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誰得ドット絵『モアイ』

ひっじょ~に、ついてこられる人が少ない話題かもしれませんが、ぼくはモアイが大好きです。小学生のころ「モアイ展」があって、それを観に行って以来、モアイの作られ方、運ばれ方、そしてモアイとともに絶海の孤島に生きたイースター島の人々の文化に魅了されてしまったのです。

世界の歴史や考古学に関心を持ったのも、モアイやイースター島が大きなきっかけでした。

もちろんイースター島という名前は西洋人が訪れて勝手につけた名前で、現地語では「ラパ・ヌイ」というそうです。「"キエフ"はロシア語で、ウクライナ語では"キーウ"だ」と言ってメディアや政府が表記を変更したわりに、「世界中の地名を現地語で呼ぼう」という動きにならないダブスタには辟易とします。ジャパン人としてはね。

まずは下描きでアタリをつける

前置きはさておき、ドット絵を描いていきましょう。

これまで描いてきた「微妙な角度」(斜め22.5度)のマップオブジェクトにあわせて、今回は24x32ドットのキャンバスで進めていきます。

手順①②③

手順① 足場を描いておく。
手順② ざっくり下描き。いくらなんでもひどい顔!
手順③ 描き直し。

手順②の下描きではあくまで「見下ろし」視点であることを意識しすぎて大失敗したので、手順③では見下ろし感をあまり意識せずに描き直しました。モアイ像の顔は少し上を向いている(のもある)ので、垂直に立ったものを見下ろす構図にする必要はありませんでした。

塗りながら顔つきを調整

線画状態はまだイマイチなんですが、とりあえず色を塗ってから調整していくことにします。モアイは山の巨大な岩から切り出して作られたものなので、同じようにまずはざっくり切り出したところと考えればいいのです。

モアイの顔は「おでこが高くて、堀が深い」ことや、「鼻が長い」、「顔が長い」、「耳が長い」ことが特徴なので、それらを意識しながら手直ししていきます。モアイを作った石工になったつもりでがんばっていきますよ!

手順④⑤⑥

まず手順④では、内側を石っぽい色で塗り潰します。顔が平坦で「もっさり」しているのがとても気がかりです。マンガによくいる背の高いぼんやりキャラっぽいですよね。

フチドリ線で細かく整えるのは難しいので、手順⑤では、顔の奥側を黒く塗り潰しながら、全体の顔つきを再構成しています。頭頂部を狭くしたほか、鼻を高くしたり、顎が「だるーん」とした感じをなくしたり、です。

手順⑥では、顔面2段階と、再暗部の影を示す色の計3色で全体を塗り直しました。まあ、下描きよりはずいぶんマシになったのではないでしょうか。

でもまだ「疲れたおじさん」感が強く残っていますね。特に、西洋人っぽさがあるのが良くありません。

島にはポリネシア(ハワイが北端、ニュージーランドが南西端、チリ西方にあるラパ・ヌイが南東端で大きな三角形を描く)から人が入植してきたと考えられ、南米から渡って来た人々もいるとの説もあるものの、どのみち西洋人の面影は不必要です。

そもそも大航海時代後の南北アメリカ大陸同様に、ラパ・ヌイもスペイン領にされたり、天然痘を持ち込まれて島民が全滅しかけたりと、西洋人にはひどい目にあわされてきたので「不必要」どころではありません。

最終調整は「脱欧」!?

かつて日本が西洋の文化に傾倒したことを「脱亜入欧」と言いますが、ここでは逆に「脱欧」していきます。あえて「入亜」はしませんが、ポリネシアへは台湾経由で人類が広がったという説もあるので、あながち間違いではないかもしれません。

手順⑦⑧

手順⑦では、額を少し小さくし、先端が垂れ気味だった鼻を上げ、顎が前に出るように調整しました。唇の下・顎の上に影のラインを加えることで唇を浮き彫りにし、「キリッ」とさせたことで"困った表情"も正しています。

これで、かなり若返り、精悍な顔つきになりました。

ただし、まだ目元の周囲と額が広く、"モアイ像らしさ"に欠けています。

そこで、手順⑧ではさらに頭頂部を狭め、長耳を強調することで目元の面積を減らして頭部全体を上に向けて「ほっそり」させました。また、顎が割れているように見えるのを修正して鋭利な雰囲気を出しています。

結局、最終調整は「おじさんっぽさ」が出ているところを修正してばかりだったので、「脱欧」というより「脱おじ」と言った方が良かったかもしれませんね。

もうちょっと作りを突き詰めていきたいところですが、モアイ像には色々な顔があるものですから許容範囲ということでここまでにしておきましょう。

石の色にして完成

最後に、コンクリートのようだったダミー色を、自然の石色に変えます。

手順⑨⑩

手順⑨ 実際のモアイ像にはかなり黒い石が使われているのですが、あまりリアルな色にすると立体感を判別しにくくなるので「ほどほど」の色にして塗り直します。

最後の手順⑩では、明色部分を1色増やし、ザラつきを出すことで石っぽさを強調しています。

今回はいつもよりこだわりが出てしまったので少し長くなりましたが、これにてドット絵『モアイ』の完成です!

そうそう、こだわりと言えばぼくはモアイを茶化されるのが嫌なので、ファミコン時代にコナミのゲームでふざけたモアイのキャラクターが多用されていたのを苦々しく思ってコナミのゲームから離れたり、渋谷で待ち合わせをするときに「モヤイ前でいい?」と言われたら必ず「だめ」と断ってきました。

「おいおい、そんな頑固な奴がいるのかよ」と言いたくなる気持ちはよ~くわかりますが、頑固だなんて言ってほしくありません。

ぜひそこは、「石頭」でお願いしたいところです。

(おしまい)

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