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2・悪夢の様なクリスマス


紹介された大きな病院で迷いながら受付に到着。


診察までは年末という事もあったのでしょうが、
かなり待ちました。

午前10 時頃に紹介状を持って到着して、受付を済ませましたが診察室へ呼ばれたのは正午くらいでした。

診察を終え、先生の指示通り
体温・血圧測定、血液検査から人生初めての
『造影CT』
へ。


血液検査で腎臓(じんぞう)の状態が分かるまで、
造影剤が入れれないとの事で血液検査の結果が出るまでかなり待ちました。

そしていよいよ、CTへ…

<造影剤を入れると体が熱くなる>
との事で身構えていましたが、想像以上に熱い。
軽くパニックでした。
個人差はあると思いますが、私には身体が燃えるような熱さでした。


検査を終え、待合室に戻り診察室に呼ばれるまでの間もスマホで
「慢性膵炎」を調べまくり、何とか膵臓癌ではないように震えながら祈っていました。


さらに2時間程待ったでしょうか、
CTの結果が出たという事で診察室へ。


最初の女性の先生ではなく、イケメンの男性先生でした。

先生「膵臓に腫瘍があります。それが悪性かどうかすぐに調べたい。明日入院出来ますか?」

私『明日ですか…悪性の可能性もあるのですか?』

先生「はい。十分考えられます。25・26日と入院してもらってそこから病院も年末休みに入ります。年明けの1月6日に病理検査の結果が出てから治療方針を決めましょう。」


え…何この展開…



もう目の前真っ暗で
パニックです。


私は2交代の仕事をしています。次の日は朝から仕事でした。

休めません。

私『明日は仕事なので、明後日の朝から入院出来ます。』

先生「分かりました。では明後日26日の朝、何も食事を摂らずに病院へ来てください。
そこで一度胃カメラを入れます、腫瘍が十二指腸まで顔を出していたらそこで細胞を採取出来ますが、

見えなかったら次の日“超音波内視鏡”で細胞を採取します。超音波内視鏡は管も太く時間も結構かかりますので鎮静剤で眠っていてもらいます。」



私『初日の胃カメラも眠らせてもらえますか?私胃カメラが苦手なので…』(この期に及んでも弱虫な私。)



先生「分かりました伝えておきます。では入院の手続きを一階の受付でお願いします。」


診察室から出てすぐ妻に電話をしようとスマホを見ると充電が1%…。
調べすぎました慢性膵炎を。
どうしよう…


一人でパニックになりながら公衆電話へ、でも電話番号が分からない。
こういう時に不便ですスマホは。


とにかく早く家族に会いたい。


売店でアルカリ電池4本入りの充電器を購入して差し込みますが遅い・・・ほとんど充電できません。


一階の入院受付で説明を聞きますが何も頭に入ってこない。
チラッとスマホの充電量を見ても2%のまま…


入院の説明は優しそうなベテラン看護師さんでした。


私「携帯電話の充電がなくなってしまい、妻と連絡が取れません。入院日の説明を妻と聞きたいのですが。」

看護師さん『あぁ充電器、これ使いますか?』


ベテラン看護師さんがパソコンのUSBから伸びていたコードを差し出してくれましたが

『それに差し込むのはダメ!!』
近くにいた別の看護師さんが怒鳴りました。

それはそうですよね…病院のパソコンと個人のスマホをつなぐなど、個人情報流出のリスクがあります…



ずっと頭は真っ白のまま、入院説明が終わり2%のスマホで妻に電話。
私「癌かもしれない。明後日から入院。」

妻『えっ!…? 分かったすぐ行くから待ってて!』


そこからソワソワソワソワ。


落ち着かない。何か自分の体が自分の物じゃないみたい。頭は真っ白。

思考能力が無くなり、ただただ目的もなく病院内を歩き回る自分の体。



30分程で妻が子供達と一緒に到着しました。
車で12歳の息子が3歳の娘を見ててくれて、妻だけ来ました。


妻の顔を見た途端涙が溢れ
「ごめん…本当にごめん…」声を出して泣きました。
38歳にもなった男があんなに泣くとは。

安心したのもあったのでしょうか。
癌かもしれない恐怖を堪えていた糸が切れました。

妻が会計を済ませてくれて、二人でベンチで少し話をしました。
何を話ししたのか覚えていません。


ただただ。
二人とも泣いていたのは覚えています。



ひとしきり泣いて子供達に会いに車へ行くと、3歳の娘はサンタさんからもらったおもちゃを得意げに私に見せて来ました。息子は心配そうに私たち夫婦を見つめていました。

子供の前だから、頑張って私は笑いました。

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