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「やりがい」って、ひとつじゃないから。転職します。

転職しようかな、と思った。


きっかけは昨日家に届いた封書。焼けるような暑さの中手に取ると、会社からのものだった。それまで全く気にならなかった動悸が一気にぶり返した。自分自身に驚いた。私は一度送り人の書かれた面を裏にして机に置き、息を整える。

すーはー。うん。大丈夫、大丈夫。

覚悟を決めて、おそるおそる中を封を切る。

中身はなんて事の無い事務書類だった。休職中の給与は出ない旨、傷病手当金支給の申請の旨、休職している間の社会保険料等の振り込みの旨、財形貯蓄の変更届の旨。

こうしてみると、自分の給料からどれだけの額が引かれていたのかがよくわかった。財形に関しては自分で決めたことだからいいのだけど。

溜め息をつく。仕方がないとはいえ、通院もあって出費が重なっている。今回ばかりは親に頼み込んで、借金という形で工面してもらおうか。


ふと、やっぱり給料が少ないなと思った。

今の職に正社員として就いて3年目。本俸はまだまだ、20万には程遠い。そこから保険やら年金やらを引いて、月の手取りは15万を下回る。

もともと、やりがい重視の業種であることは明らかだった。入社した当時はそれでいいと思った。仕事が充実しているのなら、人生それで充分だと思った。一生涯この仕事を続けようとさえ思った。

その未来予想図が崩れたのは、外の世界が見えた時である。

知らないことだらけだった。想像以上に世界は面白いものであふれていた。

私も知りたい。やってみたい。行ってみたい。そして、私も誰かに伝えてみたい。あなたが思っている以上に世界は広いものだよ。捨てたもんじゃないよ、と。

加えて、自分にフォーカスを当てていくうちに、とうとう一番の欲求は「実家から出ること」だと気付いてしまった。

一人暮らしにかかる費用は、とてもじゃないが払えない。

低賃金。副業禁止。そのふたつが私を縛る。

そんなことを考えている間に業務に追われ、不幸が続き、気が付いたら適応障害になっていた。

休職の間ずっと考えた。仕事のこと。お金のこと。自分のこれからのこと。

悩みに悩んだ末、結局口からこぼれたのが、冒頭のそれである。


夢を言ってしまえば、自分で稼げるようになりたい。もう、いくら業務に追われても変わらない低賃金に虚しさを覚えたくない。

だが稼ぐためのスキルと実績が私にはまったく備わっていない。

なので、一度副業可能な仕事に変えて、スキルを上げていく必要がある。すぐさまフリーになって背水の陣の敷くような、そんな準備でさえ今はできないのだから。

仕事と向き合おう。いつかは結局やらなければいけないことだったのだ。それが今になっただけである。

やりがいのある素敵な仕事だった。やってよかったと思える仕事だった。

でもやりがいって、その仕事で得られるものだけではない。

私はどう思われようとも、次のステップに踏み出したい。


打ち明けるのが怖いと怯える心臓はあるけれど。

恐れなくていい。だって私の人生は、私が決めていいのだから。


転職します。

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