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紛失防止タグの在り方〜弱い力の強さ〜

 昨年から紛失防止タグというものを使用しています。これまでの人生の中で、財布や鍵をなくしてしまったことはないのですが、出かけるときに持たずに出たりすることはたまにありました。それを防止するためでもありますし、紛失や盗難にあったときにすぐに気付くように、と思って買いました。
 幸いこれまでのところ、紛失防止機能があって良かった、と思うような事態には至っていませんが、やはりあると安心できます。

 そしてこの紛失防止タグは仕組み的にはそれほどややこしくなく、登録したスマホとそのタグの間ではBluetoothで通信して、通信できなくなったら紛失したとして音や通知で知らせる、というものです。最近のBluetoothは4.0あたりから低電力で動作できるようになりましたので、こういった商品が出てくることが可能になったのでしょう。

 紛失防止タグは現在多くの種類が出ていますが、おそらくほぼどの商品・メーカーも、新商品あるいは上位商品として、電波が遠くまでつながることをウリにしているようです。しかし、そもそも電波強度が強いことは紛失防止タグとして別にメリットにはならず、逆にデメリットになるのではないか、という気がします。紛失したときに早く気付くことが出来る方がいいはずです。電波が遠くまでつながるのであればむしろ紛失や盗難に気付くのが遅れますから、かえって本来の目的から遠くなっているのではないでしょうか?

 有名な話ですが、アメリカの化学メーカー3Mの研究員が、強力な接着剤を作ろうとして試行錯誤していたら、非常に弱い力の接着剤が出来てしまい、それがのちにポストイットという付箋になり世界中で使用されるようになりました。弱い接着剤という、本来の目的からすれば強い方が良いに決まっているものでも、弱い方が役に立つこともある、という良い例だと思います。紛失防止タグも理屈としては近いのではないでしょうか。

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