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002:精油って何ですか?

精油ってなんですか?と聞かれたら、あなたはどう答えますか?
なんだったかなぁ?なんかそれっぽくAEAJさんの教科書に書いてあったような。
そして、うちの店は全員検定合格者なんで!っていうようなお店で「頭痛なら、ペパーミントですね!はい!」と手渡されたトラウマが(笑)

精油って何ですかと聞かれたら、私は、「商品名かな?」と、答えるかもしれません。(笑)
ご存知の方も多いと思いますが、私たちが日本語で「精油」と呼んでいるものは、必ずしも「エッセンシャルオイル」ではありません。
フランス語やドイツ語の文献は、英語か日本語に訳さないと読めないので、真意が掴めているか、自信がありませんが、英語では、植物の生体内にあるオイルを、揮発性オイル(芳香成分)と、不揮発性オイル(植物油)として解説しています。
その芳香を放つ植物を蒸留すると、水溶性芳香成分を含んだ水(芳香蒸留水)と、疎水性なので水と分離して浮かんでいる揮発性の有機化合物(芳香成分)を分留することができます。
一昔前までは、水の上に浮く不純物として捨てられていましたが、蒸留技術の向上により収油率も向上すると、水と分離した部分を「エッセンシャルオイル」と呼び、これこそが「本質」と考えられるようになったわけです。

私も勉強を始めた頃は、文献の出どころや真偽が分からず、自分の言葉で講義ができるようになるには時間がかかりましたが、本で読んだ。本に書いてあった。ではなく、ガットフォセの娘さんだったか、お孫さんだったか(ちょっとその時テンパりすぎてて、古い記憶で定かでなくなりましたが)とか、ロバートティスランド先生とか、お会いできる方にはお会いし、書籍による歴史探訪ではなく、ご本人の思い出話から真実として受け止めてきました。
有名なガットフォセの火傷にラベンダーの話も、真実と都市伝説は違いますよね。

所属するIFAでも、2020年の35周年の節目には、立ち上げメンバーのひとりで、いまもIFAをまとめてくださっているジャーメインリッチさんから、創設時の頃の話を動画で聞くこともできました。その当時にニュースレターとして、発表できたことがペラ1枚だったが、今では様々な角度で研究がなされて、年4回56ページ(広告も含むが)にもなる冊子が作られるほど、各分野にアロマテラピーが広がっています。
どうやら、アロマテラピーには、有益性がありそうだ。というところから、伝統的な使われ方、実際に成分分析した結果、臨床実験と結果、化学式による検証、実験方法も難しいですが、少しづつ論文も書かれるようになってきました。
しかし、論文に書かれている「精油」が、正しく「エッセンシャルオイル」であったかも、よく分からない論文も散見されます。
書いたご本人も、その後も研究を続けられ、いまはこう考えている。なんてこともザラというほど、この35年の中で、特に「嗅覚」の重要性の見直しもあり、研究結果が論じられるようになってきました。
ちなみに、これもご承知かと思いますが「論文」とは、正解ではなく、「知の格闘技」です。発表される前に査読は受けるはずですが、その論が引用され、検証され「確らしさ」を積み重ねていくものであり、1人の人の論文で「真実」と、鵜呑みするものでもありません。
より多くの人に理論が支持されて、初めて常識化していくのです。

横道にそれましたが、そんな論文で論じられていても「アロマテラピー」は、その人体へ働きかけるメカニズムから、個体差が激しく、N値の小さな症例で全てを語ることもできないものと思います。
だからこそ、ひとりひとりが真摯に「精油」と向き合う必要があるのだと思います。
また「精油」が多種多様な成分を含む為、薬理学的に精油1に対して作用1と紐づけられない点も研究を困難にしています。単離成分の作用の研究はなされても、それが精油Aのもつひとつでしかない点もまた「精油」の薬理作用の研究の困難さと医療への導入の難しさがあると思います。

ところで、「精油」=「エッセンシャルオイル」ではないと、では他には何が?と思われるでしょうか?
私は、「精油」についての基礎知識として入門者さんにお話しする時に、この一覧表をお見せして説明しています。

どれを「精油」と呼んでいるのか?

柑橘系の果皮から採取する「精油」の基本は圧搾法ですので「ジュース」と区別されていたのですが、書籍によっては「エッセンス」と呼んでいることもあり、昔々、まだまだ体系的な学問になっておらず、混沌としていた様子も伺えます。
そのような理由から「精油」と総称されるようになったのかもしれないですね。
柑橘類の果皮から蒸留で採取した「エッセンシャルオイル」も市場には存在しております。圧搾方とは抽出される成分が変わります。どちらが「いい」「わるい」ではなく、目的の成分が含まれるかどうかの確認が必要です。

私は、入門、初心者の方には、出来るだけオーガニックかワイルド(野生種)の「エッセンシャルオイル」の使用をお勧めします。それも、比較的安全に利用できる精油からご紹介しています。
中級者の方には、植物の体内で生成される「揮発性有機化合物」と「油脂」の区別から、抽出方法によって得られる成分の違いを知っていただけるようにお話しさせていただいています。
上級者の方とは、一緒に研究したいです。どうぞよろしくお願いします。

フォロー&いいね、コメントなどで応援してくだれば、気が向いて、仕事と研究の合間に、研究成果を書いていくと思います。
ただ、ヒトミシリーなので、気軽にお返事はできないかもしれません。
あらかじめご了承ください。

ご支援ありがとうございます。いただいたご支援は精油の購入や「アロマケア」の臨床研究費としてありがたく頂戴して、研究成果を発表していけるように頑張ります。今後ともよろしくお願いします。