15.手書き勉強法(心理) ~フェーズ3:事例問題への対応~

<以下架空の事例を読み、解答しなさい>

問1:あなたは教育機関に勤める心理専門職です。相談窓口に訪れた母親Aは、息子Bの学校生活上のトラブルに関して助言を求めて来談しました。Bは家庭では良い子なのに、学校では他児を叩くというトラブルをいつも起こしており、そんなBの様子が学校からAに報告されるたび、AはBに厳しくしかっているが一向に直らないようです・・・以下略) 上記の内容をもとにあなたはどのように関わっていくか、根拠を示しながら具体的に説明しなさい。

問2:あなたはEAP機関で働く心理専門職です。X株式会社で働くA(25歳)が、今年度の中頃から毎朝の憂鬱感や疲労感から遅刻・欠勤しがちであり、課内の業務に影響が生じているという主訴で上司Bが来談してきました。Aは入社当時まじめであり、Bは最近のAの変わりように関して「気合が抜けてる」とこぼした・・・以下略)) 上記の内容をもとにあなたはどのように関わっていくか、根拠を示しながら具体的に説明しなさい。



<模範解答>

ないです。

ほんと困りますよね。
依拠する理論や学派によっていろんなことが言えますもん。
中には「精神分析理論か行動理論に基づいて答えよ」といったサービスバージョンがあるときもありましたが、
多くの場合は「あなたならどーする?」という投げかけのものになります。

なので、私の場合は
・どの理論的立場でも不適切ではない
・倫理的配慮がなされている(個人情報保護とか、治療契約とか)
・ラポール、傾聴、受容、リファー、心理教育といった多くの状況において適用可能な対応(安易な意味ではありません)
・心理専門業務として踏むべき手続き
を使っていきました。

誤った知識で特定の学派を否定するような内容は書かないよう注意しました。
(例:精神分析はエビデンスが欠如している/行動療法は対症療法的なので再発する…etc ←むしろこんなん書くほうがエビデンス欠如&対症療法的だけど笑。
正しい知識でも採点者から見たらどう思うか考えるとなかなか書けない表現もありますね・・。)

その結果解答は、
・すごくベーシックな内容だけど
・心理専門用語を正しく使い
・根拠をしっかり示しつつ
・適切な日本語
で論述していきました。

自分の言葉で根拠を示しながら文章構成するには、
やはりこれまで勉強してきた基礎心理学と臨床心理学の知識を総動員させる必要がありました。

だから、過去問の事例問題を見て「さっぱり解ける気がしない」「出だし一文字から思いつかない」「根拠が抜けてる」となってしまう場合、
知識量が不足しているか文章構成力が不足しているとセルフアセスメントできるでしょう。

そうなれば、知識を増やすか文章構成力を養うかしかありません。
その両方を同時に訓練できるのが、これまで書いてきた手書き勉強法だと思っています。

実際私も初めて事例問題を見たときはさっぱりわかりませんでしたが、繰り返し繰り返し、飽きるほど売るほど手書き勉強を行うと、最終的には自分の言葉で文章を綴ることができるようになりました。

とはいえ、事例問題へ対応するためには実際の事例を見たほうが良いです。
大学生では自身で事例を持つことや現場を見ることはできません。
しかし、書籍はたくさんあります。

私が使った事例問題対策用の書籍を参考に書き残しておきます。
・KALS青(→事例問題と解説、解答例ついてるけど少ない!私が受けた院試ではKALSで取り扱ってない産業領域とかバンバン出たからこれだけでは対応不可でした。)
・精神療法 増刊 第6号
・事例で学ぶ臨床心理アセスメント入門
・心理療法の見立てと介入をつなぐ工夫
・事例で学ぶアセスメントとマネジメント
・学生相談と心理臨床 (心理臨床の実際)
・100のワークで学ぶ カウンセリングの見立てと方針
・Q&Aで学ぶ 心理療法の考え方・進め方
・Q&Aで学ぶ 遊戯療法と親面接の考え方・進め方

あと、これは単なる私の所感というか癖ですが、
一貫した論を書き上げた最後の一文で、
「しかしながらこのような対応を十分行うためには、〇〇という配慮が心理職に求められることを忘れてはならない」みたいなノリで
反省?留意点?みたいな一言を入れておくことが個人的に多い(好き?)です。
べらべらと偉そうな論述を書いた場合は特に入れてるかな・・?クッション化してるのかもしれません。これが良いのか悪いのかは全然わかりませんw

もう一点、
「根拠を示す」←これ大事です。
私も添削依頼時にかなり注意を受けました。
それまで自分では根拠を書いてるつもりだけど
客観的にみると全く根拠になっていないということも
このとき初めて気づきました。
論述添削は一度でも良いので友人や家族、知人、SNS、予備校などで受けてみると良いと思います。
私はSNSの知人と、現役の心理師(有料カウンセリング内)に自分が書いた論述を見て頂きました。

エビデンスベイスド・アプローチが注目される中、
たかが論述問題と言えども根拠なく、自分の思いつきでクライエントに対応する人は危険視されるかもしれませんね。。。

今回で手書き勉強編は以上です。
次回はまた別のこと、何か良いネタ思いついたら更新します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?