勝ちたい、出たい!の思いが障害を引き起こす…
私も少年時代このような思いで野球をやっていました。
あと少しで高校野球の予選も始まりますね。
今回は医師より日米との投球障害の違い、成長期の投球障害について調べて欲しいと依頼があったので理学療法士の目線で皆さんにもお伝えしたいと思います。
投球障害とは?
投球動作を行うことで生じる肩・肘関節の障害を総じて投球障害という。
投球障害の原因は、一般的には投げ過ぎによるものとみられることが多い。しかし実際は肩・肘を含む身体全体の問題(体の硬さ・力が弱いなど)や投球フォームが原因である場合がほとんどでこれら3つの原因が重なって投球障害を生じる。
また野球選手の肩・肘の障害は,成長期の野球選手において多く発生する。
投球制限について
日本では以下のような提言をされている。
①小学生では1日50球、週200球以内までの投球
②中学生では1日70球、週300球以内までの投球
③高校生では1日100球、週500球以内までの投球
が障害を引き起こさない基準としている。
これは野球(軟式・硬式)実態調査報告等からアンケート形式でまとめられたものである。
さらにアメリカでの規定は異なる。MLB Pich Smartより以下のような規定を設けている。
上記の表よりアメリカでは何日間、肩を休ませたかで投球数が異なっている。
日本では週4日以上規定の投球を毎日行うと障害が生じると報告している。
近年では日本人がアメリカへ移籍する際や移籍して怪我した際に、日本で投球過多だったために故障が起こった!と報道されているのをよく目にする。
甲子園では毎年投球数について問題となっている。
特に最近では2018年夏の金足農業の吉田投手(現日本ハムファイターズ)の投球過多について議論となった。
決勝までの全6試合に登板。決勝以外は1人で投げ切り、
総投球数は881球に及んだ。
吉田投手が2回戦から1週間で投じたのは、592球。
2―1で競り勝った準決勝の途中で500球に届いてしまう。
もし1週間500球までとの規定があれば準決勝で降板せざるをえない。
その一方で2019年の夏、岩手県大会決勝で投げずに敗退した佐々木郎希投手(現千葉ロッテマリーンズ)。
監督の國保監督はアメリカの独立リーグで選手経験があり、野球を精神論や根性論ではなく科学として捉えることができる指導者である。
”次の試合で投げると潰れる可能性がある”
これを決断した監督、選手、そして周りの理解ある選手たち、それが揃ってやっとこのような決断になるのだから
現場は早々に科学をもっと深めていく必要性がある。
まだ投球数に対するエビデンスがなく、実際のところは不透明な部分が多数ある。そして科学的な部分はまだ証明されていない。
しかし
2019年11月より1人の投手の投球数が1週間で500球達した場合、それ以上投げることを認めないことを高野連が決定した。
これに関しては賛否両論である。
今後どのようになっていくか、これが正解だったのか注目したい。
そうなると球数制限だけでなく、投球後の機能障害について
着目するのはどうだろうか。
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