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実践、超護身術 第二回 間接護身に必須の「聴勁」01

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武術の根幹と言えば身を護ることにある。法治国家である現在の日本においてもそれは同じだ。時として、理不尽な要求や暴力から自分や大事な人の身を護るためには、決然と行動を起こす必要があるだろう。しかし、そうした行為もまた、法で許されている範囲の中で行わなければ、あなた自身が法に裁かれることになる恐れがあるのも事実だ。

では果たしてどのような護身が有効なのか?

本連載では元刑事であり、推手の世界的な選手でもある葛西真彦氏に、現代日本を生きる中で、本当に知っておくべき護身術を紹介して頂く。

犯罪と司法の現実を知る、“元刑事”の武術家が教える、

実践、超護身術

第二回 間接護身に必須の「聴勁」01

文●葛西真彦

間接護身の核、「聴勁」

聴勁(ちょうけい)とは、どんな意味だと思いますか。
これは武術で使われている言葉で、相手の力や動き意図を聴くことを指します。細かいニュアンスは各武術団体や各流派によって、それぞれに違った細かい解釈や定義があるかもしれませんが、私が皆さんに伝えたい間接護身における「聴勁」の定義は、五感の作用で相手の動向や感情などを読み取り、危険を察知して事前に回避するというもので、私がこの連載で提示する「間接護身」の核とも言える部分です。

そこで今回から数回に渡って、この聴勁についてお話したいと思います。

多くの護身術の問題点

事前に危険を察知する技術は非常に重要です。多くの直接護身では相手が攻撃してから、何か対処することが前提ですが、実際にはそれでは遅いのです。私の経験から言えばまず間に合いません。そしていくら訓練しても、「こうきたら、こうする」という練習を繰り返すだけでは、本気で殺そうと突然仕掛けてくる人間に対処するのは、極めて難しいのが現実です。

そもそも全力で殺しを仕掛ける人間と、それに対処する人間には、圧倒的なハンデが生じるのですが、そのことを考慮した直接護身は、なかなか目にすることがありません。シミュレーション自体が難しいこともあるのでしょうが、実際に殺そうとする人間と、何度も対峙した経験のある人間でないと、理解のできない感覚なのかもしれません。

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