読了:新 コーチングが人を活かす

読了:新 コーチングが人を活かす
鈴木義幸 (著)

【概要】
2000年に刊行以来「最良の入門書」として高い評価を受け、ロングセラーとなった本書。
コーチングが、ビジネスから教育、子育て、医療、スポーツへと広がる原動力となった1冊です。
第一人者が豊富な事例を交えて、わかりやすくコーチングスキルのツボをお伝えします。

今回、発売20年での大幅改訂で、コーチングの進化を反映した最新版になりました。
さらに、全62項目が図解化。要点がスッと頭に入り、記憶に残ります。

1項目4ページなので、通読してスキルの全体像を把握してもよいですし、
今の自分に必要な1項目だけさっと読んで、その日すぐ使うこともできます。
はじめてコーチングの本を読む方にも、
また、コーチングを学んだ方の振り返りにも最適な入門書決定版です。

【所感】
最近、コーチングというものの概念について自分の中でパラダイムシフトと呼べるほど大きな変化がありました。
お恥ずかしながら実は今まで、ティーチンングが教える、コーチングは考えさせるぐらいの浅い理解でした。

何冊か本を読んでいく中で、「どうやら、ちょっと違うらしいぞ。」と気付きました。コーチングはあくまでも、問いを 2人の間に置き、一緒に探索しながら、相手の発見をうながしていくというアプローチだということが本書でも述べられています。
VUCAと呼ばれるこの時代において、自分も答えを持っていない課題についてもチームで乗り越えていかなければいけない中で、大事な考え方っぽいぞと改めて感じています。
人間の原理原則に則って、「人間とはこういう生き物だからその性質に合わせて考えると」という話は非常に興味をそそられます。

〈望んでいる状態(目標) =現在の状態 +行動〉  これがコーチングをするときの基本公式だと言います。
今までもずっと言われてきた「仕事は理想と現実のギャップを埋めること」とだいぶ近いですが、人は問われると答えたくなる生き物だからこそコーチングでは特に「問いの力」が大事だとされています。

すぐに実務にも取り入れやすい話が多く、その一つがチャンクダウンという手法でこれは大きな塊を小さな塊にほぐすというイメージです。
相手に多くの発見を促すには「あなたの人生の目的はなんですか?」みたいないきなり大きな質問から始めるのではなく、まずは小さく必ず答えられる質問から始めるのが重要だと言います。

また、コーチングでは、相手をほめたり承認したりすることをアクノレッジメントといいます。アクノレッジメントは、それをどういうスタンスに立って相手に伝えるかによって、大きく2つの種類に分かれます。
一つは「YOU」のメッセージで伝える「よくやった」とか「優秀だね」といったメッセージ。これは相手との関係性によっては効果が薄い場合もあります。
もう一つは「I」のメッセージ。「君ががんばっている姿は僕もやる気が出るよ」とか「安心して見ていられるよ」こちらがそう思っているという否定のしようがない表現なので相手の中にも落ちやすいと言います。
「信頼しているよ」「任せたよ」などと共に汎用性の高い表現だと感じます。

これは新卒のころの自分に教えてやりたい話ですが、上司に対して「なんでさっさと教えてくれず、自分で調べさせたり考えさせたりするんだろう。本当はこの人も分かってないだけなんじゃないか。」と不満に思っていた時期がありました。結局、「自分でとりにいった情報のほうが、実際に血となり肉となって使える知識として活用される確率がはるかに高い」ということであり、コーチングもここに通じている考えです。

「不満を提案に変える」という考え方も非常に腹落ち感がありました。
自分の不満に大義名分をつけて自分では解決の動きを取ろうともせず、「チームがよくなるためにこうあるべきだと思います。」と言ってくる人がいます。
そういう人は基本的に「あなたには私をハッピーにする義務がある(のに、それを果たしてくれない)」という被害者的なスタンスからのメッセージだと書かれていますが、本当にその通りだし、そういう幼稚な人はよくいるなと思います。
それを「私が力を使わなければ、私はハッピーになれない」という自己責任を明確にしたメッセージに変える。
「じゃあ、それを改善するのにどうすればいいと思う?君には何ができると思うかアイディアを聞かせてくれないか?」と不満を提案に変えさせる。これは大事な考え方だと感じました。

コーチの最大の特徴はまったくなんの落としどころもなく最後まで「で、あなたはどうするの?」ときき続ける、相手に立ち向かっていくことだと言います。
メンバーから相談された際に答えがわかるとつい答えたくなってしまいますが〝必ず相手は内側に何かを探り当てる〟という超弩級の信頼を乗せて「きみはどうしようと思うの?」とあえて聞くように努めたいと思います。

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