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不良を懲らしめて改心させる!は正しいのか?

興味深いドキュメンタリー番組が海外で放送されました。その名も「スケアード・ストリート!」

スケアード・ストリート!

スケアード・ストリート!の内容は10代の非行少年少女を刑務所に連れていき、3時間過ごさせるというものです。刑務所暮らしの恐ろしい実態を知ることで、少年少女を非行の道から遠ざけようというものです。

実際に刑務所で少年たちは囚人からの威圧を受け、鎮静のために囚人がレーザー銃で打たれるところを実際に見ることになります。少年少女はこれに耐えられず、目から涙を浮かべるようになります。これで更生して正しい人生を歩んでめでたしめでたしというわけです。

実際このプログラム後は、非行少年たちの非行率が減少していることが確認されています。更生した少年たちを最後に映して、いかにもドキュメンタリーらしい終わり方ができました。


・・・これで終わったらめでたしめでたしなのですが、このプログラムには重大な問題があります。それは、プログラムを実施した少年とプログラムを実施しなかった少年を比べた調査によってわかりました。その結果得られた結論は「プログラムを実施しなかったほうが非行率が下がった」というものだったのです。

更生しているように見えるタネと仕掛け

スケアード・ストリート!を体験した少年たちは非行率が下がっていました。しかしそれは、何もしなかっても同様でした。むしろ何もしないで放置したほうが非行率が下がったくらいです。

非行率の低下を都合よくスケアード・ストリート!の成果だと思い込んでいただけで、結局「平均への回帰」によって非行率が下がっただけだったのです。特に非行の多かった次の週は少なくなるのは当然のことです。それを都合良くプログラムの効果として認識してしまっていたのです。

むしろ刑務所で悪い人達を見て、少しの憧れを持ってしまったのでしょう。一見良さそうなこのプログラムですが、その後の少年少女の非行率を増加させる悪質な行為だったのです。

人は印象で都合の良い理由をつけてしまうもの

何か大きなイベントが起こった後だと、悪い事が起こっても良いことが起こってもそれが原因だと感じてしまいます。人は理由付けをしたい生き物ですが、それが無意識すぎて自分では気づかないことも多々あります。今回の例を参考にして、今後は印象だけで物事を決めつけてしまわないように心がけたいものです。


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