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2021年の「幸福の科学」を振り返って 〜「信仰心ない奴は早く死ね!」〜

本記事は、前回「2021年を振り返って」の続編ですが、内容は連続していません。今回は、前回紹介しきれなかった2021年のニュースをまとめます。一部2020年末の話題もありますが、「ここ約一年の大川の傾向をまとめた」という本記事の趣旨を汲み取り、大目に見ていただければ幸いです。

<前編はこちら↓>


大川隆法、ご乱心

元々奇妙な行動が目立つ大川隆法・幸福の科学総裁ですが、特に2020年のコロナ禍以降は「ご乱心」の様子で、ますます奇行や問題発言が増えています。コロナウイルスに関する危うさもそうなのですが、それ以外の面でも普段通りではなく、様子がかなり変です。

具体例はいくつもありますが、今回は4つ示します。

①赤鬼の霊言

まず、2020年12月に「草津赤鬼 コロナウィルス撃退説法」という霊言が公開されました。霊言とは、大川隆法の肉体に乗り移った霊が語るという、一種の口寄せのようなものです。
草津赤鬼は”地獄の執行官”とされており、地獄に落ちてきた人間を「鉄棒で頭叩き潰す」のが仕事だといいます

この約30分の霊言で、赤鬼(霊)はおもちゃの金棒を振り回しながら、酔っ払った中年男性のようなハイテンションで、関西弁を交えてまくし立てていました。普段の大川総裁(霊言収録中含む)とはちょっと様子が違う印象でした。一部抜粋します。

草津赤鬼(霊)「なんちゅうんだ紫央さん、あの飲むやつは…今なんて言うんだあれ。え、あ、ワクチン?あんなもんインチキや。ほとんど効きへんねん。あんなもん、ワクチンなんて死んだもんや。ほとんど死んだもんなんや。やからあ、唯物論や。ただの唯物論対唯物論や。だから、あのーもう霊は信じんけどウイルスは信じるっていう(息を溜めてから、語気強く)馬鹿ども、いっぱいおるから。
(おどけて)霊界信ジテナイアノ世モ信ジテナイ、天国地獄モ信ジテナイ、ウイルスダケハ信ジテル。バカかっちゅうねん、ねえ。霊も信じてないならウイルスも信じるな、そんなもの。んなもん、ないと思えばないんだ

霊界と違って、新型コロナウイルスは存在が科学的に確認されています。新型コロナのワクチンは「飲むやつ」ではなく注射ですし、幸福の科学の「中国発・新型コロナウイルス感染撃退祈願」と違って、やはり科学的に効果があると実証されています。更に、ワクチンを「死んだもん」と語っていますが、旧来の不活化ワクチンと新型コロナ用のワクチン(mRNAワクチン)の区別もついていないのでしょうか。眉を吊り上げ、すごい形相で放った「バカかっちゅうねん」と言う渾身のブーメラン、大当たりです。

群馬県出身と思われる草津赤鬼は、霊言冒頭で「なんで東京で(霊言を)やらないかんかよく分からんけども」と前置きしていましたが、やがて「効きへんねん」などと関西弁でまくし立て始めます。あと、別の箇所で「毘盧遮那隆法」という聞いたことのない意味不明なワードも飛び出しました。もう色々メチャクチャです。

「早く死ね!」

しかし、これらを軽々と越える、もっとも酷い発言はこれです。草津赤鬼(霊)は「信仰心ない奴から死ね」などと言い放ち、「信仰心のないやつ」「悪いやつ」はコロナウイルスに感染して死亡しても構わないとしました。

草津赤鬼(霊)「信仰心のない奴の方にうつれって。信仰心のあるものに移すなかれ。信仰心のない奴んとこにうつせぇぇぇ!ちゅうて。信仰心のない奴が死ぬのはしょうがない。死んだらええねん。ちょっと人口比率を変えるべきだ信仰心ない奴から死ね。そして信仰心ある奴は長生きして子孫繁栄、一家繁栄、ねえ、会社事業繁栄、信仰心のあるものは必ずそうでなきゃいかんのや。信仰心のない奴は会社潰れて結構はい、子孫なくて結構はい、潰れたらいい、死んだらいい、寿命短いほどがいい。長く生きたら地獄が長くなる。だから信仰心ない奴は早く死ねっ!そりゃあもう、コロナウイルスもまあ、その時は善となることもある。悪い奴ぶっ潰して、悪業広めないようにする」

筆者は今回、説法・霊言問わず、大川隆法の口からここまで卑劣な言葉が飛び出すのを初めて聞きました
普段大川は愛を説く宗教家であり、幸福の科学は「全人類救済」を掲げています。しかし赤鬼は「信仰心ない奴は死ね」と言ってしまいました。

霊の発言は、必ずしも教団の見解と一致するとは限らないとされています。しかし地獄の執行官という、いわば”正義の執行者”がこんな発言をする。このような霊言を収録した教祖の暴挙に怒るどころか、「繰り返し聴くべき霊言説法」「ウィルスを撃退し、悪を粉砕する力強い言魂に満ちた」などと肯定的に宣伝してしまう幸福の科学。教団の理念である「全人類救済」はどこへ行ってしまったのでしょうか。「信仰心ない奴」に布教して救済するのが、幸福の科学の目的ではありませんでしたか。

赤鬼が「死ね」と言っている対象は一人や二人ではありません。「人口比率を変える」くらいの、途方もない大人数に向かって「死ね」と呪詛を吐いています。それが実現すれば、世界中で多くの尊い命を奪ったコロナ禍さえ「善となる事もある」とまで言っています。
こんなにも気が触れたメッセージを発する宗教なんて、常軌を逸していると言う他ありません。

②愛のあとさき

次に2021年7月、大川は著書「青春詩集 愛のあとさき」を発売しました。これは大川総裁が大学生〜社会人だった頃に書かれた詩で、2007年から信者限定で販売されていたものを、今年、新装版として一般発売したものです。

ところがこの詩集、「神の乳房にむしゃぶりついて」という性的な比喩や、イチゴを生首に例えるなど猟奇的な内容の詩が含まれており、半ば「黒歴史」として幸福の科学批判者の間では有名でした。そんな本を、今になって全国の書店や通販サイトで一般発売ですよ。

③「日本文明三万年説」

「日本文明三万年説」というものがあります。これは、特に今年から本格化したもので、大川が「日本の歴史は三万年ある」「日本の祖先はアンドロメダ銀河からやってきた20万人の宇宙人と、それを率いる天御祖神」などと主張しているものです。
筆者既報の記事では、まだ正式な教義では無さそうだとお伝えしました。ですが2021年のエル・カンターレ祭で大川総裁が自らこの説を語り、教団機関誌「ザ・リバティweb」でも大川総裁の言葉として紹介されているため、正式な教義となった模様です。


④再び赤鬼

最後に、2021年10月公開の「草津赤鬼の色情地獄論」と「色情地獄論[2]―草津赤鬼 戦慄の啓示」です。これらの霊言で草津赤鬼(霊)は、複数の性的なワードを合計数十回にわたって口にしたり、LGBTを揶揄するなど、見ている人の気分が悪くなりそうな内容です。

筆者はこの霊言を途中までですが視聴しました。以下、気持ち悪いので、読むのが嫌な方は<ここまで>という表示の場所まで飛ばしてください。

地獄の畜生道という場所に住んでいるという、犬のセックスの話がやけにリアルでした。該当部分を引用します。

草津赤鬼(霊)「犬のセックスも、1度見たら忘れられないくらい(おぞましい)。人間と違って犬さんは、男の方は”例の部分”に軟骨が入っとるもんだから、セックス中は抜けないようになっとるんですよ。だから人間が石投げたりすると、急に逃げれないから、お尻とお尻くっつけたままで、二匹動かない。これ離すには、ホースで水かけるくらいしかない。都会の人は見たことないだろうけど、田舎の人は見たことが多分ある」

大川…じゃなかった草津赤鬼(霊)、やけに犬のセックスに詳しいですね。それどころか、お取り込み中のカップルにホースで水をかけるという、実践的な”動物虐待テクニック”にも言及しています。大川は徳島の田舎出身なので、実際に見た事があるのかもしれません。

<ここまで>

この4つの例で、どの程度伝わったかは分かりません。しかし、先述のコロナ関連の動きも併せると、2020年以降、大川がますます乱心し暴走してきているという印象を筆者は持っています。


加速するHSUの宗教教育

2020年、「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)」は2度目の大学認可取得の申請を自ら取り下げました。2021年以降も、引き続き無認可校として運営していくことになります。
これを受けてHSUの学生新聞「天使の梯子」2021年4月号では、HSUのトップである九鬼一プリンシパルのインタビュー記事が掲載。九鬼氏は2021年度を「第二の建学」と位置づけました。

九鬼氏はこう語っています。「「大学で教える学問は宗教的な真理を扱わない」とする文科省の考えの下では十分な教育ができないと考え、(大学認可)申請を取り下げました。
そこで、申請を前提としていたいろいろな制約をいったん脇に置いて、立派な人材を教育によって社会に輩出し、「宗教的な真理をベースに教える大学が世の中に必要だ」と示すことで、次の申請に備えたいと考えています。」(強調は筆者)

しかし、ちょっと待ってください。九鬼氏は同時にこの記事の中で、全学共通の宗教科目を5つも新設する旨を語っています。中には大川の楽曲を聞いたり、大川著作の献本や教団への布施を「実践を通して学ぶ」授業、果ては大川が説く宇宙についての教えを学ぶ授業もあるそうです。大川の宇宙関連の教えといえば、レプタリアンやプレアデス星人、ウンモ星人などのさまざまな宇宙人が登場する"オカルトファンタジー思想"です。

つまり「いろいろな制約をいったん脇に置いて」、通常の大学とはかけ離れた宗教教育を推し進めたがっているように見えます。また、そうやって「宗教的な真理」を教えることで立派な人材が輩出でき、それが「次の申請」(ひいては認可?)につながると言いたいようです。だから宗教の科目を増やすのでしょう。
しかし、大川の法話・霊言をありがたがったり、楽曲を聞かせたり*4といった宗教教育の強化で本当に立派な人材ができるか疑問ですし、仮にできたとしても、そんな教育内容が文科省からOKをもらえるはずがありません。現に「霊言」を含む行き過ぎた宗教教育が原因で、大学認可されていないのですから。

大学は学問をするところです。文科省は霊言を「学問の要件を満たしているとは認められない」としています。その上ファンタジーな宇宙の教えまで学ばせてしまったら、ますます認可は遠のきそうです。それこそ、プレアデス星くらい遠くまで。
学問か徹底した宗教教育か、せめてどちらかにする方が現実的です。両立はきっと無理でしょう。

*4 筆者既報「<スクープ>HSU生、授業でひたすら大川氏の曲聞かされていた」
https://note.com/hsreview/n/n0f5fd6de99fc#yUH9G

2世信者の発信の難しさ

カルト教団の問題点や、自身の境遇への不満などを、SNS上で発信する2世信者がいます。彼らは、自身の”身バレ”を防ぐためさまざまな苦慮をしています。筆者もその一人です。身元が教団にバレたら、何をされるかわかりません。

昨今、特に幸福の科学「以外」の宗教2世が徐々に注目を集めるようになったのは、SNSや漫画などで当事者が苦痛を発信することが増えたからです。
しかし、(あくまで筆者の主観ですが)幸福の科学2世は、これまでの”身バレ”事案などを考慮すると、他教団2世よりも発信しにくい状況であるように思えます。加えて、幸福の科学2世が出版・販売した、漫画や書籍の手記等は存在しません(筆者調べ)。
その結果、今年のNHKの報道でも幸福の科学は扱われませんでしたし、それ以外の今年の各種”2世”報道でも、扱われたという話を聞きません。

このままでは幸福の科学は、引き続き他教団よりも注目されないままになってしまうのではないか、という漠然とした不安があります

止まらない楽曲制作

大川は、お世辞にもうまいとは言えない歌を即興で歌い、それをプロに編曲させることで「作詞・作曲」しています。その数はなんと450曲を越え、漸次CD販売やストリーミング配信されています。さらに、完成した楽曲ではなく、大川自身の歌唱音声の録音を「原曲研修」と称して、信者に布施1万円目安(学生3千円)で聞かせています。これは昔からやっていたことではなく、2020年前後からの新たな動きです。
(参考画像)

2021年夏撮影

なぜか大川の歌唱を聞いただけで「現代中国の闇を吹き払う力」が手に入るらしいです。加えて、これほど言葉を飾り立てておきながら、よく読むと大川の歌唱能力についての言及はひとつも無いのが味わい深いです。

番外編

さて、最後のニュースに入る前に、まとめて3つの話題を紹介します。これらの内容は、筆者自身が詳細を把握できていないか、または単なる外部の文献の紹介であるため、番外編とします。

まず、死後に遺産を布施するよう、幸福の科学が高齢の信者に働きかけているとの情報がTwitterで寄せられました。

次に、教団職員が信者に献金を求める様子を生々しく描いた告発記事。マルチ商法のような、熱気を伴う言葉巧みな勧誘であることが、文字であっても伝わってきました。保険や株式を解約してでも教団に献金することを礼賛したり、献金の尊さは死んで天国に帰ったらわかる、などの内容に戦慄を覚えました。「③-1、③-2、③−3」の全3本立てです。

両者とも、信仰心を煽って献金を求める姿勢は共通しています。

もう一つ。2021年12月ごろ、幸福の科学系の学習塾「サクセスNo.1」が使用している教材が、市販の教材を流用しており著作権上の問題があるのではないか、との情報がTwitterで複数寄せられたことです。詳細が判明すれば筆者が別途、続報記事を書く可能性もあります。

「私が嘘つきに見えた方は…」

いよいよ最後のニュースです。
2021年12月のエル・カンターレ祭法話「地球を包む愛」で、大川は愛について語るかと思いきや、かなりストレートに信者を”脅迫”しました。該当する発言がこちらです。

大川「もしあの世がなく、人間がこの世に生まれて、また来世に去っていくという世界が嘘だというならば、私が2900冊以上書いてきた本、これ全部嘘ということになります。みなさん、私が嘘つきに見えますか?見えたら地獄に行っていただきます(会場笑)」

聴衆はほとんどが信者ですから、地獄に落ちる心配がありませんし、大川も冗談めかして言っていたので笑いが起きていました。しかし発言の意味としては「私を疑うものは地獄に落ちる、だから信じろ」と言っているも同然です。大川がここまで露骨な言い回しで”脅す”とは、筆者も驚きました。

さらに大川は、説法終盤でこうも言いました。

「世界164ヶ国以上の皆さん、どうか私の話を近隣の方々にも伝えてください!まだまだ人類は、救えるところにいます。しかし私の言葉を聞かなかったら!人類は半分以内に減る可能性だって、あります。私はそれを、10年以内に言うことを、できれば避けたいと思っています。どうか私の言葉を信じて、ついてきてください!そして伝えてください」

大川隆法の言うことを嘘だと思えば地獄に落ちる。それどころか、人類が何十億人という単位で滅びる可能性すらある。そういうふうに言っているのです。
幸福の科学は過去にも「ノストラダムスの大予言」など、世界に大災厄が起きたり日本が終わるかのような類の主張をしたことが複数回あります。地獄に落ちると言ったり、スケールの大きい終末論を掲げたりして、人々を脅して従わせようとするのが、大川隆法のやり方のようです。

まとめ

以上、話題があちこちに飛びつつ、今年のニュースを振り返ってきました。

大川は相変わらず問題ばかり起こし続けています。法話では人口が半減するかもしれないと”脅迫”。霊言では犬のセックスがどうの、信仰心ない奴は死ねだのと、エキセントリックな言動が増しています。コロナ禍でご乱心のカルト教祖はどこへ向かうのか、2022年も注視が必要です。

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