションを買うまで、仲介手数料なんてものが存在することを知らない人もいます。知っていたとしても、「そういうものだ」と思って気にしないし、調べもしない。

そんななかでカウルを使ってくれるユーザーは、不動産に対するリテラシーが高い人だろうという仮説を立て、こうした人たちが使いやすいように、検索したリストが表示できるようなインターフェースへと抜本的に変更しました。

また、物件の詳細ページはいろいろな情報がてんこ盛りです。これらの情報をユーザーがどのような順番で見ていくのが正しいのか、ユーザーの状況を突き詰めて考えることで、見せる順番をひとつひとつ決めていきました。

結果としては、リニューアルに際してとてもいい選択ができたと思います。最適なインターフェースは、状況やユーザー属性によっても変わってきます。

これは前の会社から感じていたことですが、ユーザーが使いやすいかどうかでサービスの質は決まりますし、生き残れるかどうかも決まります。

毎回何かを乗り越えながら作っています。

(続く)


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Housmart(ハウスマート)

2014年9月に株式会社Housmart設立。「住を自由に」 をミッションに掲げ、テクノロジーとデザイン、不動産の専門知識を融合させ、「住」の 概念をもっと自由なものに進化させることを目指しています。

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