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【イベントレポート】box、Slack、Adobeの事例から学ぶ、グローバル・カスタマーサクセス~

こちらのイベントに参加してきたので勢いでレポートを書きました!
https://techplay.jp/event/719295

※内容が盛りだくさん上手くまとまり切らずでした...🙏

事例セッション(1):Box Japanが目指すカスタマーサクセス

株式会社Box Japan
カスタマーサクセス部 マネージャー 西田 幸弘さん

なぜBoxにCSが必要か?
「Blow out customer’s minds.」顧客を感動させることが役割。
顧客、市場、製品は進化する。進化する中でoutcomeが求められる。
そのためにCSが重要な役割を担っている。

CSMをどのように提供しているか?
金額の契約規模でTier分けして対応している(T1~T4)


・T1は10件/人 程度のクライアント
・T2は50件/人 程度のクライアント
・T3については1000件/人 程度。ただし活用ヘルプやリスクのフォローがメイン。
・T4は全てオートメーション化して対応

CSMが追うKPIは以下の2つ。
・Gross Retention Rate(既存顧客の契約更改率)
・Deployment/Active(ライセンス配布/利用率)

基本的にはパートナーと進める(代理店経由)ため
クライアントが「どこの誰に何を聞けば良いかわかならい状態」に陥った。
そこで日本独自の「パートナーCSM制度」を開始。

「パートナーCSM制度」の内容
以下3点のトレーニングでCSMの基礎とノウハウを提供する仕組み。

・On-Boarding(0-3ヶ月)
・Adopt(3-6ヶ月)
・Optimize/Expand(7ヶ月)

例1(CSMとゴールの定義)

例2(利用率レビューの実施方法)

例3(リスクマネジメント)

これだけ手厚いトレーニング組めるのがすごい。CS新入社員の社内オンボーディングにも応用が効きそう。
日々の業務でもリスク検知は属人化しがちだと感じているので、具体策についてもう少し聞いて見たかったです。。😭😭


クイズ:どっちがHealthy Customerでしょう?

自分も含め、会場内のほとんどが「B」を選択しました。
理由は ライセンス配布もできており、「28日以内の利用者数」も高いから。

80/50(Deployment / Active = ライセンス配布/利用率)を指標の1つにしている
Deployment:ライセンスのうち80%くらいを配布できているか
Active:28日以内に50%以上の人が使っているか

正解:Bが正解です(でも。。。)

Aのクライアント:
機密情報に誰がいつアクセスしたいのか管理したい。
→頻繁にアクセスするものではないので利用者数が低くて当然

Bのクライアント:
機密データからカタログまで、全てのデータをBoxで管理。
→日常的に利用するので利用者数が多くて当然

本当の正解:
導入の目的、利用用途を把握できていない状態でグラフのみでHealthyかどうかを判断はできない。顧客の利用目的や導入の背景を理解した上での分析が必要。

グローバルとどうやって連携するか?
Visionのupdateや施策の変化に対応し続けることが重要。
最終的には顧客が結果(outcome)を出しているしてるかどうか。
カスタマーサクセスの面白いところは顧客個人のサクセスにも貢献できるところ!

・目的を達成することによる成功
・顧客個人のキャリアとしての成功
・カスタマーサクセス担当者としての成功

<ざっくりまとめ>
Boxさんのお話はHealthyCustomerのクイズ含め、共感できるポイントが多かったです。パートナーCSMトレーニングの内容はジュニア/シニア問わず
社内向けCSメンバーのオンボーディングに活用できそうなのでチームでシェアして見ようと思います。


事例セッション(2):Customer Success @ slack

Slack Japan株式会社
Manager, Japan Customer Success ハルバーソン レイさん
Lead Engagement Manager, Customer Success 石動 裕康さん

Slackのミッション

人々のビジネスライフをよりシンプルにより快適により有意義にする

顧客は習熟度に応じて支援する

顧客ごとに利用用途、目的が異なる(情報の透明化、生産性をあげたい、etc..)初めは「Organic」レベルからスタートし、徐々に活用できるようになってくる。

SlackのCutomer Successチーム構成。全社で追うKPIは「ARR」。

Salesの中にCSチームが含まれており、CSMの中にテクニカルチームが在籍(テクニカルな質問の対応)。GTM(go to market)はpresalesからCSMが横にいる状態を作ってクライアント要望や目的によって適切な人間をアサインする。
CS、営業含め全員がARRを目標に持つので「売り逃げ」はできない仕組み。(売ったクライアントには活用してもらう)

ローンチ、GA(General Availability)の定義

以下の3つが揃って初めて「利用できる状態(ローンチ)」と定義する。

Technical Readiness:Slackの設定が終わってるか?ユーザーのプロビジョニング終わってるか?
Operational Readiness:チャンネル作成プロセス、申請プロセスの定義はできているか?
User Readiness:エンドユーザーがもう利用できる状態か?ユーザーに利用開始時期をアナウンスができているか?(最も重視しているポイント)

SlackのCSが導入時に必ず抑えるべき4つのポイント-THE BIG FOUR-

・目的とKPI(何のためにslackを使うのか)
・アンバサダー(活用を促進するメンバー)
・ユースケース(誰もが使えるユースケースが最低でも2~3個は必要)
・役割の提示(XXの時はメール、OOの場合はslack等)

Slackの価値を引き出すために大切にしていること

Maturity Scoreは同規模の顧客と比較して、顧客に公開することで活用促進を促す。
懇親会で石動さんにお話お伺いしたのですが、
スコアが低い時は「もっと活用しましょう」、スコア高い時は「あとちょっとでここまでいけるから頑張りましょう!」といったようなコミュニケーションをとるそうです。
※ちなみにこのスコアが定義されたのはごく最近で、データサイエンティストの方が過去のデータを洗い出す中で傾向を見つけたそうです。

Slackアンバサダープログラム

レイさん:
今はトレーニングビデオや資料なんて見ない。
隣にいるチームメンバーに「どうやってやるの?教えて〜🙏あ、わかったありがとう👍」くらいのスピード感で自分で学びながら習得していく。
それを利用したのが「アンバサダープログラム」。

一般的なITトレーニングは、下のような形式になりがちで
「自分へのメリット」や「仕事でどのように活用できるか」が明確になりずらい。

アンバサダープログラムは全部署から複数人の「アンバサダー」を選出。
トレーニングはアンバサダーに向けて集中的に行うことで、機能の把握だけでなく「仕事にどのように活用できるか」がイメージできた状態で利用することができ、アンバサダーからチームメンバーの波及する。(下図)

Slackの「これから頑張るところ」
-ニーズに答え続ける体制
-プリセールスでの期待値コントロール
-良い人材の採用
-営業とのアライメント・教育
-カルチャーの維持

<ざっくりまとめ>
顧客のスコアリングや導入までのポイントがはっきり定義されていてめちゃくちゃわかり易かったです。Maturity ScoreやUser Sentimentのような指標を置くことやアンバサダープログラムで上手にクライアントのモチベーションを引き出しているところが素敵。


事例セッション(3):Adobeのカスタマーサクセスモデルと取り組み

アドビシステムズ株式会社
カスタマーサクセスマネジメント本部 本部長 小栗 順平さん

AdobeのCSMの担当領域とやっていること
担当領域は「Adobe Experience Cloud」
・マルチソリューションを扱う必要性がある
・エンタープライズで規模感が大きい

また、プロダクトのカスタマイズ領域が広いのが特徴で、オンボーディングが長期間にわたるプロジェクトもあるとのこと。

さらに、クライアントはマーケ部門とIT部門をどちらもフォローする必要があるため、Adobe Experience CloudのCSMは複雑性が極めて高い職種になっているとのことでした。

CSMモデルについて
CSMモデルの理解について以下を参考にCS分類を説明してくれました。
AdobeのCSMは「パートナーシップ型」だそうです。

パートナーシップ型CSMは顧客とのリレーション構築に必要なスキルが多く、以下の2つが重要になるそうです。

・年間プログラムを実行していく計画力
・社内外で関係各所を動かすコミュニケーション力 

引用:チャーンを防止するカスタマーサクセスマネジメント
https://www.forentrepreneurs.com/ja/customer-success/

組織体制

規模感に応じたTier分けと顧客傾向・契約製品傾向によってグループ分けをして対応しているそうです。
インダストリーグループで分けて傾向を分析するとグループごとの傾向が見えてアップセル予測/チャーン予測ができたりするのか?と思いましたがそこまではわからず。これはチームに持ち帰ってグループごとに傾向が出せないかどうかチャレンジしてみようと思います。

大事にしていること

CSM Engagement Roadmapにそって、顧客の成熟度を測ったり、クォーターに1回 Business Reviewを実施するようにしている。

ロードマップにそってフォローし、顧客のステータは6つの指標を見ながら定量・定性の両方で判定する。

Account Planについて
次の契約更新までに達成すべきゴールやタイムライン、各メンバーの役割を定義し、プランを策定する。

KPIを設定できていない顧客もよくいるので、伴走して事業プランも作成していく動きが必要。
契約更新になった場合は以下のように年間プランを作成し、アクションとマイルストーンに落とし込む。

ここまで深く入り込んで伴走してくれるCSMがいると顧客はかなり心強いのでは、、と関心しました。

<ざっくりまとめ>
正直AdobeさんのCSMは自分にとっては専門性、複雑性が高すぎる印象で、まだ自分のスキルではまだ理解が追いつかない点も多々ありました。。🙇‍♂️
が、かなりカスタマーフォーカスなCSMなので、ここまでできる力があればプレイヤーとしては(今の自分から見れば)完璧だと思います。

まとめ

Boxさん、Slackさんは、今の自分のCSチームに近しい感じがして参考になりましたが、共通して言えるのは 3社とも「CSMが大事にしているポイント」がはっきりしていて判断基準が明確になっていることです。
また イベント後に気づいたことですが、今回はほとんどchurnの話が出ませんでした。「いかにchurnさせないか」よりも「いかに成功してもらうか」にフォーカスして考えることも重要な視点なのかもしれません。

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