見出し画像

人気のある首相の条件

戦後日本の進む道を作った吉田茂は偉大な首相であったと言えますが、当時国民に人気があった首相ではありませんでした。よく言われるバカヤロー解散や、カメラマンに水をぶっかけたエピソードなど、あまり庶民に親しまれるような首相はありませんでした。

吉田茂は自由民権運動の壮士だった竹内綱の元に生まれましたが、後に父が逮捕されたりした後に吉田家に養子になりますが養父が若くして亡くなり、養母に育てられました。いくつもの学校を渡り歩いて最終的には東京帝大から外務省に入りました。その後は外交官として長く勤めるも、戦時中の終戦活動によって憲兵に捕まったりしています。

生い立ちやその後の人生も立志伝中の人のような感じですが、貴族趣味もあり庶民に親しまれる存在ではありませんでした。

その吉田茂の政敵でもあった鳩山一郎は父が政治家であり父の死後すぐに補欠選挙で当選するようなまさに生まれながらの政治家のような人でした。しかし首相就任直前に公職追放になったり、その後の吉田との政争があったり、涙もろかったり、脳溢血で倒れ半身不随になりながらも首相になったことで同情を引きました。

政治家としての政治における功績を比べるつもりはありませんが、同時代的な国民人気は吉田より鳩山の方が上でした。

また、93年に政権交代が起こったときに首相に就いた細川護熙はいうまでもなく熊本藩主細川家の直系であり、近衛文麿の孫でもある血胤の良さがありました。首相就任時にそういった育ちを毛嫌いされることはなく「お殿様」とも呼ばれ親しまれました。

その直前の首相だった宮沢喜一は成績優秀で東京帝大から大蔵省に入り、後に政界入りして91年に首相に就任します。しかし頭の良さから他人を見下すような印象を与える人柄もあり、人気があるタイプではありませんでした。

そもそも総理大臣として国民人気があった人の方が圧倒的に少ない気がしますが、それでもたまにそういう首相は出てきます。もちろん、人気があるからといって首相として有能かどうかは別の話ですし、そもそもそういう人気は何年も続くわけではありません。人気のあるうちに何か一つでも大きなことを成し遂げた後は、さっと辞めてしまった方が晩節を汚さず、当人にとっても周りにとってもいいんじゃないでしょうかね。病のこともあったと思いますが、日ソ国交回復を実現させて退いた鳩山一郎が良い例でしょうね。

さて、現在の安倍首相に関してはどうでしょうか?

人気があるかどうか、何か大きなことを成し遂げたか、さっと辞めたほうがいいか、といったことを議論し始めると大炎上しそうなのでやめておきますが、長期政権の出口を考え始めないといけない時期には差し掛かっているでしょうね。自民党総裁の任期は2021年までですが、来年の東京五輪の後はレームダック化するかも知れないですし、だからといって四選となると流石に党内の反対が大きくなるでしょう。五輪の後に電撃的に退陣表明してしまった方が一番混乱なく引き継げそうな気がしますが
どうなるでしょうね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?