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システマ随想 第二回「システマの学び方」 文/北川貴英

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ロシアン武術「システマ」の公認インストラクターである、北川貴英氏が書き下ろしで語る、私的なシステマについての備忘録。第二回目の今回は、改めてシステマの学びかたを語って頂きました。創始者に手が触れられるからこその幸福と難しさと学びの階梯とは一体どんなものなのでしょうか。


システマの学び方

 システマの大きな特徴の一つとして、創始者が現役であることが挙げられます。創始者が古人であれば型や伝書、口伝、あるいは映像などから学ばなくてはいけません。しかしシステマではわからないことがあれば、創始者であるミカエル本人に尋ねることができます。

 だからこそ感じる難しさもあります。

 「システマには秘密はない」と言う通り、ミカエルは基本的になんでも教えてくれます。それも学ぶ側のレベルを見極め、それに応じた知恵を授けてくれます。仏教でいう対機説法なのです。これはミカエルの優しさであると同時に、厳しさでもあると最近は痛感します。

 相手のレベルに合わせて教えるということは、その人に見合わない知恵は授けないということを意味します。つまりそれなりの知恵を得ようとしたら、自分がそれに見合う人間になり、見合う場を整えねばならないのです。つまり向き合う人が未熟であれば、引き出せる知恵もまた大きく限られてしまいます。人生経験を積み、奥行きのある人間になることで初めて知恵を得られるようになっていくのです。

2014年東京セミナーより

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