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捨てるもの無し 森林資源基盤型産業のリサイクル(2) 木材加工業

「森」という貴重な資源から、資源の持続可能性を担保して慎重に「樹」を伐り出し、丸太として製材所へ運ぶ。丸太に付いている皮を剥いて、バーク堆肥として「土」へ戻す。一本一本を熟練した眼で板を取る。背板(側の部分)は、木材チップに加工し、製紙用に使う。細かく砕いてキノコの菌床栽培の培地にしてもよい。薪にして薪ボイラの燃料にし、木材乾燥の熱源に使う。

板は乾燥して、初めて「木(木材)」となる。家具工場では、端材やおが粉も木屑炊きボイラの燃料とし(口絵)、木材乾燥や家具の塗料の乾燥に使う。無垢材の家具は、大切に使えば一生ものであるし、車と同様ビンテージ家具としてリセイルできる。もちろん工房で修理すれば、何度でも使えるし、木は削り出せば新しいまっさらの木目が現れる。

林業のように使う資源を再生産することはできないが、「森」「樹」「木」に囲まれた営みである木材加工産業は、資源を余すことなく使い尽くすカスケード利用型産業であると言える。

しかし「樹」には枝葉や樹皮がある。それらには、「樹」が生物として生きるための生存戦略がぎっしり詰まっている。テルペンやタンニンなどのポリフェノール類などの樹木成分だ。燃やすにはあまりに早計過ぎないか?疑問が起きた。それらの多くは、生理活性を持ち、人は古来よりそれらを利用する知恵を編み出して来た。いまだに生薬として珍重されているものもある。しかし中には、化学合成によって代替されて知恵が失われつつあるものもあるようにも感じる。実は、これら天然由来の成分も、二酸化炭素と水から太陽光を介して生合成された有機炭素であり、それらを有効利用することこそ、森林資源基盤型産業の事業継続性を構築するためのキーとなっているように感じる。

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