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5Gと先行者利益とリスクヘッジ

今、IT関連のメディアでトップページに5Gの文字が見当たらない日はほぼ無いのではないでしょうか?

5G(第5世代携帯電話システム)はすっかりここ最近のモバイル分野の話題をさらっています。SamsungとHUAWEIの2社は、2月に開催されたMWC19の直前に、折りたたみスマートフォンを発表しました。そのどちらも5Gに対応しています。

そしてMWC19では華々しく5G通信システム対応の機器が発表されました。

5G時代スタートを実感させたMWC19 Barcelona
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/mobile_catchup/1174265.html

残念ながら日本の通信業界は5Gの最先端の波に乗り遅れてしまいました。しかし、記事中で筆者が書かれているように、3Gや4Gで日本が最先端にいたためにかえってフォロワーである他国でのスムーズな展開を日本のメーカーやキャリアが出来なかったという面がありますので、5Gに関しては他国での先行展開を見極めた上で、何が必要か、どんな点に注意がいるかを見ながら普及させるのも良い手だと思います。まあ、3大キャリアが高すぎる通信料に対して、アンテナや最新技術などのインフラ整備に必要だという言い訳してたのが通らなくなりますが。

以前投稿した
わざと、鈍く
https://note.mu/hrsgmb/n/n1af637553c8d

にも書きましたが、最先端をひたすら突っ走るのも大変です。また、先行者利益が見込まれる一方でリスクもあります。先日のボーイング社の最新旅客機であるボーイング737MAX型機の墜落事故は、「最新=最も安全」ということとは限らないことを図らずも証明してしまっています(くだんの墜落事故については現時点では原因は分かっていません)。

そもそもIT業界で本当に先行者利益というのは存在するのでしょうか?
検索システムでいえば、Yahoo!やinfoseekなどがありましたがGoogleが完全に駆逐しました。SNSですと日本のmixiやアメリカのMySpaceはFacebookに叩きのめされました。そもそも、その前に日本の携帯業界ではiモード(それに類するauのezwebなど)が標準になっていましたが、AppleのiOSアプリとGoogleのAndroidによって、フィーチャーフォンからスマートフォンに大きく転換されました。日本がなかなかキャッシュレス社会に移行できないのも過去に整備された銀行システムの出来が良かったからです。ATMがあらゆる場所に整備され、現金をほぼいつでもほぼどこでも引き出せる便利なシステムを構築しましたが、それが故にキャッシュレス社会への移行を阻むほど、簡単便利に現金を使える世の中になっているためです。同じくインフラレベルで言うと、電話回線も日本は固定回線が日本中に張り巡らされています。一方発展途上国では電話線を国中に整備するのは非常に大変ですが携帯電話の端末と設備が既に先進国で実用化されて安くなっているため、国中を結ぶ携帯電話網を構築して固定回線は光回線も含めて、都心部の一部のみで充分です。

こうしてみると、ITに関しては最先端を追う国々で生き残ったのを後から追う国が取り入るのが、もっとも少ないリスクで最先端に近い技術を享受できそうです。そして日本は実用面では二番手グループになりつつも、その部品レベルでBtoBの供給を一番手グループに行う、という戦略が良いのかも知れません。

話は戻りますが、5Gがもたらす変革のうち、5Gでないと出来ないものはどれくらいあるのでしょうか? いろいろな面で社会が変わる! と大見得を切るような宣伝が多いのですが、高速化されたWi-Fiでもいいような内容も多いような気がします。なぜ、5Gよりも安定していそうなWi-Fiではダメなんでしょうか。

5Gはこれまでのモバイル通信よりも遙かに高速化できますが、様々なシステム特にIoTでは通信の安定性の方が最高速よりも重要なはずです。途切れたらデータの連続性も信用性も無くなるはずです。
5Gによって速度も安定性も増すのかも知れませんが、そもそもその5Gシステムに重大な障害が発生したときに、5Gでしか通信できない体系だと何も動かなくなるのではないでしょうか。Wi-Fiにオフロードする仕組みが備わっていれば、5G通信のみに障害が出ているが有線通信は大丈夫な場合、そのシステムは稼働し続けます。

Wi-Fiと5Gを一緒に、さらに可能ならばBluetoothも含めて複数の通信システムをシームレスに統合して、何があろうとも途切れずに通信し続けることができるシステムが一番理想なのではないでしょうか。

そしてそのようなシステムは最先端を追わなくても、既存技術を組合せで出来るはずです。アメリカや中国のように5Gで先行している国を出し抜くチャンスでもあると思います。


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