見出し画像

エコキュート (3) 「外気温とタンク湯温設定による省エネ性能低下」

この記事は注文住宅を建てるにあたって調べた情報をMemo的に書いているものです。


エコキュートに関してはコロナ、ダイキン、パナソニック、日立等の各社から製品が出ており、様々な性能や機能の違いがあります。
このページでは特定の機種について述べるのではなく、給湯に必要なエネルギーが外気温やタンク湯温設定にどの程度影響されるかを述べます。
このページで言うタンク湯温設定はエコキュート内のタンクの湯温であり、実際にキッチンの蛇口やシャワー、浴槽への給湯温度のことではありません。



パラメータ

タンク湯温設定

前述の通り、このページで言う湯温設定はエコキュート内のタンクの湯温のことを示しています。キッチンの蛇口やシャワー、浴槽への給湯温度のことではありません。
タンク内の湯温を高くしようとするとヒートポンプの効率が下がり、給湯エネルギー消費が増加します

但し、給湯可能な湯量は (タンク内の湯量 × タンク内の湯温) になりますので利用可能な湯量を最大まで増やしたい場合はタンク内の湯温を高めておく必要があります。


外気温

エコキュートはヒートポンプによってタンク内の水を沸き上げるため、外気温が給湯効率に影響します。ヒートポンプの最大理想変換効率は「(TH+273.15)/(TH-TL) 」で算出ができるため、こちらの計算式を元に試算したいと思います。TH=タンク内湯温、TL=外気温です。
厳密には設備の効率も影響しますが、今回は絶対的な変換効率ではなく、パラメータ差異による変換効率だけを知りたいため、無視するものとします。
試算上はタンク内湯温の設定幅を65~90℃、外気温を0~40℃とします。実際に外気温が0℃近くまで下がると室外機のデフロスト動作が始まってしまい、著しく効率が悪化すると予想されますが、こちらも今回は無視して試算します。
あくまで最大理想効率ではありますが、以下のグラフのように外気温が上昇すると湯温との差が小さくなるため理想効率も上がることがわかりました。

夜間と昼間の外気温差を10℃とおいて、夏期と冬期で効率を比較したものが以下のグラフになります。外気温の高い日中に沸きあげるほうがより給湯エネルギー効率の改善に繋がることが分かります。特に冬期については今回の試算には含まれていないデフロストによる影響も考えると、なおさら日中に沸きあげたいところです。



各社製品での実現方式

コロナと日立のエコキュートはタンク内の湯温をマニュアルで設定することができません。運転モードや沸きあげる湯量の設定を変更することで、タンク内の湯量と湯温の双方を間接的に変更することができます。

日立

日立の場合は通常時の沸き上げ湯量と湯温をマニュアル設定することができません。沸き上げ設定のモードを切り替えることで間接的な実現が期待されますが、いずれも直近の使用量をベースに調整されてしまうので、意図通りに調整できるわけではありません。
但し、手動で行う「タンク沸き増し」に関しては利用可能な湯量をメモリで設定可能なため、こちらを調整することで湯量・湯温を実質的に調整可能です

CHP-37AY5 取扱説明書 より


コロナ

コロナの場合は運転モードを停止させ、利用可能な湯量をマニュアルで設定できるため、こちらを調整することで湯量・湯温が実質的に調整可能です。
但し、手動で行う「タンク沸き増し」は日立のものと異なり、沸き増し時間でしか指定できないため、任意の湯量とすることは非常に難しそうです。

CHP-37AY5 取扱説明書 より



結論

外気温が高ければ高いほど給湯に必要なエネルギーが削減され、効率的になります。太陽光発電がなくても基本的には昼間に沸きあげる方がコスパが良さそうです。(昼間・夜間の電気代の差額によります)

タンク内の湯量・湯温をモニタリングする方法がないことに加えて、マニュアルでこれらのパラメータを調整することは難しそうです。

次は保温で失われるエネルギーを計算してみたいと思います。


Unsplashadrian korpalが撮影した写真


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?